建築確認の簡素化
建築確認は、耐震偽装をきっかけに「厳格化」されたというふれこみでした。しかし、内容が厳格になったというより、煩瑣になっただけでした。

煩瑣な手続きを経れば安全が確保できるかのような印象をうけますが、安全の確保のための画期的な手法が導入されたわけではありません。加えて、電算化への対応も著しく遅れた仕組みになっていて、非効率。

そうした制度を拙速に導入した結果、経済の根幹のひとつである住宅の建築に打撃をあたえ、我が国の経済に深刻な影響を与えました。住宅建築は、建てるという行為だけでなく、金融という点から考慮しなくてはいけない行為だという視点が足りなかったのではないかと思います。

政権交代は、方向をただすいい機会だったのだと思います。政権交代があろうとなかろうと、いずれは、改められたのではないかとおもいますが、いずれにせよ、今の制度には無理があったと思います。

耐震偽装で厳しくした建築確認、また簡素化 国交省、住宅着工激減で - MSN産経ニュース


2010.1.22 23:37

 国土交通省は22日、建築確認審査の迅速化を進めるため、6月から手続きの簡素化を柱とする運用改善に乗り出すことを明らかにした。耐震偽装事件後の審査の厳格化によって住宅の新規着工数が大幅に減ったことを受けた措置。

 改善策では、申請に必要なチェック項目を減らし審査の迅速化を進めるほか、構造計算概要書を廃止するなど建築業者が行政機関などに提出する書類も大幅に減らして申請手続きを簡素化する。現在は平均で70日程度かかっている建築確認審査期間の半減を目指す。一方で、違反設計への処分も徹底していくという。

 平成17年に発覚した耐震強度偽装事件を受け、国交省は19年に建築基準法などを改正し審査を厳格化。都道府県や第三者機関で強度の再計算をすることを義務づけ、建築士の罰則強化にも踏み切った。ただ申請のための書類が増え、審査期間が長くなったことで、新設住宅着工の大幅な落ち込みを招いたとの指摘も出ていた。

「違反設計への処分も徹底」としていますが、あらゆる違反建築に対し、厳しい対応をしていく必要があると思います。

民間検査機関制度は、建築主事による取り締まりの強化と同時に行われるべきでしたが、そうのようにはなっていませんでした。あらためて、取り締まりの仕組みを構築する必要があると思います。

また、耐震偽装では、建築確認の意義が問われました。それまでなら、建築確認は、業者にとっての最後の拠り所としての価値がありました。買い手も、信頼をおいていました。住宅ローンの前提になっていたように、金融からの信頼も絶大でした。しかし、それが実質的に否定されました。建築確認の効力は絶対ではなく、建築確認という検査の能力も高いものとは言い難い点です。

画期的に検査能力を高めるような技術ができたわけでもないのに、建築確認制度を煩瑣にして、「厳格化」したと称しても、買い手が、安心して購入したり、業者が自信をもって建築にあたるための材料を何も提供はできません。また、建築確認を受けていても、何の保障にもならず、手続きが目的の手続きになってしまいました。費用的にも時間的にも負担になるばかりで、単なる足かせにしかなりません。

それに対する反省として、建築確認を簡素化するという方針には、賛成です。

しかし、同時に、二つのことが必要だと思います。

一つは、事後の取り締まりを強化すること。そしてもう一つは、事後の取り締まりによってみつけられた違反について、きちんとした対応ができるように、技術的な面からも、権利や責任の面からも明確なルールを作ることです。

耐震偽装では、特に、後者がでたらめで、国のいきあたりばったりの対応が、事態を深刻化させてしまったと考えています。

まず、建築確認制度が無謬であるはずだという前提を捨てることが大切だと思います。無謬という前提にとらわれすぎていて、問題が発生した場合の対応を充分に準備できていませんでした。そこを反省した仕組みに改めるべきだと思います。

そうした改善には、国土交通省のレベルアップが必要だと思います。様々な意味で技術の進歩に取り残されてしまった役所が、絶大なる権限を持っています。そのいびつさを解消することを考えなくてはいけないと思います。
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by gskay | 2010-01-23 15:05 | 揺れる システム