強気な首長
区長は、エレベーター事故について、製造元に対し強気な態度をとっています。しかし、保守や管理もかなり杜撰だったようで、区の公社の責任を考えると、製造元の責任ばかりを追及している場合ではないような気がします。

区長の主張に従って別のエレベーターに取り替えても、保守や管理がダメならダメです。徹底的に原因を明らかにして、根本的な問題の解消を目指すべきです。原因追及の過程で、絶望的な欠陥が明らかになってしまったなら、その時、取り替えを検討すべきです。

取り替え自体は選択肢として上がって当然だと思いますが、製造元による賠償で補うつもりというのは難しいような気がします。もともと、「きちんとメンテナンスをしないと危険」という製品です。また、他のエレベーターにシステムの不備が発見されていて、その交換やメンテナンスに不手際があったようですが、それは不具合のある部分を直せば済むことのようです。責任を追及しても、かわされるだけだと思います。

エレベーターの取り替えについての区長の強弁は、「態度の悪い業者だから」という位の根拠と世の中の流れに乗ったというレベルにとどまるような気がします。

ところで、この事故について、誰が悪いかと言う問題や補償の問題より、どのように悪いかということに、私は関心があります。今まで、それなりに動いていたのに、なぜ今、不具合が出たのかを明らかにしなくてはならないと思います。

とりわけ、経年変化への対応を心配しています。このエレベーターでは、経年変化に制御システムが対応できていなかった可能性があるような気がします。このような事故が他のエレベーターでは起こらないと信頼するに足る情報がありません。

報道で取り上げられた不具合のある他のシンドラーエレベーターでは、制御システムの不良があるようです。そうした不良への対応は当然重視されるべきです。その対応が杜撰であることも報道されていました。それは、メンテナンスの問題と言うべきか、製造の問題というべきか……?そちらについては、しっかりと「けじめ」はつけるべきです。

もし、問題のエレベーターも、他のエレベーターと同じようなシステムの問題だとしたら、問題は限定的になります。しかし、そうした解明された不良でなかったとしたら?

私の空想に過ぎませんが、経年変化への対応も必要ではないかと思います。そうした不具合は、従来は、現場の技術者が微調整できたのに、コンピューター化が足枷となって、難しくなっているのではないかと想像します。経年変化とコンピューター制御との関係は、未経験の領域ではないかと思います。

その他の微妙な条件の変化も、制御システムを混乱させているのではないかと想像します。設置された建物も経年変化をしていると思います。想定していないような使用方法による影響も、問題の制御システムが対応できていないのではないかと疑っています。これは、コンピューターの限界をこえているのではないかと思います。

もしそうだとして、制御システムをうまく管理すればよいのか、制御される装置の整備を制御システムに合うようにすればいいのかはわかりませんが、そうした検討から、少なくとも、制御システムの改善やメンテナンスの向上に寄与する教訓が得られると思います。

その昔、最初のジェット旅客機が悲劇の中で教訓を残したように、この事故も悲劇を乗り越えるような教訓を残せるよう、関係者は誠実に対応するべきだと思います。

その音頭をとることができる人が何人かいます。区長は、その1人だったはずだと思います。やらなかったからと言って、咎められることではないと思いますが、やって成果を出せれば、手柄だと思います。

これは、責任のなすり付け合いよりも重大なことだと思います。しかし、そこまでの仕事は考えてはおられないようです。

どうも、最近、事件や事故について、「強気な首長」が多いように思います。関係者の責任のなすり付け合いを批判します。しかし、その首長自身も、関係者に他ならず、自らの責任は棚に上げ、責任をなすりつけるための強弁や、存在をアピールするための強弁をはいているだけのことが多いような気がします。

何をすべきかもわからないが、何かをしなくてはならないという状況で、とりあえず、自分に火の粉がかからないように強弁をはいているように見えます。それだけならまだしも、無知や無責任からくる拙速な判断で、肝心な問題から目をそむけてしまったり、下手な対応で混乱させていることもあるようです。

ところが、そういう政治家に限って、人気があったりします。

私は、そういう政治家は苦手です。首長には、拙速を避け、堂々としていて欲しいと思っています。そそっかしく動き回ることと、誠実でやる気があることは別のことだと思います。また、強がってみせることと、信頼感を示す事も別だと思います。
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by gskay | 2006-06-17 00:37 | 政治と役所と業界