戸建て住宅の「建築主」
共同住宅では、住宅取得者が「建築主」であるという事業は、ほとんどないのではないかと思います。通常、売り主になる業者が「建築主」になっています。

ところが、戸建て住宅の場合、建て売りの分譲と、注文建築では異なっているようです。建て売り分譲では売り主になる業者が「建築主」になっていますが、注文建築では住宅取得者が「建築主」です。

「家を買う」のか、「家を建てる」のかの違いです。業者と住宅取得者の関係では、建て売り分譲では売買ですが、注文建築では請負です。

そのような差はあるものの、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、建て売り分譲の売買であろうが、注文建築の請負であろうが、瑕疵担保によって住宅取得者は保護されています。

ところで、今回の耐震偽装に関連して実施されている公的な対応は、「建築主」に対して冷淡です。ビジネスホテルや賃貸マンションについては公的な対応が施されていません。「建築主」には、建築確認を申請したという責任があるからだと位置付けることができますが、もし、ここで「建築主」の責任を強調しすぎると、注文建築の場合の住宅取得者の責任が重くなってしまいます。

欠陥住宅は、従来、施工レベルで発生するものが多く、その立証が困難であったり、責任関係が曖昧である事から、住宅取得者は放置されて来ました。その状況は、共同住宅であろうが、建て売り分譲であろうが、注文建築であろうが、同じ状況に置かれてきたのではないかと思います。

今回、違法な設計と、違法な建築確認による欠陥という新しいパターンが登場しました。この場合、証拠はふんだんにあり、立証は困難ではありません。

しかも、たまたま、注目されたのが分譲マンションであったので、住宅取得者には、違法な設計や違法な建築確認への関与はありませんでした。「建築主」として責任を負う必要はありませんでした。

しかし、これが、注文住宅であったなら、住宅取得者の立場は、ビジネスホテルのオーナーや、マンション業者と同じ「建築主」であり、建ててしまった責任を逃れることはできなくなるのではないかと思います。

欠陥を指摘し立証するのは容易でも、責任を追及したり、損害を回復しようとすると、注文建築による住宅取得者は、「建築主」としての責任を負わねばならない立場になってしまうのではないかと思います。

欠陥住宅の問題を考えるとき、住民という立場を守るという発想が重要だと思います。現状では、建築という事業からの視点ばかりが強いように思われます。最終的に、人が住む建物だということに価値をおくという観点から考える必要があると思います。
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by gskay | 2006-07-10 11:33 | 安全と安心