取り締まりと確認
建築確認は許可ではないから、見落としの責任は問えない。……ということは、いくら見落としても平気?

この事件における建築確認の責任について、警察の取り締まりになぞらえて、責任はないという議論を聞きます。確かに、たとえ違反が原因の事故で被害が出ても、警察の取り締まりが不十分だったのがいけないとはいえません。

しかし、私は、建築確認を違反の取り締まりと同じと考える発想に疑問を感じます。

建築確認は、適法であることや、違法でないことを確認する業務だと思います。建築確認は、専門家によるダブルチェックです。また、全数を事前に検査しています。これは、違法を摘発する取り締まりとは異なる業務です。

あやふやなイメージですが、スピード違反になぞらえると、運転手が設計で、スピードを制限内にして走らなくてはなりません。建築確認は、その運転手の脇にいて、スピード違反がないことをダブルチェックする係。外からスピード違反を見張る警察は別です。(実際の運転には、ダブルチェックの係はいないので、かえってわかりにくい?)

あるいは、薬品を用意する看護師が設計で、それをダブルチェックしサインする看護師が建築確認。事後に取り締まりのための再検査をしたりミスを調査がありますが、薬品を用意した看護師とも、ダブルチェックした看護師とも別の人によって行われます。

責任でいえば、運転手や薬品を用意した看護師が一番重い。でも、ダブルチェック係も責任を負うべき取り締まられる側です。

現状では、建築については、ダブルチェックの係も、取り締まり役も、特定行政庁が行うことになっていて独立していません。これが、混乱の原因です。それに、検査の能力の問題が加わって、複雑になっています。

解釈には幅があるようです。これまでの建築確認について、ダブルチェックを否定し、取り締まりの発想のみを重視すると、イーホームズの主張のようになると思います。ただ、全数の事前のチェックなので、どうでしょう?

一方、ダブルチェックの発想を重視すると、特定行政庁を訴えているヒューザーやビジネスホテルの主張のようになると思います。

また、確認申請する建築主をどのように位置付けるのかという問題も幅があるようです。設計事務所に設計図を用意させ、建築確認でダブルチェックをさせたと考えると、被害者です。しかし、建築主は、正しい設計図を用意する側だという立場を重視すると、設計事務所には文句は言えると思いますが、ダブルチェックの不具合については被害者の立場ではありません。

この辺りの前提が曖昧に放置されている限り、それぞれの立場にたつ主張は、平行線を辿り、不毛な議論になると思います。何となく、限界が、私にもおぼろげに見えて来たような気がします。
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by gskay | 2006-03-09 12:15 | 揺れる システム