御代官様の御気持ち次第の御沙汰
国レベルでも、地方レベルでも、これまでの仕組みは、計画から実施、その監督や取り締まりまでが一元的で、「御代官様の御気持ち次第」という傾向があったと思います。許認可や確認、届出に関することも、「御気持ち次第」で行われていたことが、耐震偽装の温床の一つだったと思います。

問題の耐震偽装を見逃したために、それを適法として位置づけることになり、建物は適法な手続きのもとで出来上がってしまいました。「御気持ち次第」だったと思います。「御上」も「下々」もそれを当然として建物を建てていました。

違法が明らかになってからの処分についても、技術的な合理性や、私有財産の処分、既に実施された登記や課税のための評価などの公的な処分を飛び越えた大胆な方針が示されました。これも、「御気持ち次第の御沙汰」であったのかもしれません。

こうした「御沙汰」を受入れる上で、既存不適格物件の安全の確保との整合性が、私にとっての最大の懸念です。

そういう点では、冬頃から報道されていた公的施設や病院、学校等の既存不適格の問題や、旧住宅公団の強度不足の問題等、積極的な対応の必要性が強調されて来ました。今回、国の施設でも同様の発表がありました。


防災拠点の官公庁、45%が耐震不足…国交省が初公表


 国土交通省は25日、同省が所管する全国の防災上重要な官公庁施設393棟について、耐震強度の診断結果を初めて発表した。

 耐震基準を満たしていない建物は全体の45%にあたる176棟に上り、うち36棟は耐震強度が基準の50%に満たなかった。いずれも震災時に災害復旧の拠点となる施設だけに、国交省では危機感を強めており、今後10年以内に改修実施率の9割達成をめざす。

 東京・霞が関の中央省庁で耐震強度が50%未満と診断されたのは、農水省が入る中央合同庁舎1号館北別館(26%)、防災を所管する内閣府の本府庁舎(37%)、経済産業省別館(32%)など5棟。全国で強度が最低だったのは、第4管区海上保安本部などが入る名古屋港湾合同庁舎別館(名古屋市)で、耐震基準のわずか16%だった。
(読売新聞) - 8月25日22時14分更新


既存不適格については、随分強度が低くても、のんびりと対応してよいものなのだということに、少々疑問がわきます。財政的な妥当性を考慮して対応するのが当然ということなのかも知れません。

だとすると、どうして、ヒューザーについては破綻をする以前から、あのような対応をしたのでしょうか?住民による破産の申し立てによる破産手続きの開始のはるか以前の12月6日には、国のスキームが出ていました。あの時点で、ヒューザーは、事後に費用を請求する相手になっていました。ヒューザーを抜きにして、それほど急ぐ理由があったのでしょうか?

ヒューザーの破産財団から配当となる資産の残り具合と、公的な施設での悠長な対応を見ると、なぜあのように急いだのか疑問です。これも、「お気持ち次第」ということでしょうか?

ところで、「御上」は、建築確認や検査を適正に実施する責任と、違法を取り締まる追及する立場や、それに対処する立場がごちゃ混ぜになっています。責任を追及される立場と、責任を追及する立場や対策を行う立場が分離しておらず、それが、公的な対応と責任追及との関係を複雑にしてしまっています。そして、「御代官様の御気持ち次第」プラス「トカゲの尻尾きり」を可能にしているのではないかと思います。

この問題への対応は、行政の担当者が臨機応変に対応していいようなレベルの問題ではなかったと思います。しかるべき対応は、立法を介するべきだったと思います。

ただ、今回については、対応が始まってしまい、うちの区の担当の人からは、「制度」という位置付けだと聞いていることから、手続きの問題は、あまりつべこべ言っても仕方がないと思っています。ただ、行政先行の措置は、今後は通用しにくくなると思います。

今後、このような「御代官様の御気持ち次第の御沙汰」がないよう、しかるべき立法体制が必要だと思います。その前提として、中央官庁の権限を地方に移したりする必要もあると思っています。
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by gskay | 2006-08-30 09:42 | 公的対応