「オウム事件以来」の成果
耐震偽装の捜査終結に関する報道が約1ヶ月前から伝えられてきましたが、本当に終わるのだと実感させる記事です。引用した記事では、規模の大きさを改めて強調しています。

耐震偽装の捜査本部解散へ 4万5000人投入し終結


 耐震強度偽装事件を捜査していた警視庁と千葉、神奈川両県警による合同捜査本部は7月1日、一連の捜査を終えて解散する。昨年12月の設置以来、延べ約4万5000人の捜査員を投入した。
 「オウム事件以来」とも言われた大規模捜査で、構造計算書を偽造した元1級建築士姉歯秀次被告(49)=議院証言法違反罪などで起訴=ら9人を逮捕、うち6人が起訴された。
 国土交通省が昨年12月、建築基準法違反容疑で姉歯被告を告発したのを受け、警視庁が捜査本部を設置。その後、千葉、神奈川両県警の捜査員が加わって90人態勢の合同捜査本部となった。
 同月以降、約250カ所で家宅捜索を実施して約1万4000点の証拠資料を押収。
(共同通信) - 6月30日18時42分更新

この捜査に対し、不十分であったとか、「構図」を証明できなかったとか、微罪の別件しか立件できていないとか、黒幕を逃がしたとか、様々な批判があると思います。「構図」を取り上げ、それに沿って考えて来た場合、納得できないのではないかと思います。

ただ、もし、早くから「単独犯行」を自供してたり、ウソを見抜く事ができれば、これ程の大きな事件にならずに済んだのではないかと思います。捜査のための労力や費用は尋常ではなかっただろうと思います。構造計算書の偽装と、関係者を巻き込むことになったウソという二つの罪が彼にはあると思います。

名義貸し問題は、業界の常態のようで、見せしめかもしれませんが、有資格者による業務独占についてインパクトがあったと思います。他の耐震強度偽装では、無資格者の取り扱いが苦慮されているようです。この一連の事件で、今後、建築士の業務が適切化されることになると思います。

ところで、この事件では、建物の違法性の摘発や分析に対し、警察は慎重であったと思います。一つは、建築行政は、国土交通省の責務であり、しかも専門家による民主的な仕組みが尊重されていたという点から慎重になったのではないかと思います。決して、弱気ではなく、領分をわきまえた捜査だったと思います。日進月歩の技術に対しての配慮があったのだと思います。

ちなみに、建築を分析できる捜査官はいないそうです。それを、体制の未整備とみるべきだとは思いません。やはり、専門的なことは、専門家によって対処されるべきだと思います。警察に建築の専門家を配置すべきだとは思いません。ただ、専門家による対処が不十分というのは、この事件で明らかになった点です。国土交通省も特定行政庁も、付託にたる組織とは言えないようです。

微罪で別件にすぎないと批判されている内容のうち、木村建設の粉飾決算は、一種の取引ではないかと思います。破産財団にとって不利にならない材料です。

しかし、木村建設と小嶋元社長の発覚後の代金受け取りという詐欺容疑は、関係者は罪を認めていないようようです。罪の有無はともかく、今後、詳細に検討し、裁判の過程で、どのような関係者が関与し、後戻りができなくなったのかということが明らかになると思います。金融機関や登記等の手続きとの関係を中心に検証されなくてはなりません。

また、この詐欺容疑の検証では、発覚から公表に至るまでの公的な権限が果たした役割と責任についても裁判を通して明らかにして欲しいと思っています。

イーホームズの架空増資は、木村建設の粉飾決算同様、不誠実な会社は問題を起こすという教訓になったようで、ライブドアや村上ファンドなどと同様に、コンプライアンスの問題と位置付けられるのかもしれません。経理のコンプライアンスと、検査の能力とは別の問題なので、検査の能力の問題として取り扱って欲しい問題だったのですが……。経理が誠実でも、実力不足はダメです。また、それは特定行政庁の建築主事についても同じことです。

まだまだ、検証しなくてはならないことがあるものの、捜査は、大きな成果を残していると思います。同時に、行き届いた配慮のもとで行われていたと思います。不満を持つ人が少なくないと思いますが、それは、前提に誤りがあると思います。
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by gskay | 2006-06-30 22:36 | 真相 構図 処分