コストと性能
経済設計は、高度な技術だと思います。耐震偽装事件にはじまる混乱と風評は、高度な技術として経済設計を追及している建築士にもダメージを与えてしまいました。高度な技術として経済設計を追及することと、デタラメな設計とが混同されてしまいました。ようやく、疑いが晴れたつつあるようです。

高度な技術としての経済設計は、パズルのように試行錯誤や工夫が必要で時間と手間がかかるものと想像します。おそらく、設計料は安くはないと思います。それでも、それに見合うメリットがあったのだと思います。

そういう人が、構造設計してくれていたらよかったのになぁ。

まともに経済設計をめざせば、手間と時間で大変なのだと思います。これに対し、うちの元建築士は、手間と時間を惜しんだのではないかと思います。結果として、仕事が早くなり、優秀な建築士と誤解されていたのだと思います。実際は、技術不足で、経済設計以前の問題だったような気配ですが……。

この件に関し、引用した記事にあるように、取り締まり側の無責任さは問題だと思います。さらに、技術不足も。騒いだマスコミも、しかるべき責任をとるべきだと思います。

耐震計算偽造:中山建築士「関係機関は謝罪すべき」 手がけた物件耐震性確認 /熊本


 「国側に検証を委託していた6件ともに強度は確認されました」
 熊本市は24日、木村建設(八代市、破産手続き中)が関与し、当初「強度0・43」とされたマンションを含む同市内の6物件が耐震基準を満たしていると発表。それに対し、対象物件を設計した中山構造研究所代表の中山明英・一級建築士(53)は「当然の結果」と憤りをあらわにした。
 市は当初、6物件の耐震強度偽造の有無を確認するため、県建築士事務所協会に構造再計算を依頼。同協会で「偽造なし」と判断された時点で強度は「0・43」など耐震基準を大幅に下回る数値もあった。当時から、市は精査を予定していたが、県が2月に数値と物件名を公表。中山建築士は「発表は間違い」と県や事務所協会に激しく抗議した経過もある。
 中山建築士は市の発表後に会見。最初に再計算をした協会の建築士が匿名とされたことに対して不満をあらわにし「『0・5以下』は、強制退去という社会的影響のある数字。なのに匿名で発表するのは無責任」と声を荒らげた。「不安を与えた施主と入居者に、誠意を持って謝罪すべきだ」とも訴えており、今後同協会や暫定値を発表した県に謝罪を求めるという。
 会見後、市建築指導課職員は中山建築士に日本建築防災協会の調査結果を手渡した。中山建築士は「防災協会は私の考え方を理解してくれた。精査途中の数値が公表されたことなどが混乱の原因だ」などと指摘した。【門田陽介、谷本仁美】

5月25日朝刊
(毎日新聞) - 5月25日14時1分更新

経済設計を単純に悪だと決めつける風潮ができてしまったことは残念です。本来は、メリットのある高度な技術だと思います。このようなニュースが流れても、意識が正されるのかどうかはわからないと思います。誤った先入観は消し難いと思います。

ところで、注意しておかなくてはいけないのは、技術的な合理性無く無駄に「頑丈」にしても、しかるべき性能は得られないという点です。しかるべき設計が必要です。コストをかけて材料をふんだんに使うなら、それに見合った極大化した性能を目指して欲しいと思います。

コストという代替の指標で安心を与えるのではなく、合理的な性能という直接の指標で安心を与える仕組みが必要だと思います。そして、経済設計の悪口を、技術や工夫のない設計の隠れ蓑にさせてはならないと思います。
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by gskay | 2006-05-26 10:51 | 揺れる システム