いつになるやら
法律が想定していないケースで、どの役所も対応できないというのが、この問題の最大の問題だと考えています。

メディアの中では、悪者さがしが行われていたり、悲嘆や怒りの住民が登場しています。あるいは、補償の是非や公的資金の活用の問題が論じられています。しかし、これは、表面的なことに過ぎないようです。

悪者探しが、一番盛り上がっているような気がします。

住民の取材は、ステレオタイプなものが多く、創造的でなく、深く切り込もうというものではないように思います。

補償の是非や公的資金の活用の問題も、事の是非を表面的に論ずるに留まり、法に隙間が存在するという深刻な事態を明らかにしようという態度が感じられません。

メディアに期待される報道はできていないと感じています。少なくとも、住民が、今後の見通しを立てるのに役にたつ報道は皆無。将来、起こりうるトラブルに対する対策にも役立っていません。センセーショナルではありますが、何の建設的なメッセージも含まれていないように思います。

悪者さがしでは、大きな陰謀があると考えているかもしれませんが、そそっかしくて強引だが、実行力のある経営者が露出してきました。旧弊を改革することで成功している姿が浮き彫りになりつつあります。案外、思わぬ方向にすすむ事になるのかもしれません。そして、思わぬ方向に進むにつれ、きっと普通のメディアはさめていくことと思います。日経とテレビ東京とNHKと、経済誌、業界紙だけが残るような気がします。

気の毒な住民を描きたいのかも知れませんが、あまり多いわけではありません。もちろん、不安や怒りはあると思いますが、そこにとどまっているわけではありません。このマンションの購入者は、前向きな考えの人が多く、あれこれ対策を考えて、かえって発奮しています。本来の仕事が大切なので、最前線に立てない事を残念に思っているという風情の人が多数です。身勝手な主張をする人は少数派で、みな現実的な対応を考えています。

おそらく、今までの報道スタイルでは、取り上げにくいムーブメントとなるのではないでしょうか?逆にいえば、そこに切り込めば、「良質な報道」になるのかもしれません。記者として、未来を見通す事ができるかどうかということでしょう。

また、公的な資金についての議論は、その前に、法律の不備を検証しなくてはならないと思います。

合法的な手続きを踏みながら作られた「違法」建築の取り扱いは最大の焦点になると思います。まさか、検査機関がこんなに大きなミスをするとは!

誰も想定していなかったと思います。偽造であろうが、単純なミスであろうが、誰も想像していなかったと思います。

検査機関が検査して間違いを指摘出来なかったというミスにより、一連の「違法」な出来事が発生して来ました。検査機関は、この「違法」を防止する為の機関であったはずです。その目的が達成されていないという点を重視しなくてはいけないと思います。もちろん「違法」な設計をした責任は、設計者にあります。しかし、検査以降の「違法」な状態を、合法的なものとして認めることになってしまった根拠は、検査機関の判断に他なりません。

さらに、根深い問題があることがわかりました。これは、当面の対策に関わります。

ひとつは、住居や私有の自由を地域の安全のために制限する必要についての問題です。現状では、その判断ができないようです。もし、周囲の安全を損なっているなら、危険を取り除く手続きをしなくてはいけません。しかし、普通の状態では倒壊の恐れはなく、地震と言う特殊な状態において安全を損なう可能性があるということだけで、手続きは取れないようです。

住民の安全も配慮しなくてはいけないとは思いますが、「自由」を制限すべきかどうか断定はできないと思います。通常は安全であるが、特殊な災害時には危険な場所になるところはいくらでもあります。そこに居ることを、「自殺行為」だからやめろ!と断言する根拠がないようです。

避難、避難といいますが、建築基準法に違反する物件からの退去は、あくまで自主的なものとみなされます。実際に災害が起こって被害が出ている場合の対策や、災害が切迫して被害が予想されている場合の対策と、今回の問題を同じものにはできません。たとえ建物の使用を禁止しても、行政が受け皿を用意する根拠は、法律にはありません。まして、その禁止の命令が出ていないのですから、どうしようもありません。

また、使用を禁止し取り壊すのが適当だとしても、所有者の責任が第一であり、行政は、所有者が適切な行動をしない時に、代わりに執行することができるだけです。

合法的につくられた「違法」状態であり、地域の安全を損ない、住民の安全と財産を損なっているにもかかわらず、何もできないようです。

結局、誰の説明を聞いても、自分が「合法的」に行動する目安がみつかりません。おそらく、だれも、指示らしい指示をする資格がないため、いつになっても、公的にスケジュールが定められることはないように思われます。

そういう事情ですから、住民が行政に怒りをぶつけるのは愚かです。行政の担当者には迷惑でしょう。そういうレベルではありません。法の不備を、速やかに正すことから始めなくては、対応はできない問題です。
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by gskay | 2005-11-24 17:00 | 揺れる システム