指定管理者や民間委託
「官から民へ」の流れで、「指定管理者」の仕組みが普及しているようです。無駄な経費が削減され、事業の質が改善されることが期待されています。

しかし、期待通りにいかないところが出ています。人命を犠牲にしてしまう事件まで起きてしまいました。

指定管理者や民間委託の仕組みは、無駄を省くという点が重視されているように思います。公の事業が肥大化し、非効率になっているのに対し、民の競争を導入して内容を向上させようという発想のようです。

また、事故が起きたときに、自治体の負担を回避できるというような発想もあるようです。しかし、国家賠償法にいう「公務員」とは、公務員法上の公務員に限定されておらず、法令により公権力の公使の権限を与えられていれば、身分上の私人も含むとされています。契約の文面よりも重要なポイントです。無責任な体制を作る制度ではないはずです。

ところで、指定管理者や民間委託は、うまく行けば絶大な効果があります。うまくいくためには、素材の良し悪しは重要だと思います。また、柔軟な意思決定が確保されているかどうかによって発展が変わってくると思います。

素材の良し悪しは、施設やサービスの潜在的な可能性が活かしきれていなかった場合、民間の活力が効果を上げることがあります。逆にいえば、潜在的な可能性に乏しいなら、焦って民間に預けても効果は上がらず、民間は利益を出すために、コストを目一杯削ってくるだけになる可能性があります。

意思決定については、公的に運営されている時に比べ、現場の状況の把握や大胆な判断が期待されていると思います。しかし、実際には、自治体の担当者の権限は大きいままで、民間業者はそのいいなり。現場のモラルも低下してフィードバックさえ滞ってしまうこともあるようです。

自治体の担当者が、現場のことをますます知らなくなってしまっているなら、謙虚に現場の声に耳を傾けるべきです。知りもしないことを、威張って押し付けている場合ではありません。

業者が自律して判断できないばかりか、自治体側に意見を言えなくなり、顔色をうかがってばかりいるなら、公的に運営していた時の方が良かったということになるでしょう。

また、現場で働く人が感じていることや疑問が、発展のヒントになるはずなのに無駄にしている可能性もあります。

下手に「官から民へ」を実践すると、公的に運営していたときより悪くなることがあると思います。そして、問題があっても、問題が先送りされる傾向に拍車がかかっているのではないかと危惧します。

実感としては、民間参入により、サービスは大して変わっていないことが多いと思います。とりあえず、コストを削減できているというなら歓迎すべきでしょう。利用者へのアンケートが増えるのには閉口しますが……。

たまに、すごい変化を見る事があります。千駄ヶ谷の東京体育館のプールにたまに行きます。ここは、単なるリニューアル以上の成果が上がっています。活かしきれていない素材の良さが、活用されたと思います。
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by gskay | 2006-08-16 13:57 | 政治と役所と業界