自民党両院議員総会開催請求
 忠誠の有無は、政治にはとても重要な要素だと思いますが、言論に基づく民主政治では、言論の方が優先だと思います。

 もともと、自民党は、経済についての考え方も、財政についての考え方も、行政についての考え方も、一致したものはありません。議論を大いに戦わせることができるのが自民党の長所である一方で、それが路線を不明確にしたり、対立につながってしまうという短所を持っています。

 小泉改革路線は、現在、旗色が悪いようですが、私は、改革を徹底させることができなかったことを残念に思っています。経済政策や、財政政策は、その折々の経済状況で変化させるのが妥当だと思います。しかし、行政制度や、公務員制度、権力による規制のあり方については、私は、小泉改革に対する逆行がはじまっていると思っています。

 小泉、安倍、福田と、それぞれ手法は異なり、温度差はあるものの、方向性は一致していたように思います。現在、「規制緩和」の方向性が様々な弊害を生んだという考えが有力で、小泉、安倍、福田は批判の対象です。しかし、その弊害を良く分析すると、「規制緩和」以前からあるものが多く、むしろ「規制」によって生まれているものが少なくありません。

 少なくとも、耐震偽装に関しては、「規制緩和」の失敗ではなく、「規制」の失敗でした。

 耐震偽装を、「規制緩和」のせいにするのは誤りです。これは、一部をのぞいて理解はされておらず、もはや修正不能のように思われますが……。

 ところで、自民党の混乱の象徴のようになっている両院議員総会開催請求とその対応については、小泉改革路線を継承する自民党議員が、現政権に挑んでいるという構図で伝えられています。ひどいことになっていると思います。私は、請求している側の肩を持ちます。

 会議を行わないで反対する議論を封じるという上層部の方針は、政治闘争の道具の一つとしては肯定できる方法だと思います。しかし、行き過ぎがないように注意しなくてはなりません。一歩間違えると、国会を燃やしてしまって、国会を停止させてしまったナチスと同じになってしまいかねません。

 内閣不信任案に賛成したり、投票に参加しなかったりというような行動がなかったのに、上層部が過敏に行動しすぎて、憲法がめざす議会政治や、議院内閣制が損なわれてしまっているように思います。これは、党の理念にも反するのではないかと思います。

 私は、規則通りに自民党が両院議員総会を開いて欲しいと願っています。その結果、総裁が交代するという状況になったとしても、透明性や公正性が保たれることが大切だと考えています。

 路線の違いが明らかになって、一見、団結できていないように見えるかもしれませんが、今は、透明性や公正性が大切です。その辺りは、民主党の方が、格が上だと思います。党の歴史の違いのせいかもしれませんが……。

 これだけの混乱があるのに、自民党が一つの党になっていることには驚嘆しますが、私は、小泉改革路線をしっかりとさせるべきだと主張する人たちが、自民党から分かれ、別の政党をつくることを歓迎します。考え方が党の方針の中で埋没してしまわないようにと願っています。

 私は、「二大政党」という発想自体を疑っています。小さな政党が合従連衡し、連立や選挙協力によって二大勢力を形成することが大切だと考えています。

 連立や選挙協力を行うための交渉や説得は、とても大事な政治プロセスです。それを、あらかじめ二大政党に押し込めてしまうことで、その大事なプロセスをないがしろにされてしまうことがあるように思います。今回の自民党の混乱は、その例だと思います。

 様々な意見や立場が、無理にひとつの政党にまとまっていることは、党の運営を難しくするばかりか、それぞれの主張が政治に反映されにくくなってしまいます。そのような状況であるからこそ、主張や交渉よりも、忠誠がもとめられる事態になっているのではないかと思われます。

 アメリカの二大政党は、基本的な差に加え、様々な勢力が交渉し妥協することによって成り立っています。そのような二大政党と、今、日本で考えられている二大政党は、全く別のものだと思います。二大政党のあり方について、思い違いが蔓延していると思います。

 次の衆議院選挙には間に合いそうもありませんが、分裂して、その上で、しかるべき選挙協力の枠組みを作っていくのが妥当だと思います。

 そのためには、政党のありかたや選挙制度についても、根本的に検討する必要があると思います。

 交渉をくりかえし、支持をとりつけることで、定数+1にまで候補がしぼられた状況で争われる選挙がもっとも熾烈で、しかも、意見の集約が進んだ選挙です。マニュフェストも、その場合に意味があります。

 衆議院の小選挙区制をもとでは、二大勢力に固まっていくのは当然の流れになると思いますが、それが、既存の政党の枠組みの延長で二大政党制になるということを直接意味しているわけではありません。

 このことを、自民党も公明党も、良く理解していたように思います。自民党が政権与党でいられたのは、公明党との選挙協力による「二位三位連合」のおかげです。数年さかのぼって比例の得票をみてみると、とっくの昔に自民党は第一党の座を失っています。
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by gskay | 2009-07-18 15:50 | 政治と役所と業界