公表
公表するのが、早かったのか遅かったのか。公表にいたるプロセスがどうだったのかということが話題になっています。これも、悪者探しの一環のようです。

つらい告知には、タイミングはとても重要です。そして、その告知の後の対策も重要です。対策もないのに、不用意に告知するのは、愚かです。真実を伝えることは必要ですが、対策と伝え方の工夫があってこそです。

そういう意味では、伝え方の工夫が足りないメディアが多いと感じています。

随分、昔に新聞を読むのをやめました。自分の日々の暮らしのほうが面白く、知恵を与えてくれます。(そんなこと言っているから、今回の物件を引き当ててしまったのでしょうか?)それに比べ、新聞は退屈です。(でも、今回ばかりは、読んでます。)

テレビのニュースもほとんど観ませんでした。観るのは、ワールドビジネスサテライトだけでした。(でも、今回は、観ています。はじめて古館さんのニュースを観ました。)

「もっと早く知らせてくれれば」という不満は、適当ではありません。公表されたのは、国土交通省での再検査で、危険が確認されたからという理由だったではありませんか?

偽造や審査ミスがあったとしても、安全に問題がなければ、住民への伝え方は、全く別のものになったでしょう。おそらく、偽装した建築士や、それに気付かず提出した設計事務所、それに審査ミスをした検査機関をとがめるというニュースだけだったと思います。

しかし、今回は、危険な建築物が作られ、そこには、住民がいるということが明らかになりました。事情は、大幅に変わり、いかに、悪をこらしめるかという問題ではなく、いかに住民や、周辺住民に対応していくのかという点が、最優先課題になりました。危険に対する安全確保の問題になったのです。だから、公表が必要になったということです。

発表にいたるプロセスは、おそらく苦渋にみちた議論があったことだと思います。最終的には、議論に参加した全ての人が、己の首をしめなくてはならないからです。

その中で、「安心を提供する」という責務を忘れ、安易に公表してしまおうというのは、必ずしも責任のあることだと評価できないと思います。情報を垂れ流しにすると、説明責任を果たしたような気になる人がいますが、無責任です。その情報を、どう役立てるべきかがわからなければ、情報に価値がないばかりか、無用な混乱を招きます。

「この程度だったら、公表しなくていいのではないか」という発言があったようですが、それは、計算結果が出る前であれば、許されると思います。無用な混乱をさけるためなら、ありえる選択肢です。「こわれるかどうか、地震がくればわかる」というのも、乱暴な発言ですが、現在の制度では仕方がないでしょう。耐震基準は、理論計算で、確率を計算しているだけです。「必ず倒壊」ということではありません。また、もし、基準を下回る度合いがすくなければ、混乱をさけるために、危険だという発表を控え、住民と相談して補修をはじめることを考えてもいいかもしれません。

しかし、ひとたび、計算で危険が明らかになったのであれば、適切に危険を発表しなくてはなりません。そして、実際にただちに発表されました。

とはいうものの、発表された時点では、危険性の実態や対応の具体策はありませんでした。先の見えない状況に放り込まれ、ずいぶんと気をもみました。いろいろな状況に対応した対策を、再計算と並行して済ませておいて欲しかったと思います。そういう意味では、「早すぎた」ともいえるのでは、ありませんか?

対策が遅かっただけかもしれません。しかし、この順番での伝え方は、あまり感心しません。

途方にくれました。せめて、対策の概要だけでも明らかにできるようにしてからにして欲しかった。発表の時点では、事件の概要もわからず、途方にくれることしかできませんでした。(今では、この通り、すこしは余裕があります)

さて、計算結果が出る前に行われたらしい議論が取り上げられています。様々な可能性や影響を考えるための議論での発言が、やり玉に上げられています。しかし、これを、挙げ足をとる材料として使うのはフェアでしょうか?結果論で責めることはできますが、あの時点では、その可能性もあり、少なくとも誠実に思考をフル回転させていたのだと思います。

しかも、少なくとも、ひとたび、危険が明らかになってからは、行動のブレはないように思います。そちらを評価すべきだと思います。

彼は、その気になれば、トンズラも可能でした。しかし、にげませんでした。そして、逆風の中で、自らの主張を続けています。説明が下手なのか、こちらの理解力の不足か、それともメディアの歪曲かわかりませんが、すぐに了解できない主張もあります。しかし、よく考えるとまともなことを愚直に主張しているだけのような気がします。

彼を悪者にしても、住民は救われません。我々が、瑕疵担保責任が請求できるのは、ヒューザーだけです。その彼が、補償を誠実に実行しようと駆け回っているのに、水をさすことしかしていないマスコミばかりだと思います。

住民の不安という現実に、本気で取り組んでいたのは、そそかっしい発言で誤解を招く彼です。ステレオタイプに、不安をあおり、それをネタに報道を行うマスコミは、火に油を注ぐ存在で、問題を解決することには、今は、邪魔。

マスコミの理解力のなさや、分析能力のなさに呆れます。

しかし、いちいち誤解を招くようなことをしでかしてくれるキミ!何で、こっちが、弁護のための解説を書かなきゃならんのだ!

しっかりして欲しいものです。ヒューザーが倒れたら、こっちは、瑕疵担保責任の請求という正当な権利が消滅してしまうのですから。
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by gskay | 2005-11-26 22:16 | 揺れる システム