幹部国家公務員の養成
幹部国家公務員は、基本的に政治任用や公募であるべきだと、私は思っています。また、官庁で養成しなくてはいけないという必然もないと考えていて、人材の養成は、大学などの機関の比重を大きくする方がいいと思っています。

ただ、幹部候補が若いときに、現場を経験するという事には賛成です。

幹部候補、徴税現場に=重責ポストで能力見極め−09年度にも実施・人事院

 人事院は、各府省の幹部候補となる若手国家公務員を対象にした研修を充実させる方針だ。税の徴収現場など困難を伴い、納税者である国民とじかに接する機会が多い職場への派遣や、薬害エイズ事件など過去に失敗した政策事例の分析を取り入れる方向で検討している。各府省に対しても、幹部候補を自己判断が必要な重責ポストに就け、能力などを見極めるよう求める。
 現行のキャリア制度を見直し、能力・実績に優れた人材を幹部に育成するための一環で、早ければ2009年度中に実施する。
 徴税現場への派遣は、数カ月程度の勤務を想定。政策の遂行は、税金によって成り立っていると自覚させるため、単なる視察ではなく、実績を上げることも求める。今後、実施に向け国税庁などと調整する。 
 失敗した政策事例の分析は、各府省が困難な政策課題を抱える中、判断ミスを起こさないようにするのが狙いだ。例えば、薬害エイズや年金記録問題などをテーマに、どうすれば問題を回避できたかを討議させる。
 現行制度では、幹部候補が若手のうちから警察署長や税務署長といった地方行政機関のトップを務めることがあり、「特権意識につながる」と批判されていた。このため、人事院は各府省に対し、幹部候補にはベテラン職員に補佐される上位ポストではなく、自己判断が必要な重責ポストを経験させるよう求める考えだ。

引用の記事を読んで苦笑したのが、「自己判断が必要な重責ポストに就け、能力などを見極める」という点です。これまでは、「単なる視察」か、「ベテラン職員に補佐される上位ポスト」しか経験できなかったということだと思います。

つまり、有能な若者を集めておきながら、能力を発揮させる機会を作ってこなかったということだと思います。幹部公務員候補に「キズ」がつかないようにと、何もさせないで飼い殺しにしておくのは、能力がある人材の無駄遣いです。

それに比べれば良いとは思いますが、たかだか「最長で数ヶ月程度」で、「実績を上げること」を求めるというのは、あまりに現場をなめています。結局、「ベテラン職員に補佐される『お客さん』」になるだけです。あるいは、それでも務まるような任務がお膳立てされるだけのこと。この構想自体が、現場を知らない発想だと思います。

「最長で数ヶ月程度」というのであれば、もっと謙虚に、見聞を拡げることを重視すべきだと思います。

ところで、このような現場経験は、内部の幹部公務員候補に限定するべきではなく、広く開放すべきだと思います。

数ヶ月程度ということであれば、大学院生のインターンを迎えたりすることも、経歴を複線化し、将来の候補を確保することに役立つと思います。もちろん、研究機関での研究にも役立ちます。

もし、内部の幹部公務員候補に限定すると、将来の外部からの人材登用を妨げる口実になりかねないと考えます。任用にふさわしい人物が大学などが居るにもかかわらず、若い時の現場経験がないというのを口実に、よそ者を排除する論理として使われることを懸念します。

国家公務員、とりわけ幹部公務員の能力の陳腐化は深刻です。人材登用や教育のシステムを抜本的に変えることが必要です。一見すると、そのような抜本的な変化に取り組んでいるようにみえますが、この取り組みは、変化に抵抗するもので、硬直化を改善するものではないと思います。

こんな、瑣末なことをこねくりまわしていないで、直ちに、幹部公務員に政治任用や公募を取り入れ、在野の人材を登用するための門戸を拡げるべきです。
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by gskay | 2009-03-10 08:30 | 政治と役所と業界