小嶋元社長の取り調べへの期待(5)
竣工検査・完了検査が済み、登記がなされて以降、引き渡し前の内覧、振込手続き、保険関係の手続き、引越手続き……などが行われています。それまで住んでいた家を売却した人もいるようです。そうした一連の流れが、引き渡しに先だってにあります。

引き渡し前後の流れは、経験していないとわかりにくいかも知れないと思います。一戸建てでも、分譲であれば、似たような経験をすると思いますが、建築主として注文した場合は事情が違うのではないかと想像します。

報道を見る限り、そうした流れがおさえられていないと思います。そうした流れを検証すると、いつまでなら、スムーズに取引を止められたのかがわかるはずですが、そうした検証はないようです。

また、表沙汰になっているイーホームズとヒューザーという関係者の他に、国土交通省という重要な関係者の存在が忘れられているいるように思います。国土交通省および特定行政庁である藤沢市は、この複雑な手続きを強制的にストップすることができたはずです。金融をふくめ、様々な利害があっても、公的な強制力なら、ギリギリまで発動可能なはずです。しかし、していません。

発覚から公表までのタイムラグの経緯も、よく考えると不明瞭です。被害の拡大の要因の一つになっていると思います。未完成の物件については、工事や計画の中止の対応が取られています。にもかかわらず、完成していたり、引き渡しが済んでいる物件では、契約者や所有者にも事情が知らされないないままでした。未完成の物件でも、契約者は、事情を知らされず、契約解除に至るまでに無駄な時間をすごしています。

さらに、重大性の認識という点も、「震度5強で倒壊のおそれ」という評価や「0.5」という基準は、はじめからあったというよりは、後からの理屈のようです。その妥当性の検討も含め、どの段階から関係者に了解され、一般化したのかも検証されなくては行けない問題だと思います。

耐震性能が下がっている時点で重大の問題だと、今では考えられています。ところが、この事件に関係していない物件でも、1割も問題があるとされています。どういう重大さを持っているのか再検討する必要があると思います。

こうしたことは、悪事を追及する上では役に立たないかもしれません。しかし、システムの問題を明らかにし、将来に備えるためには必要な検討の機会になると思います。

おそらく、捜査に進展があっても、「どうすれば良かったか」ということは明らかにならないでしょう。捜査は、あるべき形を模索するものではありません。しかし、あるべき姿を模索するための材料を提供してくれると思います。

建築行政の当局や、立法府、それにマスコミや業界関係者、一般国民が広く取り上げるべき問題です。耐震偽装の構図や、「詐欺」という悪事は、野次馬にとっては面白いかもしれませんが、そちらにばかり目を奪われ、その周辺で明らかになった重要な問題を軽視してはいけないと思います。
[PR]
by gskay | 2006-05-23 20:43 | 真相 構図 処分