耐震偽装への刑事裁判開始
実質的には、唯一の耐震偽装での刑事裁判だと思います。経済設計を目的として偽装が行われたという「構図」が、広く信じられていると思います。しかし、偽装が先にあり、副次的に経済設計が加わったという構図も浮上しています。多くの記事が、広く信じられている構図に基づく中、引用した記事は、偽装が先にあったという立場からみているようです。


asahi.com冒頭陳述、「偽装の連鎖」の構図指摘 耐震偽装事件


冒頭陳述、「偽装の連鎖」の構図指摘 耐震偽装事件
2006年09月06日23時41分
 収入を増やすため、うそを重ねて強度の偽装を拡大させ、責任は他人に転嫁した——。姉歯被告の初公判で検察側は、冒頭陳述や、姉歯被告の捜査段階の供述を明らかにして「偽装の連鎖」を描き出した。

 「偽装で仕事が早く、より多く受注できた。金もうけに慣れ、人命を軽視していることが頭に浮かばなくなっていった」(捜査段階の供述から)

 姉歯被告は96年ごろ、元請け設計事務所にマンションの構造設計の変更を依頼され、強度に余裕があったためコストダウンに成功した。事務所側は「経済設計ができる建築士」と評価し、東京都中央区の8階建てマンション「ゼファー月島」の構造設計を依頼した。

 ところが、姉歯被告は高度な構造計算が必要な高さ20メートル以上の鉄筋コンクリート造りの構造設計は未経験で、能力もなかった。それでも受注を維持するには構造計算書を偽造するしかないと考え、96年12月ごろ実行。その後、木村建設などの物件でも偽装を続けた。

 「得意先を失って減った年間売り上げをバブル期の2000万円にしたかった。偽装しなければ多くても1000万円だが、2100万円を超えた」(同)。検察側は、姉歯被告が、欲しかった高級外車のベンツとBMW、ブルガリの70万円の時計を買ったほか、妻が長期入院する中、愛人に金銭やネックレスを貢いでいたことも明らかにした。

 しかし、偽装は発覚する。検察側は国会での偽証の動機について「能力不足や受注継続のためと正直に証言すれば、非難が一層激しくなる」と考えた姉歯被告が、03年ごろ、木村建設元東京支店長の篠塚明被告(45)=建設業法違反の罪で公判中=からコストダウンを要請されたのを思い出し、責任を転嫁しようとした、と指摘した。

 「ゼファー月島で始めたことははっきりと頭に浮かんだが、言う気になれなかった。責任を軽くしようと思った」。検察側は、偽証の経緯について語った姉歯被告の供述調書も明らかにした。


もともと、構造計算について誤った認識をしていたため、まともな計算はできていなかったのではないかと思います。いくら計算しても答えが出ないような誤った計算をしていたため、苦し紛れに偽装をしたのが真相ではないかと、私は思います。

偽装が通るなら、経済設計は簡単です。その結果、二次的に経済設計が売り物になったのだと考えています。偽装で、全ての物件で経済設計が達成されていたのなら、理解の上で経済設計を目的とした偽装を行っていたといえると思います。しかし、経済設計にもばらつきがあり、デタラメで、結果として過剰設計もあり、技術的な能力は低かったと思います。

高い能力を背景に経済性を追及していたというずるさより、低い能力をごまかすための偽装が、大事になったという事件ではないかと思います。専門家としては、謙虚に自分の技術を高める努力を怠っていたという恥ずべき行為だったのではないかと思います。
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by gskay | 2006-09-07 07:03 | 真相 構図 処分