公団の違法建築  (このタイトルは不適切です)
朝日新聞が詳しく報じているので、引用します。89年という古い物件です。公団は、民間に対する建築確認制度とは異なる仕組みで建築確認が行われます。特定行政庁では審査はなく、通知のみとのこと。

書類は、保存されているはずでしたが、すでに、重要な書類が失われてしまっているとされ、検証の方法はなく、設計段階の意図を明らかにするのは、困難であろうと思われます。どういう経緯で、このような建物が生まれてきたのかは謎のままになることと思います。

URによる補償が行われることと思います。さすがに公的な団体であり、ヒューザーのようなことは、様々な意味で起こらないと思います。破産することはないでしょう。経緯の解明や、関係者に対する責任追及も、ヒューザーのようには行われないでしょう。

書類が整っていないせいで、施工より前の経緯は追及できないため、「施工不良」で済まされてしまうのかもしれません。

asahi.com八王子の旧公団マンション、都市機構検証でも強度不足


2006年10月11日20時24分
 都市再生機構が旧公団時代の89年に分譲した東京都八王子市のマンション1棟の耐震強度不足を住民が指摘した問題で、同機構は11日、通常の設計を前提に計算した場合、最弱部分の強度が基準の71%にとどまるとする検証結果を明らかにした。同機構は「機構の分譲住宅として不適切な部分があった」と謝罪する一方、「評価方法によっては最低限の基準を満たし、違法とは言えない」とも釈明した。

 この棟は鉄筋コンクリート造り6階建て。同機構は設計時の構造計算書を紛失し、日本建築構造技術者協会(JSCA)に設計図に基づく構造設計の検証を依頼した。

 JSCAの報告では、安全性の余裕を見て、梁(はり)や柱をせん断破壊する力を2割増ししても耐えられる設計を前提とした場合、耐震強度は1階の最弱部分が基準の71%。1割増しでも1階が83%と強度不足だが、割り増しせずに計算すると、全階で100%以上だった。

 同機構は通常、せん断破壊の力を1〜2割増しで構造設計し、JSCAも2割増しを推奨している。このため同機構の稗田昭人カスタマーコミュニケーション室長らが11日、記者会見し、「居住者に瑕疵(かし)物件を販売した」と謝罪した。

 当時の住宅・都市整備公団が分譲したこの棟がある団地では、施工不良が次々に発覚し、建て替え問題に発展。この棟の住民は独自に耐震強度の検証をJSCAに依頼し、5月下旬に最弱部分が基準の58%という結果を得ていた。

このような建物がなぜ造られてしまったのかという問題と同様に、問題に対してどのように対処してきたのかという点も重要です。このような建物が出来てしまった経緯に関心が集中しがちですが、旧公団の場合、いろいろあって、書類をもとに検証することができなくなっていて、追及は断念せざるをえません。

他紙では、設計の経緯を調査して、関係者の処分を行うという内容の報道もあるようですが、どうなることでしょう。建築の経緯にこだわっても、成果はないと思われます。むしろ、違法ではないかという疑いが起きてからの対応の的確さが問われるべきではないかと思います。同時に、書類の管理についても。

引用記事中の、「通常の設計を前提に計算した場合」というのが、何を意味するのか、私にはわかりません。このフレーズは、「2割増ししても耐えられる設計」を論ずる段落と関係しているのでしょうか?「実は、大丈夫」といいたいのでしょうか?

「評価方法によっては最低限の基準を満たし、違法とは言えない」という釈明は、技術に関する議論で、難しい問題です。これは、ヒューザー物件についてもいえることでした。もし、ヒューザーの時のような対応であれば、このようにのんびりとしていられたかどうかわかりません。まして、そういう釈明をしたら、何をいわれたことか……。

性能が足りない建物をどのように評価し、どのように対処するべきかということが、世間的にも、法律的にも、全くはっきりしていません。このケースもその問題を抱えています。

年数が経っている物件で、19戸という多いと評価するにも少ないと評価するにも微妙な戸数です。現実問題として、今後、どのように対応が行われるのか気になります。

(追記) 違法という表現は不適切ですが、タイトルは違法と言う言葉を残し、不適切であることを付記しました。本文中では、違法という言葉を減らしました。次のエントリは、このエントリへ訂正エントリになっています。

「2割」の意味もわかりました。「実は、大丈夫」のようですね。
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by gskay | 2006-10-12 10:22 | 揺れる システム