新聞による総括?
新聞の現時点での総括が行われています。毎日新聞は、

MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説:耐震偽装事件 捜査で安全は確保できない

で、事件を総括しています。

「姉歯被告の独り芝居」に対する疑問のニュアンスが感じられる社説です。「施工業者や販売業者らが姉歯被告を重宝がっていたことは間違いなく、偽装計算に気づかなかったのは不思議だが、」と言っています。しかし、その偽装を、見抜くのは困難だというのが問題の一つだったはずです。この発想は、事件発覚当初の見方から進歩していないと思います。

ただ、後半で、「問題を起こした当事者の加罰にばかり目を向けがちな風潮も、何とか改めさせたいものだ。計算法によって耐震基準がまちまちになっているような建築確認の制度が、偽装を許す温床になっていた面は見逃せない。行政の不手際や怠慢こそ、姉歯被告の刑事責任にもまして問われねばならない。」と指摘しています。重大なポイントだと思います。

続けて、「事前規制型から事後チェック型へと社会が移行したとはいえ、刑事責任追及には限界があることも、事件が教えているのではないか。」としていますが、司直の捜査によって明らかにされるべき問題と、国土交通省や特定行政庁という建築の取り締まり機関によって明らかにされなければならない部分が異なっていることを無視していると思います。

建築の技術は、日進月歩であり、その進歩を促進するための民主的な仕組みが作られています。その仕組みがうまく機能していないという点が問題なのであり、それを、司直の捜査に押し付けるべきだとは思いません。警察はその部分に充分な配慮をし、民主的な仕組みを無闇に踏みにじっていないと思います。ただ、国土交通省や特定行政庁が、それに応えているかというと、疑問です。

さらに、「地震に備えるためにも、建設行政の信頼を回復するためにも、国交省は偽装の再発防止策だけでなく、建設業界からの不正、腐敗の一掃を目指し、徹底した施策を講じなければならない。」と締めくくっています。業界の構造に対するアプローチは国土交通省の責務だと思います。しかし、不正や腐敗の方は、国土交通省だけでなく、司直の手で捜査され、厳正に処罰しなくてはいけない部分だと思います。

良く読むと、論理がねじれた不思議な社説だと思います。

他に、読売新聞では、

耐震偽装「構造的詐欺」崩れる

という総括の記事を目にしました。こちらは、「姉歯被告が売り物にした格安の構造計算に、建設会社やコンサルタントの『経済設計』の思想が重なって被害が拡大したのが事件の本質。偽装を長年、見抜けなかった建築行政の不備が一番の問題ではないか」としめくくっていて、「構図」の問題より、建築について検査や手続きの問題を重視しています。

毎日新聞でも読売新聞でも、当初からつい最近まで、「構図」を取り上げて自らが狂騒してきたことについてのコメントはないようです。その狂騒に、誰がどのように関わったきたかという検証や、狂騒が残した影響についての反省はないようです。

政治の舞台や、マスコミ、それにネットで繰り広げられた狂騒は、この事件の重要な一部分です。
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by gskay | 2006-06-23 23:29 | メディアの狂騒