旧耐震基準のマンション改修費補助
旧耐震基準で作られていても、理論的には、うちのマンションのように建て替え相当にはならないはずだそうです。ただ、耐震診断をしてみないことにはわからないというのが実情ではないかと思います。引用した記事は、改修のための補助が手厚くなりそうだと伝えています。

読売新聞は、この措置の理念を解説しています。

旧耐震基準分譲マンション、改修費3分の1を助成へ


 1981年より前の旧耐震基準で建てられた分譲マンション約50万戸の強度不足問題に対応するため、国土交通省は来年度から、財政、税制などの各面で総合的に住民を支援し、耐震改修を促進する方針を固めた。

 旧基準によるマンションは、耐震強度偽装事件の「姉歯物件」並みに強度が足りないものも多いと見られるが、改修は費用がかさむうえ住民の合意形成が難しく、改修は進んでいない。このため同省は、費用の3分の1を助成するほか、合意形成に向けてコーディネーターを派遣する。

 国交省の試算では、旧基準の建物の耐震改修に必要な費用は1戸当たり約300万〜400万円で、この3分の1を国と自治体で助成する方針だ。
(読売新聞) - 7月20日3時9分更新


朝日新聞は、やや詳しく報じていて、問題点も指摘しています。

asahi.com旧耐震基準のマンション、改修費補助を2倍に 国交省


2006年07月20日23時00分
 国土交通省は20日、現行の耐震基準を満たさない分譲マンションの補強工事促進に向けて、改修費の補助率の上限を約33%と現行の約2倍に引き上げる方針を固めた。補助制度を05年度に設けたが、多額の費用負担に尻込みする居住者が多く、改修のめどがなかなか立たないためだ。国交省は07年度予算の概算要求に反映させる。

 中古マンションの改修費は1戸あたり300万〜400万円が相場とされるが、実現には区分所有法の規定で通常、居住者の4分の3以上の賛成が必要だ。耐震改修の補助率の上限が国・地方合わせて15.2%となっている現行制度のもとでは、これを利用した分譲マンションの改修実績が全国で数棟にとどまっている。

 81年から適用されている現行の耐震基準は、震度6強から震度7程度の大規模地震でも倒壊などの被害が生じないことが前提条件。国の推計では、現行基準を下回る住宅は全体の25%にあたる1150万戸。そのうちマンションなど共同住宅は150万戸にのぼる。

 政府は2015年までに現基準を満たす住宅の割合を90%に高める方針を打ち出している。だが、分譲マンションの耐震改修に補助制度を設けている市町村が1割に満たないなど、行政側の対応の遅れが目立っている。

最大の問題は、朝日新聞が指摘するような自治体の体制作りの遅れだと思います。予算を必要とするため、どうしても腰が重くなるのだと思います。

また、記事では言及はありませんが、建物を修繕して使うということは、大切な発想だと思います。しかし、修繕に関わる業者の勢力が強くないためか、作る仕事の方が主流です。今後、業界は、修繕や管理の業務にもっと注意を払う時代が来ると思います。

業界の意識が変われば、自治体の意識も変わるのではないかと思います。あるいは、この予算が通れば、業界の意識を変える起爆剤になるのかもしれません。

これまで、耐震改修促進は、不特定多数が利用するような公共的な建物への配慮が法的にも実際問題としても中心でしたが、対象が個人の住宅へと広がっていくのだろうと思います。旧耐震基準の既存不適格の住宅については道が開けてきました。まだ不十分かもしれませんが、前進です。

一方、新耐震基準の違法建築については対応らしい対応がありません。本来、建築確認や完了検査によって違法建築がないはずという前提なので、対応は必要ないのかもしれません。

今回、その確認や検査があてにできないことがわかりました。さしあたり、建築確認という行政処分にかかわる違反については、今回の耐震偽装物件への公的対応により、制度として前進を見せつつあります。

しかし、施工の欠陥については手つかずです。施工の欠陥も完了検査の違反を伴うものなので、建築確認の段階の違反とどのように違うのかわかりにくいと思います。加えて、問題を明らかにするためには、耐震検査を費用をかけて行わなくてはなりません。障害は、施工レベルの問題の方が山積みです。

また、戸建てへの対策も配慮が必要だと思います。引用した予算は、マンションが対象ですが、記事にもあるように、戸建ての方が多いのですから……。
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by gskay | 2006-07-24 10:16 | 政治と役所と業界