ヒューザーからの配当と公的対応
もともと国土交通省は、ヒューザーの経営状況は考慮せずに、公的な対応を始動させたと言っていました。(支援の決定過程)ヒューザーが破産するかどうかと公的な対応が連動していないというのが前提で、公的機関が、対応へ支出する費用はヒューザーへ請求することになっていました。

ところが、ヒューザーは、住民による申し立てにより破産の手続きが始まってしまいました。そして、公的機関も公的対応の費用を破産債権として届出ています。うちの区の場合、住民の債権との関係を検討し、弁済による代位によって請求しています。そうした手続きが不徹底であった自治体もあるようで、大方の自治体の債権は管財人により認められませんでした。

住民については、ヒューザーから20%を見込む配当があり、その一方で、公的機関の債権の多くが認められていないことから、公的な対応による補助金を20%減額するという方針を国土交通省が打ち出しています。公的対応の主体は、各自治体であるので、その方針が貫かれるかどうかわかりませんが、一律に減額するより、支出の中身を細かく検討することが大事ではないかと思います。

そもそも、ヒューザーが生き残っていれば、住民の追加負担はゼロのはずでした。ヒューザーが生き残れなくなった条件の一つに、住民への公的な対応が事実上強制的に始動してしまったことがあります。

もし、非ヒューザー物件である最初の姉歯物件と同じように対応することが許されたならば、公的な対応のほとんどは必要がなかったものではないかとさえ思われます。

また、まさか、20%という大きな配当が出るとは予想せず、ヒューザーの資産はゼロになるのではないかと予想されていたのではないかと思います。ゼロを前提にしていたので、当局は驚いてしまったのではないかと思います。

住民からの破産の申し立てを止めることもできたはずです。私は積極的ではなかったものの、結局賛同しているので、偉そうなことは言えませんが……。

破産管財人が優秀すぎたのかもしれません。その分、行政の裁量で始動した公的な対応のお粗末な部分が明らかになってしまったように思われます。

公的な対応の始動の時点でヒューザーの実力と、なすべき対応の正体を正しく見極めていたなら、ヒューザーを生き残らせておいた方が費用の面では賢明であったかもしれません。当局の担当者がパニックになって支離滅裂な判断をせず、科学的で合理的な安全や安心への評価を冷静に検証していれば、このような不可解な資金の心配はしないで済んだのではないかと思われ、悔やまれます。まあ、日本で最優秀な頭脳であってもこの程度なのですから、仕方がないのでしょうが……。それに、一部の専門家や、マスコミも同調したわけだし……。

少なくとも、この公的な対応については、非ヒューザー物件である最初の姉歯物件の対応との公平性を欠いています。また、元々、既存不適格などの物件を放置しておきながら、安全や安心についての判断も素朴すぎます。将来の教訓となる経験として活かすというのは、このままでは難しく、汚点となってしまうのかと思うと残念です。猛省し、今からでも方向を修正してもよいのではないかと思いますが、もはや、忘れたいのでしょうか?

いちいち、公的な対応は、裏目裏目に出ていますが、全く意義がなかったともいえないと思います。

住民への対処が不適切と判断された場合、業者は退場させられることが明らかになりました。ただ、どういう対処が適切であるかという肝心の問題が不明のままですが……。これは、前提や根拠、内容や負担の妥当性さえ論じなければ、少なくとも、耐震偽装については、退去や建て替えの推進に繋がったと評価することができると思います。

さらに、実際の主体は、国土交通省ではなく、自治体であるということが明らかになりました。自治体毎に、独自の判断や対応が行われ、かつ、それが貫かれるという土壌ができました。もちろん、個々の自治体の判断に対し賛否が出るとは思いますが、国の一元的な支配が、かなり後退したことになります。これは、中央から地方への分権の流れにとって大きな意味を持つと思います。

20%の減額についての問題は、これも、自治体毎の独自性を考慮した上での対応になるのではないかと思っています。
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by gskay | 2006-12-01 12:21 | 公的対応