二院制
耐震偽装についての国会での追及は、人々の期待を裏切ったと思います。ただ、よく見ると、華やかではないところで、地道な努力が行われていました。

衆議院では、内閣や政府、与党への追及へと問題が進みかけました。空振りでしたが……。

一方で、参議院では、マンション住民やビジネスホテルオーナーなどへの地味なアプローチが行われていました。それが、活かされることになるのかどうかはわかりませんが、参議院は特徴を発揮していたのではないかと思います。

ところで、衆議院が、首相を選出したり、予算を決めたりという事項について優越した立場を持っています。このため参議院は、衆議院のおまけのような存在だと捉えられ、不要だと考えている人が大勢いるようですが、私は、参議院は必要だと思います。むしろ、参議院は、もっと定数が多くてもいいのではないかと思います。

選挙の仕組みが異なる二つの議会がうまく機能すれば、とても良い仕組みだと思います。あいにく、選挙の仕組みの違いがわかりにくく、不徹底な部分があることと、参議院が注目されず、何をしているのかがわからないため、二院制の価値が低く評価されていると思います。

衆議院は、優越的な立場と、選挙制度から、内閣と近接した関係にあると思います。より行政的な課題に対処することが求められていると思います。衆議院は、議院内閣制を担う機能が優先された議会で、内閣と運命をともにする役割です。

衆議院の選挙については、小選挙区制度により、事実上の二大政党制が形作られていると思います。小選挙区で、競り勝った政党が政権につく仕組みになっています。一院制であったり、政権を決めるための仕組みだけなら、衆議院は小選挙区だけでも充分かもしれません。むしろその方が、多数決に関し安定しますが、それだけに留めず、少数意見を尊重するためにも、衆議院の比例代表があるのだと思います。この比例代表の仕組みは、もし、参議院がないのなら、うまくは機能しない仕組みかもしれないと思っています。

参議院は、比例代表的な選挙制度になっています。地方区の選挙の定数がバラバラで、一人区があるなど、不徹底な制度になっていて、それが参議院の印象を曖昧にしているものの、参議院は、二大政党がぶつかる場所ではありません。衆議院で第一党として頑張っている政党も、単純な支持率では、半分を超えることはまずありえず、小規模の政党への支持は無視できません。その小規模の政党を前提として、支持率にほぼ比例した形で、議員が選ばれる仕組みになっています。

衆議院で圧倒的な議席を占め、内閣や予算等についての掌握した与党でも、参議院で過半数を占めない限り、法律については、参議院では連立や連携、協定を必要とします。比例代表的であるため、参議院で単独過半数は、現実問題として不可能だと思います。このため、衆議院で多数を占めても、政権を得て政府の運営ができるだけで、法律を制定には不十分です。法律によって、仕組みを作ったり、未来を創造するためにには、参議院での議決を必要とし、そのために、他党と組まなくてはなりません。

参議院は、衆議院のコピーではないと思います。小選挙区制により、二大政党制による安定した議院内閣制を支えているのが衆議院であり、内閣との関係に限定して、優越的な権限を持つ一方で、内閣と運命をともにする議会になっています。一方、参議院は、比例代表により、バラバラになりがちで、不安定ではあるが、小規模な政党の立場も反映できる仕組みを作っています。性格は全く異なっていると思います。

むしろ、衆議院の比例代表が、参議院のコピーの役割を果たしているのが現在の制度だと思います。衆議院の比例代表は、大勢には影響しないと思いますが、参議院を前提した連立や連携、協定を衆議院に反映させるために必要な仕組みとして、小規模政党にも議席獲得の余地を作っているのだと思います。

いまだにくすぶる参議院不要論は、衆議院が中選挙区と呼ばれる制度だったころに、衆議院の特徴がはっきりしないために主張されたことではないかと思います。マスコミや識者の中には、制度の変化についていけていない人が多いと思います。仕組みが変わって随分経つのに、昔の選挙制度を念頭にしか考えられないのは問題だと思います。

今後、法律についての議論が活発になり、注目されるようになれば、事情が変わってくると思いますが、残念ながら、今のところは低調です。国会の役割は、内閣との関係とは別に、立法についての役割が強調されるようにならなくてはならないと思います。

衆議院の与野党の攻防は、内閣の運営を巡っての論議が中心になりやすいものです。それは、今現在の問題や、過去の問題が中心です。内閣や与党のメンバーのことを論じる内向きのものです。

その一方で、参議院での法律についての議論は、少数を尊重しながら充実させる必要があると思います。そこでは、広く現場からの情報を集積するととに、将来の設計図が議論され、技術的な先進性が求められると思います。

耐震偽装問題での両院の議論は、かなり性格の差が出たのではないかと思います。

一層の政治家の資質の向上は当然として、とりまく環境の変化も必要ではないかと思います。マスコミの国会に対する姿勢には、首をかしげたくなるものが多く、それは不勉強が原因だと思います。

今の国会の役割分担と選挙制度は、政党政治が発展した状況での議会制民主主義としては、かなり良く出来た仕組みであると思います。二院制と議院内閣制が機能する仕組みだと思います。内閣の安定という点でも、少数意見の尊重という点でも優れています。そして、小規模政党が存在し、第一党が支持率で過半数をこえない状況にも適しているのではないかと思います。

ただ、参議院の地方区の仕組みには疑問がありますが……。
[PR]
by gskay | 2006-08-24 17:54 | 政治と役所と業界