発覚直後に何ができたのか?
イーホームズが問題に気付き、本格的に行動を開始した時が「発覚」の時点ではないかと思います。イーホームズは、少なくとも国土交通省の担当者に連絡しているのみならず、返事までもらっているとのこと。さらに、ヒューザーや、関連する業者と会合を持ったと伝えられています。その会合を持ったことで藤沢の物件の引き渡しを中止すべきだったかどうかが、小嶋社長の詐欺についての裁判です。

いかにして耐震偽装の建物が出来たのかという問題とは、直接関係はありません。しかし、国土交通省をはじめとした公的な機関がどのように関わったのかということを明らかにする上でも、重要な裁判です。それに関わった人たちの責任が明らかになるかもしれません。これは、公表後のドタバタにも連なる問題です。

発覚から、公表までの期間に状況がどのように変わっていったのかが明らかになることを期待します。発覚の時点で、いきなり、公表時の情報が集まったわけではないはずですから。

問題の藤沢の物件は、発覚時点で引き渡しの直前であり、当然、完了検査が済み、登記がなされていたものと思われます。金融機関については、買い手のローンの手続きもすでに済んでいたはず。元の家を処分した人は、すでに、売却後であったろうと思います。そうした手続きを、全てキャンセルするに充分な判断の根拠が、発覚直後にすでにあったのかどうかが問題です。そして、キャンセルする手だてがあったのかどうかも問題です。

小嶋社長が意識していたかどうかを中心に考えるのは、問題を変質させているのではないかと思います。たとえ小嶋社長が意識していたとしても、どうしようもない事情は沢山あります。それをいちいち検討しなくてはならないと思います。

ところで、そもそも、「偽装」は発覚していたものの、耐震強度の低下は明らかではなかったはずです。偽装しか発覚しておらず、再検査も、再計算も済んでいない以上、耐震性能が違法なほど低いかどうかはわからなかったはずです。それでも不法な引き渡しといえるのでしょうか?

さらに、違法建築の取り締まりを行うべき、特定行政庁が何をしていたのかということも重要です。違法建築であるかどうかを決めるのは、特定行政庁のはずです。管轄する特定行政庁は、あの時点では、違法という判断ではなかったのではないでしょうか?そもそも、知らなかったのではないかと想像します。

結局、発覚直後には、何もできなかったと思います。小嶋社長もヒューザーも、特定行政庁も。もちろん、登記を担当する法務局も、住宅ローンに関わる金融機関も、元の家の売却を扱った不動産業者も。

公的な処分が何も下る前から、少なくとも、新しい契約を中止している点で、むしろ、小嶋社長は賢明だったとさえ思います。

事情が明らかになってから、無理矢理さかのぼって処分をしようとすることに疑問を感じます。特に関係する様々な出来事を無視してまで。

もし、小嶋社長が有罪になるなら、公的な取り締まりの仕組みの機能不全も問われなくてはならないと思います。

なぜ、藤沢市の建築主事は動かなかったのか?それは、イーホームズも、国土交通省も、ヒューザーも、藤沢市の当局に知らせたり、問い合わせたりしなかったからですが、中でも、責任関係を最もややこしくしているのは、国土交通省の支離滅裂な対応では?イーホームズに対してのはじめの返事と、その後の対応に随分と開きがあるようで……。

違法であることについて、公的な処分は関係ない?  

……だったら、既存不適格をはじめとする違法な建物も、「違法建築」なので、ダメってことになるのでしょうか?

また、実は、安全の評価は充分にされていないのに、耐震偽装の建物には処分が行われてしまいました。辻褄も合わず、公平性もいい加減です。そして何より、安全確保につながりません。その結果、ドタバタの対応が行われてきました。

発覚から公表までの公的機関の対応が重大なポイントであり、小嶋社長の詐欺容疑は、それを明らかにするための手がかりにすぎないと思っています。(でも、そういう方向には進まないのだろうな……。検事の調書などという、別の重大な問題まで起きちゃって……)
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by gskay | 2006-11-22 14:02 | 政治と役所と業界