玉突き衝突
始めは、「耐震偽装の事実」を伝えなかったということと、「耐震性能低下」を隠したことは同じであるというニュアンスで捉えていました。年頭のころ、この話を始めて聞いた時には、私は、そのように受け取っていました。ところが、問題の引き渡しの時点では、「耐震性能低下」は未確定だったということがわかり、問題のポイントが複雑だと考えるようになりました。

「耐震性能低下」を隠して引き渡しをしたことと、「耐震偽装の事実」を隠して引き渡しをしたこととは、似ているようで異なると思います。最近は、報道でも、「入力数値の低減」という「耐震偽装の事実」が伝えられなかったと記されるようになってきました。より正確になっていると思います。

「入力数値の低減」イコール「耐震性能低下」と直接結びつけられるものかどうかが微妙です。再計算を必要とし、それには日数がかかります。「公表」は、再計算により「耐震性能低下」が明らかになってはじめて行われました。

その辺の経緯については、「手続き」の面から明らかにして欲しいと思います。「発覚」から「公表」までのプロセスこそ検証されなくてはならないと思います。検査済の証書の取り扱いや、担当官庁の判断について議論し、入居済み物件などについても放置されてしまった経緯を明らかにして欲しいと思います。

問題の件についていえば、引き渡しなどは中止しておくべきだったと、私は思います。「公表前」であったという事情や、諸手続きが動き出している中で引き渡しを中止することができないという言い訳は、理解できないわけではありません。しかし、その善悪と言う点では、巻き込まれた人数を増やした以上、悪です。中止してさえいれば、巻き込まれた人を増やさずに済ますことができたのですから。

その悪については、特定の一部だけの追及ですませず、関わる人の全ての責任を検証すべきだと思います。なぜ、「耐震偽装の事実」は公表されなかったのか?これは、偽装事件の全体像とは分けてでも検証する価値がある問題であると思います。一応、緊急調査委員会の報告がありますが、ポイントをはずしていると思います。あらためて検証してほしいと思っています。

ところで、小嶋元社長のいう「玉突き衝突」というたとえは面白いと思います。「非ヒューザー陰謀説」を前提に、偽装した本人や見落とした検査機関を除けば、誰もが被害者といえるとともに加害者です。その様子をよく表現していると思いました。そして、誰も責任を負おうとしない様子も。

ざっと見ただけで、偽装をした本人、設計事務所、見落とした検査機関、施工業者、売り主である建築主、特定行政庁や国土交通省といった監督省庁、金融機関、買い手である住民といったところが、この「玉突き衝突」に巻き込まれています。
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by gskay | 2006-04-20 06:29 | 真相 構図 処分