ドタバタの挙げ句
本来は、売り主の瑕疵担保責任で対応されるべきで、その結果として売り主が被った損害が、関係者に賠償として求められるという流れになるはずでした。しかし、ドタバタの挙げ句、ヒューザーには建て替えも、買い取りもできないはずという予断が共通理解となり、国のスキームが始動しました。ドタバタが流れを決めたのかもしれません。

耐震偽装されていた非ヒューザー物件の分譲マンションのひとつで、売り主による買い取り方針が伝えられました。Qu/Qunが0.5以上であったことや、業者や住民に対する積極的な配慮から公表が控えられていたのが軟着陸のポイントのようです。売値の9割以上の価格での買い取りで、その後建て替えの方針だとか。

asahi.com耐震偽装物件、不動産業者買い取り 東京・蒲田


耐震偽装物件、不動産業者買い取り 東京・蒲田
2006年08月31日11時53分
 姉歯秀次元建築士による耐震強度偽装物件の一つで、耐震強度が0.59と発表された東京都大田区の分譲マンション「エクセルダイア南蒲田」(9階建て、32世帯)の建築主・東邦ハウジング(大田区)は31日までに、全世帯を買い取り、新たに建て替えることを決めた。既に住民が退去して解体作業が進められており、2年後の新築を目指すという。姉歯元建築士による偽装物件で完成した分譲マンションのうち、建築主側が買い取りをするのは初めて。

 同社によると、買い取り価格は、住民が購入の際支払った額の90%以上。耐震強度が0.5を上回っているため、改修での対応も可能だったが、「過去の清算をしたい」と、全世帯が売却に合意したという。

 同マンションは3月に区が耐震強度を発表した際、「再建計画に影響が出る」と、建物名や所在地を公表していなかった。

他にも、賃貸目的でない非ヒューザー分譲マンションは存在しますが、そちらも、ヒューザーのような特別扱いはされていません。ブームが過ぎてから問題が明るみに出たことや、会社のいろいろな意味での姿勢や、他に複雑な背景があることなど、話題として取り上げにくかったのかもしれません。

ところで、ヒューザーの破産財団の様子は伝えられている通りで、着実に資産の処分が進んでいるようです。意外に資産があるという状況です。破産管財人が継承した訴訟については、資産の処分によって損害が問題でなくなったり、住民が訴えを起こしたことに対応して、順次取り下げられているようです。

耐震偽装されたマンション関係の債権の届出は、それぞれの物件について、住民サイドと、自治体サイドからの届出がなされているようです。様々な公的な対応に要する費用について、住民が届けているところもあれば、自治体が届けているところもあり、中には双方が届けているところもあるとか。

国のスキームによる公的な対応が大枠として設定され、制度として機能しています。しかし、絶対的なものではなく、自治体の独自の判断による対応も尊重されているという状況です。こんなところでも、自治体毎の方針の差が現れているようです。

破産管財人の判断は、とても重要です。自治体からの届出と、住民からの届出とをどのように評価するかが任されているからです。もし、不満が出た場合、自治体や住民、あるいはその他の債権者が訴訟を起こす可能性もあります。中途半端に財産がある破産財団の悩みだと思います。もし、破産財団が空っぽなら、そういう判断は、ほとんど無意味になるからです。

今回に限っては、中途半端な財産の配当をめぐり、破産管財人が、自治体の取り組みを評価し、値踏みするという機会になってしまいました。

自治体からの届出については、藤沢の物件の除却費のように、ヒューザーが特定行政庁を相手に起こした訴訟をからめて、和解による取り下げの余地があるようです。しかし、様々な問題を乗り越える必要があるようです。こじれてもおかしくない状況も発生しつつあるようです。

その辺のやりとりには、希薄な根拠に基づいた初期のドタバタよりも、しっかりとした情報に基づくだけに、重要なメッセージが含まれているように思いますが、あまり注目されていないようです。核心にせまる地道な作業が進められていますが、物件毎、自治体毎、それぞれが独自の対応をしています。独自であることも、話題になりにくい原因かも知れません。

注目を集めることがいいかどうかについては、初期のドタバタのような注目は困ります。過剰反応が、辻褄があわず、かと言って、元にもどせない状況を作ってしまったように思います。

自治体も、その背後の国土交通省も、今さらながらヒューザーへの対応に苦慮しているのではないかと思います。初期の想定とはかなり異なる展開になっているようです。あのドタバタで大きな役割を演じたマスコミには関心がないことのようですが……。

あの時、別の方針で進む余地があれば、個々の損害や社会的負担は大きく変わっていて、このような苦慮は別のものになっていたかもしれません。少なくとも、ヒューザーの破産管財人に、自治体の取り組みが評価されるという事態は発生しなかったと思います。

こういう状況を作ってしまった以上、自治体や国土交通省が、沽券に関わる問題だとして、ヘソを曲げるようなことはしないで欲しいと思います。住民としては、これ以上の新しいこじれは避けて欲しいのです。
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by gskay | 2006-08-31 18:32 | 損害と回復