建て直しの議論
建て直しの議論が本格化しています。

3月1日の国土交通省の第14回構造計算書偽装問題対策連絡協議会の記録を見ると、

○都市機構の当面のコーディネートについて
 マンション再建について、①居住者(と地方公共団体)が民間施行を検討した後民間事業者を選定して民間事業者が施行する方式、②地方公共団体と協定を締結して都市機構がコーディネートを実施した後地方公共団体が施行(機構受託)する方式、③地方公共団体と協定を締結して都市機構がコーディネートを実施した後民間事業者を選定し民間事業者が施行する方式が想定されるが、この場合の都市機構のコーディネートについて地方公共団体との役割分担等に関する整理について説明があった。

最初に提示されたスキームがたたき台になってはいるものの、大幅に内容も姿勢も変化しているように思われます。さらに、3月15日の第15回構造計算書偽装問題対策連絡協議会では、「民間プロポーザル方式による建替え手法」がクローズアップされたとのことです。

当初、私は、自力再建派でした。ヒューザーがあてにならない以上、補償や賠償があろうがなかろうが、さっさと建て直すなり補修で解決してしまいたいという主張を支持していました。資金は、根性でクリア。しかし、こうした考えは必ずしも多数派ではなかったかも知れません。共同住宅である以上、それでは、現実的な対応とはなりません。

もし、あの時、適切な公的な対応がなかったら、その段階で止まっていたかもしれません。とりあえず、退去と仮住まいが措置されたことで、安全対策としての除却にむけて最小のタイムラグで動きはじめられたと思っています。

それでも、建て直しは全く不透明でした。むしろ、12月に発表された時点での国のスキームによる建て直しは、一方的で強制的な措置として提示されたような印象を受けました。事業の枠組みや、建て直しの内容から納得できませんでした。負担についても、承服できないと感じました。「自力再建」の方がいいかもしれないという迷いさえ生まれました。

二次試案では、建て直しの内容が具体的になり、補助の範囲が見直されるとともに、コストが見直されたことで、かなり受入れやすくなったように思われます。加えて、事業の枠組みについても柔軟になっています。

とりわけ、既存建物の水準で事業内容が検討されている点と、コストの大幅な見直しが図られている点は、私にとって受入れやすいと感じられました。

この試案が、「広くて安いマンション」の全面否定につながらなかったことに少しほっとしました。これで、「広くて安い」だけでなく、「安心なマンション」が不可能ではないという手応えを感じました。私にとっては、負担額そのものより、こちらの問題に対する執着が強かったかもしれません。

事件の本質は、構造計算のデタラメが、建築分譲されるまで気付かれなかったという点です。「広くて安い」は間接的なものにすぎません。「狭くて高い」としても、事件は発生したでしょう。事件を矮小化し、「氷山の一角」であるという現実から目を背けてはならないと同時に、問題を混同し、「広くて安いマンション」を否定してはいけないと思います。また、ヒューザーが責任を果たせず、破産手続きに進んでいるからといって、その経営と「広くて安いマンション」を同一視して否定する必要もないと思います。(と主張したところで、もはや、私は、新しいマンション選びとは無縁ですが……)

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ところで、現在、建て直しに関し、既存の仕組みを準用した補助だけが固まりつつあります。老朽化マンションなどの建て直し推進のための措置を準用するのだそうです。

この措置では、不十分だという意見もあります。とはいうものの、これ以上の資金的対応には、知事らが求めているような特別措置法が必要だと思います。これには、広く理解と賛同を得る必要があるでしょう。

また、これ以上の対応には、売り主が瑕疵担保責任を果たしていないという事情への吟味が不十分という批判もあります。公的な対応に積極的な立場からも、否定的な立場からも出ているようです。買い手が背負うべき責任があるはずだと言う主張が、建て直しと言う安全確保以上の領域に踏み込むようになって、再び強くなってきたように思われます。特別措置法について検討することを通し、関連したあらゆる問題を議論し尽くすべきだといいます。

とはいうものの、特別措置法が必要であるかどうかについて、前提となる住民の具体的な事情が検討されていないように思われます。それぞれの論者の先入観だけで論じられているように思います。今は、特別措置法は、必ずしも必要ではなく、議論しなくてはいけないタイミングではないかもしれません。

もし、既存の仕組みの準用だけで、建て直しからの脱落がないようにできるなら、当面、特別措置法は不要になります。しかし、脱落せざるを得ない人が増えれば、建て直しは頓挫し、仮住まいのままこじれてしまうかもしれません。その時には、特別措置法が必要になることも考えられます。

さしあたり、私は、長期化を避けたいと思っています。知事らも、早期に建て直しが可能になることを求めているのだと思います。これについては、二次試案で、条件が良くなって来ており、既存の制度の準用だけでも、充分となるような情勢に近付きつつあるような気がします。

年末から年頭に出された当初の試案のような事業のままであったら、受け入れは困難だったと思います。仮住まいのまま、こじれたかも知れず、特別措置法でもなければ、破綻してしまいかねませんでした。

しかし、今の条件であれば、歓迎するのは無理だとしても、受け入れ不可能ではありません。少なくとも、建て直しに関する公的な対応を拒否せざるを得ない条件ではありません。

ただ、とりあえず、特別措置法が不要になったとしても、これを下手に前例にするべきではないと思います。将来の問題については、これをきっかけに、別に論じて、より良いシステムが構築されることを願います。

まだまだ、負担のハードルは高いと感じますが、事業の見直しや、コストの見直しによるシェイプアップ次第で、事情は変わると思います。加えて、融資等の資金面での工夫などを積み重ねることにより、乗り切っていける条件も整っていくような気がします。うちのマンションでも、建て直し事業に向け、脱落する人が出ないように条件の模索が進められています。
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by gskay | 2006-03-20 17:23 | 建て直し