小嶋社長への追及
結局、瑕疵担保責任を果たす事ができていないダメな売り主という側面には、証人喚問での追及の関心は及ばなかったように思います。また、そもそも売り主、建築主が果たすべき役割や責任についても議論は深まらなかったように思います。法令の不備という問題の核心にも何も触れられていません。

小嶋社長については、新しい物件の建て直しや買い戻しで瑕疵担保責任を果たし、古い物件についても賠償を行うことが出来ていれば、今更、国会に引きずり出される事はなかったかも知れません。自力で解決していれば、公的資金を使うかどうかという議論もなく、もっと早く収束していたかも知れません。

また、もし、売り主や建築主としての責任の取り方や処罰の仕組みが明確であれば、彼が行くべき場所は、国会ではなく、拘置所や裁判所であったかも知れません。あるいは、仕組み次第では、まったく責任を問われずにすんだのかも知れません。

いずれにせよ、彼の経営の失敗によって、住民への対策が混乱し、会社も規模を縮小しなくてはならなくなり、社会に大きな影響を与えているという点が、目下の現実的な問題です。

彼なりには、頑張ったのかも知れませんが、結果的には、ダメな経営者でした。

早い時期から、責任を果たすことが困難であることを、彼はわかっていたのかもしれません。公表前には、売り主、建築主として、イーホームズとやりあい、懇意の政治家と国土交通省に駆け込み、ごねて対応を迫った。公表直後には、興奮気味に駆けずり回り、注目を集めた。でも、何も解決しませんでした。

そもそも、彼は、商品管理ができていませんでした。「危険」というレッテルがはられることになる違法な不良品を世に送り出してしまいました。そして、その不良品への対策も果たせていません。挙げ句、会社の営業ができなくなるところまで追い込み、社員を退職させるしかなくなってしまいました。

後は、破綻?もし、会社が生き延びるとしても、被害者補償のためにのみ。

広くて安いマンションという理想や、建築業界の高コスト体質への挑戦という旗印まで、道連れにして、ダメにしてしまったような気がします。

彼が標榜していたものの中で、評価するべき良いものまで否定してしまったような気がします。国会が、冷静にそこまで取り上げ、分析ができれば、将来にとって有益であったであろうと思うと残念です。

今後、広くて安いマンションを手に入れるのは、もう難しいのかもしれません。そして、これからも、高コスト体質で現場が圧迫され続けるのかもしれません。

ところで、証人喚問は、関与した建築主たちの中で、「なぜ、彼だけなのか?」ということは明らかにされていたのでしょうか?

最初に発覚した物件の売り主、建築主であったから?
抱えた問題物件の数とその被害が大きいから?
分譲マンションの売り主であったから?
そして、住民のための公的な資金を必要とするようなダメな経営者であったから?

……そうであるなら、そういうことが問題になり、議論され、何かがえられたのでしょうか?

真相の究明だとしても、偽造に関わったどうかということが問題だったはずなのに、偽造を知った時から、耐震基準を満たさないということが公的に判明するまでの間の振る舞いが、刑事訴追につながるかどうかという問題になってしまいました。刑事訴追につなげようにも、あいにく、偽造があったということが、重要事項にどのように反映されればよいのかは、自明ではありません。そもそも、建築確認の誤りを想定していない仕組みしかないのですから。加えて、偽造があったにもかかわらず、耐震基準を満たしている物件はあった。

そうした事情を、どのように評価していくべきなのでしょうか?そこを、国会が扱う以上論ずるべきです。そうでないなら、司直に委ねるべきです。

私の個人的な感想としては、契約なり、引き渡しについては、止めておくか、説明しておくべきだった思います。その慎重さがなかった点も、ダメな売り主ということができます。

政治家の関与への追及も真相とはいえないように思います。法令の不備で、行政がうまく機能しない時に、政治家が腰を上げないで、一体いつ政治家が活躍すると言うのでしょうか?政治家と業者と官僚の癒着と言うステレオタイプで決めつけ、見境なく政争の道具としていいのでしょうか?

肝心な問題は、なんだったのでしょう?

仮に真相の究明と悪の追及だったとして、その「悪」の存在の可能性は高まったのでしょうか?

突破口や確証があるなら別ですが、この先、疑惑の隠蔽とかごまかしについて論じ続ける事で、一体どんな教訓が生まれるのでしょうか?何を将来に活かそうというのでしょうか?

それは、すでにあらわになっている現実の問題を後回しにする価値がある問題なのでしょうか?司直に委ねてはだめなのでしょうか?

あまり注目は高くないかも知れませんが、参院の参考人招致は、有意義なものになって欲しいと願います。
[PR]
by gskay | 2006-01-17 23:23 | 真相 構図 処分