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はや5年
ふと気付くと、11月も終わり。耐震偽装に巻き込まれて5年が過ぎました。

建て直しが終わるまであと1年。現在は、時たま、設計事務所から細かい仕様の問い合わせがあるくらいです。

社会情勢、政治情勢、経済情勢などをみると、5年前に比べて良くなったと感じられるものはあまりないように感じます。

ただ、従来なら、明らかにならなかったような不祥事が明らかになるケースが増えています。これは、不祥事が増えたわけではなく、ごまかしきれなくなっているのだと思います。

今後も様々な綻びを直視しなくてはいけないような状況が続くと思います。次の時代のためには、こうした不愉快なものをきちんと清算していかななければいけないと感じています。

ところで、政権交代が行われたものの、残念な状況です。もともと、二大政党のいずれにも決め手が欠けた状況だったので、政権交代をしたとしても、期待はできないと感じていました。

現在の与党第一党は、私から見れば、耐震偽装の初動から期待に反していて、見当違いの追及をしていたと思います。その中心にいた人物たちが、国土交通大臣であったり、外務大臣であったりしていますが、耐震偽装での対応から想像できてしまうような対応ばかりで、あまり教訓が活かされていないように思います。

どうやら、政権交代によって政権についた人たちも、古いほころびのひとつで、清算されなくてはいけない対象なのかもしれないと感じています。

清算の作業と同時に、新生や再生の準備も必要だろうと思いますが、いろいろなところで目立たない形で進んでいるものと信じています。
# by gskay | 2010-11-30 13:51 | 反省とまとめ
元建築士への賠償請求
すでに一ヶ月以上が経ちますが、耐震偽装を行った元建築士を相手取った裁判で、被害にあった元住民が勝訴したという報道がありました。訴えていたのは、いち早く建て直しを行った物件で、建て直しのコストを最小限にしつつ、後から回収できるものを回収するという方針をとっているようでした。

勝訴によって得た権利をどのように行使するのかわかりませんが、損害の回収を着実に進めているのだと思います。

私たちの物件では、きちんと資金についても目処をたててから建て直すという方針をとっていたため、時間がかかっています。対照的な対応だと思います。

これには、住民の考え方以上に、担当する自治体の姿勢が関係すると思います。

私たちも、資金について考えるにあたり、関係者からの賠償も考慮はしました。しかし、元建築士からの賠償を裁判で勝ちとっても、その賠償を回収するのは難しいと判断しました。このため、裁判をしてはいません。

「耐震偽装による建て直し」ということで、ひとくくりにされがちですが、建て直しは、それぞれ、全く異なる方法で行われており、それぞれが、今後の参考になると思います。しかるべき検証が必要だと思います。
# by gskay | 2010-10-31 05:15 | 損害と回復
県の過失否定
愛知県のビジネスホテルの耐震偽装問題では、一審で、建築確認をした県の責任が認められていました。しかし、その判決が二審でくつがえりました。

同様の訴訟では、建築確認を行った特定行政庁の責任は認められていません。おそらく、県の責任を認めた判決が例外的なものなのだろうと思います。一審の判決は、建築確認制度のあり方についてのひとつの考え方を示したとして評価することができますが、一般に認められるものではなかったということなのだろうと思います。

建築確認を行った特定行政庁の責任は認めない判決は、ますます、建築確認の意義を低下させるのではないかと思います。建築確認は、建築を行ううえの、余計な手間と負担にすぎなくなってしまいます。

違法建築が出現した場合の責任を負わないのであれば、建築確認のような事前の取り締りには意味がなく、事後の取り締りを徹底したほうが良いと思います。「無謬」ではないということが明らかな制度では、責任を免除するという方法は適切ではありません。一方で、裁量の余地を広げ、大幅に許可としての権限を強くすれば、少なくとも建築主事の判断は「絶対」となるので、「無謬」とすることができます。そのような強い権限の制度にするか、やめてしまうのがいいだろうと思います。せめて、建築確認の意義を大幅に限定すべきです。

従来、建築確認の効力や能力についての誤解があったと思います。それが裏切られたのが耐震偽装だったと思います。今でも、建築確認に位置づけは、人それぞれに違った捉え方をしているのではないかと思います。明確にすべきです。


中日新聞:二審、県の過失否定 半田耐震偽装で名古屋高裁:社会(CHUNICHI Web)


2010年10月30日 朝刊

 姉歯秀次・元1級建築士(53)による耐震強度偽装事件で、愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の運営会社がホテル建て替えを余儀なくされたとして、建築確認をした県などに計2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁は29日、「当時の法令で建築確認審査に落ち度はなかった」として違法性を否定。県の過失を認めた1審判決を変更し、県への請求を棄却した。

 一方、姉歯元建築士に設計を委託した業者を選んだコンサルタント会社、総合経営研究所(総研)の賠償責任は1審に続いて認定。県と総研に計5700万円の支払いを命じた1審判決を変更し、総研にのみ改修費や休業補償として1億6100万円の支払いを命じた。

 判決理由で岡光民雄裁判長は、建築確認を担当する県の建築主事の役割を「関係法令で直接定められた項目以外、審査する義務はない」と指摘。見逃された偽装の一部は「図面を詳細に検討すれば判断できた」と認めつつ、時間的制約や法令が定める審査基準を理由に建築主事の注意義務違反はないと判断した。

 1審の名古屋地裁判決は建築確認を「危険な建築物を出さない最後の砦(とりで)」と定義した上で、「法令が明示した基準だけでなく、安全確保のために一般的な基準も考慮すべきだ」と判示。偽装を見逃した建築主事の落ち度を認め、県と総研側が控訴していた。

 神田真秋愛知県知事の話 主張が認められた妥当な判決。今後も適正な建築確認を行い、県民の安心、安全の確保に努める。

 総研の代理人弁護士の話 到底納得できない。上告も考える。



この判決では、コンサルタント会社が負うべき責任を大幅に認めています。これについて、私は違和感を感じます。

おそらく、報道からしか情報を得ていないからだと思いますが、理由がよくわかりません。どのようなコンサルタント契約だったのかによると思います。また、建築については、所有者、建築主、設計、施工、監理といった業務の中で、原告である所有者(建築主?)の責務があると思います。そこがどのように扱われたのかによって、コンサルタント会社という曖昧な存在の責任が変わってくると思います。

建築関係の法律や制度は、責任関係などが、現実に即していないまま放置され続けているので、抜本的に見直すべきです。それは、司法の場で行われるべきものでも、行政の裁量によって行われるべきものでもなく、立法府が取り組まなくてはいけないものだと思います。
# by gskay | 2010-10-31 04:49 | 真相 構図 処分
固定資産税
除却が終了し、建築がはじまています。これにあわせて、固定資産税の減免が終わり、再開されています。現在のところ、建物はないので、土地についてだけです。

使用禁止から除却までは、耐震偽装に伴う違法建築に対する公的な処分で、土地の利用が制限された形になっていました。この制限を理由に、固定資産税が減免されているものだと理解していました。この減免は、公的に行われた経済的な支援にもなっていると思います。

除却が終了した時点で、公的な対応のうちの違法建築に対する処分は終了。やっと、土地の利用について所有者の権利が回復しました。それにとともなって固定資産税も再開したと理解しています。

所有者の権利が回復したところで、建て直しです。所有者としては、放ったらかしでも、売却しても構わないはずですが、公的な対応の一部であるので、建て直しが、事実上の唯一の選択肢です。

私たちは、隣の建物と共同して再開発をすることにしていましたが、その方向で、順調に進んでいます。
# by gskay | 2010-10-21 05:09 | 公的対応
国会での証言
強制的に起訴されることになった与党の元代表は、国会で証言するべきです。

話題は、「政治とカネ」にとどまらず、検察のあり方や、検察審査会という制度がかかえる問題に及ぶと思います。

検察審査会は、政治家に大きなダメージを与えることができる組織であるということが、今回、明らかになりました。「起訴相当」という決定は、国民感情が納得していないという曖昧な理由で、大物政治家を刑事被告人にしてしまい、政治家としての活動に大きな影響を与えています。この権限は、政治の道具になってしまいかねません。その妥当性が問われます。

もし、気に入らない人がいたなら、刑事告発し、検察に取り調べをさせ、検察が不起訴処分にしても、検察審査会で「起訴相当」に持って行けば、刑事被告人にすることができます。たとえ、判決が無罪になるとしても、長期にわたる裁判に力を割かねばならなくなります。その影響は、甚大です。

加えて、検察審査会が、どこまで審査してよいかが明確では無いようで、手続きとしての妥当性が問われています。審査の対象を超えて結論が導かれているようであり、そこが問題です。おそらく、対象を超えた事情については資料が正式には提供されていないにもかかわらず、決定に織り込んでいるものと思われます。もしそうなら、そのような決定の意義を考え直さなくてはいけません。この点については、裁判が始まったおり、裁判所で、門前払いをするかもしれませんが……。

いずれにせよ、そうした事情を、国会で審議し、検察のあり方や検察審査会の制度を改めていくべきです。そのために、しっかりと証言をするべきです。

質問に立つ議員は、きちんとポイントを練り、金の出所を何度も尋ねて、「納得できない」などと決めつけるような不毛なことをせず、立法に繋げなくては行けない問題は何なのかを明確にするようにしなくてはいけません。

元代表に近い議員が質問に立つ事があるなら、きちんとした打ち合わせをして、「政治とカネ」というイメージだけの不毛な議論ではなく、検察のあり方や、検察審査会という制度という改めるべき国の制度の方を、討論の中心に持って行くように心がけるべきだと思います。

検察審査会という制度は、民主的な理念が元にあるはずなのに、民主的な政治を踏みにじる制度になりかねない危険を持っていることが、今回、明らかになっています。そこに、素早く対処しなくてはなりません。

案外、元代表に、「起訴相当」という決定を下したことは、キズが深くなる前に問題に気付くきっかけになっているのかもしれません。この機会を、活かすべきです。

また、政治資金規正のあり方については所管の総務省、土地の取引については法務省と農水省(農地からの土地の種目変更がからんで日付がややこしくなっていることが問題の発端らしいです)の見解も質し、検察の考えの妥当性も吟味しなくてはいけないと思います。

いろいろと国会が取り組まなくてはいけない問題がある一方で、今後、元代表は、政治的な活動の舞台を、国会から法廷に移していくのではないかと感じています。

国会では、選挙制度の改革や、政治資金規正は、この元代表が中心となって進められてきたことです。国会については、ある程度、元代表の理念が反映されており、政権交代も実現しました。しかし、国民の代表によって構成され、国権の最高機関であるはずの国会の権威は確立されているとはいえません。

明治以来変わらぬ官僚優位の国家運営が行われている一方で、その官僚制度が陳腐化しています。官僚制度と闘うためには、国会の中で制度について議論したり、内閣として官僚の上に立っただけでは、どうやら足りないようです。

三権の一つである、裁判所という官僚組織に認めさせ、行政の官僚に文句を言わせないようにしなくてはいけません。そのための闘争に取り組むというのが、「政治闘争だ」という言葉に込められているように感じました。

もしそうなら、すごい政治家です。師である田中角栄を超えたのではないかと思います。
# by gskay | 2010-10-14 13:13 | 政治と役所と業界