建築確認の取り消し判決
大阪高裁で、地裁が下したマンションの建築確認取り消しの判決を覆す判決が出たとのことです。これは、完成済みの建物に関する判断で、「マンションの建築工事は完了しているので、建築確認の取り消しを求める法律上の利益はない」ということなのだそうです。

最近の建築確認をめぐる裁判の焦点は、建築基準法などの法律を解釈し適用する権限がどこにあるのかという点です。マンション建設では、周辺住民の反対が、建築確認取り消し訴訟に発展するようですが、行政の判断の妥当性が問われます。

裁判所が、建築に関する法律をどのように当てはめるのかという具体的な部分まで判断していますが、法律が、特例や但し書だらけであるため、行政の判断にも曖昧なところがあるように、司法の判断にも曖昧になっていて、恣意的になってしまうおそれを感じます。

建築確認の取り消しに関する裁判は、建築確認という行政の判断の位置付けに関わる微妙な問題だと思います。手続きの違法性などに関する裁判には妥当性があると思います。しかし、解釈にかかわる微妙な判断に及ぶことには違和感を感じます。

もし、微妙な判断について行政の判断がしばしば覆るようであれば、建築確認だけでなく、裁判に対する準備も、建築にあたっては必要になります。ならば、はじめから裁判に一本化した方がいいのではないかと思われます。そうでないなら、司法が判決として判断する部分と、行政の建築確認の棲み分けが必要で、それは、司法自らが行うという方法と、立法的に明確にするという方法があるように思います。私は、立法的に行うべきだと思いますが、司法の判断で、一線を引くことも適切だと考えています。

いずれにせよ、建築関連の法規が、グチャグチャであるので、それが整理されなくてはならないと思います。また、私は、建築にかかわる様々な主体の役割を明確にすることが必要だと感じています。建築主や、設計、施工、監理、検査、そして所有者が果たすべき役割はもちろん、国や行政の責務なども明確にしておくべきだと思います。逆にいえば、そういうものが全く整理されていない状況に放置されています。関係者の責務が明確になってくれば、司法の役割も明確になるものと思われます。

ところで、建築確認の取り消しは、後始末をどのようにつけるのかという問題と不可分だと思います。建築中であれば、建築確認の取り消しは、様々な修正を試みることで対応することも可能だと思います。しかし、完成してしまって、完了検査が済んでいるような場合に、建築確認の取り消しというのは適当ではないように思います。

ちなみに、うちのマンションは、建築確認は取り消されていません。誰も、取り消せという裁判を起こさなかったし、取り消したところで、すでに出来上がった建物があることには変わりがありません。

違法建築としての行政的な処理が行われてきましたが、うちの区では、行政の権限の発動は、強制というものではありませんでした。所有者である住民が、区の説明に納得し同意した上で、退去し、使用禁止し、除却するという流れでした。様々な措置に関する命令も、きちんと異議申し立ての手続きが明記されていました。また、出された命令も、住民による建物の使用などを制限することを目的とした命令というより、第三者が入りこんで占拠したりすることを防ぐ命令であったように思います。

この命令のあり方については、自治体ごとに判断が一定していなかったようですが、うちの区については、私有財産に関する権利が最大限に尊重されていたように思います。

建築確認という制度は、様々な意味で一人歩きしてしまっているように思いますが、原点に戻ってあり方を問い直す必要がある制度ではないかと思います。建築に関する制度の見直しの重要なポイントのひとつだと思います。
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by gskay | 2010-03-08 05:51 | 揺れる システム