行政の裁量の限界
三菱自動車の欠陥隠し・リコール逃れ事件の刑事事件で、興味深い判決が出ました。様々な反応があるようです。
東京新聞のサイトから引用しました。
リコール業務が適切に行われるべきであることは当然です。業者だけでなく、行政まで、そのやり方が、あまりに杜撰であるということが指摘されている判決だと思います。 法律に基づかない行政指導がまかり通ってきました。行政の裁量には、超越的に地位があたえられ、それが無謬であるとされてきました。しかし、もう通用しないのかもしれません。 リコール対策室は、安全の為に誠実に業務を行ったと主張するのかもしれませんが、デタラメなルールで押し通してきたために、かえって重大な問題の温床になっていた可能性もあります。 これは、耐震偽装の問題にも通じる問題です。 事件の重大さは変わらず、関係者の責任が否定されたわけでもないようですが、刑事的な罪を問う裁判としては、門前払いにあったようなもののようです。 また、弁護側が主張している「欠陥の認識」の問題は、技術的な議論が必要な問題であり、単純ではないと思います。疑わしい場合は、前向きに措置を講じておく方がいいと思われ、結果的には判断ミスだったと思いますが、その時点の情報の限界は見極めなくてはならないと思います。 これは、小嶋社長の裁判にもいえる問題です。安全問題については、問題を指摘した役所が、本当に適切に問題を指摘しているかどうかあやしく、後から責任逃れの論理を作り、責任転嫁をしていると思われるフシがあると感じています。 超越的な存在とされてきた行政が、機能不全に陥っているだけでなく、超越性さえも失いつつあるのだと思います。技術的な判断能力も陳腐になっているように思われます。 私は、行政が超越性を失うのは妥当だと考えています。そのために、国会があり、内閣があるのですから。 ところで、こういう行政当局のデタラメの後始末として刑事裁判を担当させられている検察に少し同情します。行政当局のルールがあまりにいい加減すぎて、検察にはどうしようもないだろうと思います。 同時に、いつも問題の火の粉がかからないところに退避してしまう行政当局については、いつまでも放置していていいのかと疑問に感じます。せめて、問題を立法に活かすために、国会が充分に調査を行わなくてはならないのではないかと思われます。罪を問うべきかどうかは別として、責任を明確にして、将来のために適切な仕組みを作っておくべきだと思います。 (追記)中日新聞に参考になる記事があったので、追加引用します。
by gskay
| 2006-12-14 18:51
| 政治と役所と業界
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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