微妙な変化
建築確認を始めとする検査は、建築に口をはさむものの、責任は負わないというのが、当初の態度だったと思います。しかし、情勢が少しづつ変化していることを感じます。

朝のJ-WAVEの番組の中のニュースで、建築確認について「民間検査機関への求償権」を自治体に認めることを明記するという内容が放送されていました。その放送を聞いた時、「何だろう、キューショーケンって?」と思いました。もっと噛み砕いた表現は無いのでしょうか?

あいにく、その他のメディアで取り上げられたのかどうかはわかりませんが、大きな変化だと思います。

これまで、「確認だから、許可とか認可とかいう行政処分と同列には論じられない」とされてきました。違法を避けるのは最終的には建築主などの責任だとしているからと説明されていました。その説明を聞いて、「だったら、やめちゃえばいいのに」と私などは考えていました。口だけ出して余計なお世話です。

無謬であり、一旦適法とされたものは、いつまで適法であると言うことなら、その手続きに価値はあったと思います。しかし、結果として違法建築になってしまったものは、手続き的に適法であっても違法であるとされることになりました。もはや、無謬ではありません。

無謬は否定されたものの、適法として進められた手続きについては宙ぶらんでした。その責任は明確ではなく、誤りの場合でも損害賠償が請求できるかどうかも曖昧でした。事によると、その曖昧さがなくなり、損害賠償が請求できるという方向になるのかも知れません。

今後、特定行政庁は誤った建築確認についての責任を負うとともに、それにかかわった民間検査機関に、賠償のために生じた損害を請求するようになるのではないかと思います。

そうすると、これまでの公的な対応の意味が変わってきます。少し、私の考えに近くなると思います。

この他に、引用する次のような記事が目に入りました。

asahi.com国交相、「安心くださいまでいってない」 耐震偽装1年


2006年11月17日10時57分
 姉歯秀次・元1級建築士による耐震強度偽装を国土交通省が発表してから1年となる17日、冬柴国交相は閣議後の記者会見で、中高層建築物の耐震性について、まだ国民に対する「安全宣言」を出せない、という考えを示した。

 同省が姉歯物件以外の検証として、民間検査機関が確認した耐震強度が基準ぎりぎりの103件を調べたところ、15件に構造計算の不備が判明。一部は強度不足が濃厚だ。また、全国387の分譲マンションを抽出したサンプル調査でも、これまでに問題なしと判定されたのは74件。

 冬柴国交相は「今日までに結論を出して不信感を払拭(ふっしょく)したかったが、安心くださいと申し上げるところまでいっていない」と説明した。

 制度の不備に対する国の責任については、「非常に難しい法律判断を伴う」と明言を避け、「住民の立場で損害を軽くする方策を実行している。これが国の責任の履行ではないか」と述べた。

前半は、現実問題として深刻です。一方、最後の段落は、「明言を避け」ているものの、司法での判断が、国のこれまでの主張と異なるものになることに備えているのかもしれないと感じました。

ところで、然るべき配慮をしない限り、ほとんどの建物は、再検査を希望しないのではないかと思います。結果が悪かった時、我々のような負担を背負うことがわかっているなら、尻込みする人が多くても当然だと思います。どれだけ大変なのかだけが、メディアを通して広く伝えられています。それでは、安全確保への道は開かれません。
[PR]
by gskay | 2006-11-17 23:59 | 公的対応