倍返し
アパグループについては、完成前で引き渡し以前であり、手付金の倍返しで解決だと思います。契約解除の申し出がいつ行われたのかという点や、その経緯については気になるところですが、これらの物件についての最低限の責任は果たされたことになると思います。

ちなみに、ここまでは、ヒューザーでもできたことです。ヒューザーの契約解除がどのように行われたのか詳細はわかりません。しかし、問題にはなりませんでした。

ところで、春には問題が発覚し、6月には国会でも取り上げられています。それが、どうしてこの時期に問題になっているのかを明らかにはしていないと思います。同様の報道が、他にも出るのかと思っていましたが、朝日新聞だけのようです。他を待っていた分だけ、少し古い記事になってしまいました。

asahi.com巨大マンション建設中断 構造計算の検証できず


2006年11月01日16時52分
 首都圏で建設中の大規模マンションの構造計算書に数値の不整合が見つかった問題で、埼玉、千葉両県内の分譲マンション2物件の検証作業が難航し、工事が半年以上中断している。複雑な構造計算の考え方をめぐり、構造設計を手がけた富山市の1級建築士と検査側の見解の相違が大きく、溝が埋まらないためだ。建築・販売主のアパグループ(金沢市)は両物件の契約者に対し、手付金の倍返しなどの条件で契約解除を申し出た。

 工事が中断しているのは埼玉県鶴ケ島市のアップルガーデン若葉駅前(369戸、15階建て)と千葉県成田市のアパガーデンパレス成田(130戸、12階建て)。若葉駅前は3分の1程度、成田は8割方、工事が進んでいる。

 構造計算書はいずれも富山市の1級建築士が作ったが、いったん建築確認した検査機関イーホームズ=5月に指定取り消し=による再調査で、一貫性のない点が見つかった。同社が2月末〜3月に埼玉、千葉両県に連絡し、両県は工事中断を指導。若葉駅前97戸、成田64戸が契約済みだったが、アパグループはその後の販売を自粛した。

 建築士は、6月初めに朝日新聞がこの問題を報じた時点で、若葉駅前について「時間の制約があり、未完のままデータを差し替えた構造計算書を提出した。計画変更で是正するつもりだった」と認めたが、成田は「誤記」と説明。両物件とも「耐力(強度)には問題はない」と強調した。

 その後、国土交通省はこの建築士が手がけた全国42物件の抽出調査を開始。検証が終わった21件の構造計算に問題はなく、耐震強度も十分と確認された。

 ところが、若葉駅前と成田の2物件は、構造計算をめぐる検証作業が、一向に終わらない。

 5月にイーホームズから、「さいたま住宅検査センター」と千葉県がそれぞれ審査を引き継ぎ、一から実際の建物と、不整合部分を修正した構造計算書の点検を始めた。

 作業は、工事が進んでいる成田が優先。千葉県建築指導課によると、成田の5棟のうち4棟は安全性が確認されたが、1棟は検討が続いている。一方、埼玉県建築指導課によると、若葉駅前の6棟のうち2棟は問題なく、2棟はほぼ検証済みだが、残りの2棟は検討が進んでいない。

 両県によると、コンクリートの重さや梁(はり)の鉄筋量の算定などに、標準と異なる手法が多用されているのが遅れの一因。根拠を示すように求めているが、建築士は正当性を主張し、平行線が続いている。第三者機関から助言を受ける調整が進んでおり、決着にはさらに時間がかかる見通しだ。

 建築士は「建物の安全性をごまかすようなことは一切していない」と説明する。

 アパグループは、契約解除について国交省などに報告し、契約者に通知、送金する一方、事業継続を強調。同グループの元谷外志雄代表は「指摘された問題は解明に向け、最善の努力をしている。契約者に迷惑をかけないよう、誠実に対応していく」と話している。

問題は、「未完のままデータを差し替えた構造計算書」という点です。そういう書類が、どの程度あるのかを把握する必要があるのではないでしょうか?この手続きについては、国会でのやりとりで、違法であるという見解が示されています。

違反行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について(技術的助言)によれば、「関与物件リスト」が作られることになっています。疑義がある場合とされており、必須ではありません。しかし、問題の重要性を考えれば、是非必要ではないかと私は思います。

アパグループと政治家との関係に関心が寄せられているようですが、私は、その点には興味がありません。悪い事をするわけでないのなら、非難する必要はないと思います。

それより厄介なのは、行政の判断です。とりあえず、やるべきことをやっているかどうかが重要だと思います。行政が適当にさじ加減を決めてお沙汰をするやり方になっているのではないかと危惧します。

徹底した対応をした場合、関係者がどうなるかという問題も気にはなります。もし、その影響を考えて手加減を加えているとしたら許せないことです。政治の影響を受けているのかもしれません。しかし、そういうことは無いという前提で考えても、行政の「お気持ち次第のお沙汰」が通用し、どんな判断をしたとしても、咎められたり、責任を負ったりしないで済む仕組みになっていることに疑問を感じます。

技術的・能力的な問題という言い訳に逃げ込むべきではなく、責任の所在を明確にし、真に前向きに対応しているかどうかが問われるべきではないかと思います。

引用の記事は、アパグループと契約者との関係を中心に報じているように思いますが、この問題は、行政の判断が強く関与するという点からの検証も必要であると思います。
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by gskay | 2006-11-06 21:53 | 政治と役所と業界