マンション再建報道
4月は、我ながら感心するくらいに集中して仕事をこなしました。もともとの職場の仕事です。5月になって長期出張中の現在の職場に戻りました。ようやく調子をとりもどしたところです。

一時復帰中は、まとめて仕事をしなくてはならないため、なかなか仕事以外のことに手がまわらず、更新を放置していました。その間に、耐震偽装で建て替えとなった物件の中で最大規模の物件の建て替えが終わったという報道がありました。

これで、共同化による再開発となって時間がかかっているうちの物件と、問題が複雑な藤沢の物件を除き、一段落したことになります。

「住民の結束強まった」…耐震偽装のマンション再建 社会:ZAKZAK

ヒューザー倒産で住民に負担


 耐震強度偽装事件で強度不足が指摘され、再建中だった東京・江東区の分譲マンション「グランドステージ(GS)住吉」(全67戸)が先月26日完成し、住民たちの手でささやかな式典が行われた。事件発覚から3年半。突然の転居、マンションの解体、二重ローンという経済的な負担に苦しむ住民たちは「夢のようだ」と口をそろえ、ようやく笑顔が戻った。

 「この3年半、周囲から大変苦労したといわれるが、住民同士の結束が強くなり、親戚のように行き来ができるようになった。失うものも大きかったが、得たものの方が大きかった」

 事件発覚当時、マンションの管理組合理事長だった八住庸平氏(44)は式典で感慨深げに語った。

 再建した分譲マンションは11階建て67戸。戸数や間取り、外観などは建て替え前とほぼ同じだが、耐震強度は基準を大幅に超える値に設計。再出発の意味も込めて「リバージュ住吉」に改称した。フランス語で「川沿い」という意味で、住民たちの公募で決まった。

 一連の事件で国の建て替え支援を受けた11の分譲マンションのうち、最も世帯数が多かったのがGS住吉だ。事件発覚当時はマスコミが殺到。突然、絶望のふちに追い込まれた住民は終始、ふさぎがちだった。ローンは残っている、解体で転居を余儀なくされる、わが家に将来戻ることができるか−−不安や窮状を訴える声は絶えなかった。

 追い打ちをかけたのが建て替え費用だった。

 再建したマンションの総事業費約21億円のうち、国などの支援が6億5000万円。残りは住民の追加負担で1戸平均2200万円に上る。「これからはローン地獄。返済は3世代にわたる」と顔を曇らせる住民も。すべては販売業者のヒューザーに負担能力がなく、倒産したためだ。実際、全世帯の1割は再入居せず売却し、ローン返済に充てる。

 それでも「元のわが家に戻ろう」を合言葉に、住民同士がメールなどで連絡を取り合い再建にこぎつけた。苦悩を共有し乗り越えてきた住民間の連帯感も深まった。「(再建マンションは)物理的な構造だけでなく、住民の心の杭によって支えられている」。建替組合の熊木登理事長(50)は式典で住民の心境を代弁した。

 一連の事件を契機に、建築関連法の改正が進んだが、国の建て替え支援対象11棟のうち、まだ2棟は再建していない。

最初に読んだ時には、気がつかなかったのですが、最後の一文の「国の建て替え支援対象」という言葉に違和感を感じています。私は、「支援」というの国の立場に疑問を感じています。

建て替えは、所有者が行うべきものです。その費用は、瑕疵担保責任を根拠に、売り主のヒューザーに請求できるはずでした。仮住まいなどの不都合や不利益についてもヒューザーが負担すべきだったと思います。これは、ヒューザーによる買い戻しも含め、当事者同士の納得の上で行われるはずでした。

しかし、国土交通省の権限による判断で、緊急に退去し除却しなくてはならないという状況に追い込まれました。この判断の妥当性に疑問を感じています。既存不適格物件の性能との比較を念頭に置くと、拙速で歪んだ判断だったと思っています。

もし、緊急に対処する必要がなかったら、売り主との交渉の上で建て替えなり、補修なり、買い戻しが行われたと思います。しかし、国の判断により緊急性が生じたため、悠長なことを言っていられなくなりました。

結局、債権者による申し立てによりヒューザーは破産して整理されることになりましたが、国が、当事者の交渉を尊重するとともに、もっと技術的な合理性のある判断をしていたら、展開は異なっていたと思います。それが望ましいかどうかは別として……。ヒューザーの破産と、国の強引な判断は密接に関わっていたと思います。

昔のエントリ(「揺れるマンション」顛末記 : 国の立場の説明)で触れていますが、この「支援」というのは、法的には苦しいもののようでした。しかし、緊急性、公益性を強調し、既存の制度を活用しているという位置付けにすることで決着し、今日に至っています。

建築確認の誤りへの責任や、国土交通省の拙速な判断への配慮なしに、単純に「国の建て替え支援」と位置付けるのは妥当ではありません。その上、この「支援」は、国が主体になっているわけではなく、自治体が主体です。建て替え相当とされた物件を補修で対応するというような判断ができたのは、自治体が主体だったからです。

「国の建て替え支援」という表現は、「国」の無謬性や権威に対して無批判で無邪気な信頼があると感じます。しかし、私は、そのような信頼を「国」に寄せることができるような「国」ではないと思っています。

ところで、3年以上もたてば、状況が変わる住民は少なくないと思います。「1割は再入居せず」とのことですが、資金面の問題もあると思いますが、転勤などで、そこに住むのが適当でないという人もいると思います。

我が家も、状況が変化した家庭の一つかも知れません。しかし、耐震偽装に巻き込まれていることが引っかかっていて、選択肢を自ずと制限してしまっています。状況の変化への対応としては不徹底だと感じる部分もあって不満ですが、それは仕方がないこととあきらめ、再開発が完了するのを楽しみにしています。
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by gskay | 2009-05-27 14:03 | 公的対応