現金決済と業界の非効率
ヒューザーと業者の間の決済は、現金だったそうです。これは、業界の常識に反していたそうです。手形が普通だそうです。

ヒューザーに言わせれば、コストダウンを実現する要素の一つということでした。アパグループも同様の方針らしいという話を聞きました。他にも、同様の手法で成功している企業があるそうです。代金をうけとる業者にとっては、流動性が高く、信用が高い現金が一番重宝ということだと思います。資金繰りや現金化に悩まずに済みます。

実際には、成長中の企業は信用に劣る部分があり、現金を使わざるを得なかったのかもしれませんが、それがコストダウンに繋がってしまうというのは、業界の構造的な非効率さの裏返しではないでしょうか。

現場で働いているのは、何重もの下請けを経た業者で、一つ一つの業者が個人に近いくらい、分節化されています。この業界の構造は、業者をとりまとめるだけのような仕事に大きな意味を持たせていると思います。そこには、手形の管理など複雑な事務仕事が伴っています。無意味とはいえないものの、それを少し整理することで効果が出てしまうくらい、非効率になっているようです。

効率的に資金を確保して利益を増やすための金融の手法が、利益に繋がらないばかりか、コストを上昇させているというのはおかしな話です。また、とりまとめが必要な程、現場がバラバラになっていながら、それぞれは報われていないというのも変な話です。しかもその構造は、質の向上には繋がっていないように思われます。むしろ、欠陥工事の温床です。

現状では非効率な面が強く、中間の過程を整理することができればコストダウンにも繋がります。これは、デベロッパーと現場の業者の距離を縮め、現場への報酬を増やし、仕事の質を高めるという理念が成り立ちます。業界の常識に縛られていたり、そこで利益を上げている人にとっては、冷笑の対象にしかならないようですが……。

コストダウンへの批判は、高コスト体質を肯定する主張であってはならず、質を落とす事への批判でなくてはなりません。直接の批判は、質を確保できないということに向けられるべきです。質を確保できない仕組みという点では、高コスト体質も同じです。

高コスト体質は、現場へのしわ寄せの上に成り立っています。その高コスト体質に対処せずに無理なコストダウンをすれば、問題につながります。無理なコストダウンによる問題と、中間過程が非効率で利益がでにくい高コスト体質とは、表面化の仕方が異なっているだけで、同じ問題だと思います。

現場にしわ寄せがいかないような、中間過程のコストダウンの努力なら歓迎すべきだと思います。

ヒューザーや木村建設に関しては、目指す方向は妥当でも、不徹底で、結局、理念で終わってしまったようです。ヒューザーは、中間過程の負担を減らすために、自社施工を試み始めた矢先でした。

アパをはじめ、同様の手法は、主流ではないが、それほど珍しいことではないようです。こうした手法と、旧来の高コストな業界とは対立することもあるかもしれません。当面の軋轢の後、最終的には、現場で仕事をする人が報われる仕組みへと発展するとともに、供給されるものの質を高めてほしいと思います。

今後、材料費が上昇すると予想されています。それは、中間過程が非効率な業界を直撃しかねないと思います。本来、中間過程の充実は、そうした衝撃を緩和するためにあるはずですが、逆に作用して、負担になるように思われます。

幸い、同時に、少子高齢化を目前とした住宅に関する最後の需要の波が予想されています。ここで、工夫できれば、未来が開けるのではないかと思います。

といっても、これは、難しいことなのかもしれません。住宅の質や購入者の満足を高めることができないままかもしれないと危惧します。

もし、ここしばらくで日本の住環境が改善しなかったら、見切りをつけます。

シンガポールのマンションの方が広いそうです。これは、政策的に誘導されているそうです。日本はダメな国らしいです。(ちなみに、ヒューザーのキャッチフレーズの受け売りです)
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by gskay | 2006-06-15 16:48 | 政治と役所と業界