アパホテルの耐震偽装公表の経緯
このタイミングに公表されたことで憶測が飛び交っています。これまでは、メディアが沈黙している一方で、藤田さんが告発を続けていました。藤田さんの本が出てから1ヶ月。そして、政治情勢もいろいろあるようです。加えて、選挙も。そうした事情から、憶測が生まれているようです。

私は、どうような背後関係があるのかは知りません。私には、そんな陰謀めいたことや不正が行われているという証拠はみつけられません。私に見つけられるような陰謀じゃ、陰謀としては情けない限りですが……。

ところで、国土交通省の「構造計算書偽装問題とその対応について」のサイトの中の構造計算書偽装問題対策連絡協議会(第19回)議事概要には、『違反行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について』国住指第541号があり、公表に至る流れを知る事ができます。とりあえず、私が把握している公表に関する指針となる書類は、これだけです。

その書類によると、公表には二つのパターンがあります。物件の所在する特定行政庁が疑義の判明や違反事実の確認した場合、所有者への通知をへて、「違反の態様に応じ、公表の公益性と所有者の財産権の保護等を比較考量した上で公表」するというのが一つ。

特定行政庁から地方整備局等への報告をへて、国土交通大臣が「著しく危険もしくは悪質であり、社会的影響が大きいと認められる場合」に公表するというのが、もう一つです。

アパのケースではどちらに当たるのでしょうか?京都市が主体のように思われるので、前者のような気がします。かといって、国土交通省も公表に関わっているようなので、後者でもあるような……。はっきりした判断の材料は、私は持っていません。

調査に時間がかかりすぎているのではないかという疑問があるようです。6月にわかって調査を開始したとしても半年かかっています。それに対する疑問のようです。

再計算するだけでも、時間がかかります。その知識や技術を持っている人も限られています。そうした人をかかりきりにさせるわけにもいきません。このため、時間がかかったと考えることができると思います。順番にこなして、やっと辿り着いたのではないかと思います。

さらに、すでに国土交通省が発表しているように、物件は多数有ります。


耐震強度偽装: マンション15件強度不足か 無作為調査で設計ミス判明


2006年12月27日
マンション15件強度不足か 無作為調査で設計ミス判明

 国交省は27日、耐震強度偽装問題を受け無作為に選んだ全国の10階建て前後のマンション389件の構造計算書を調査し、15件で不整合など強度不足の疑いが見つかったと発表した。いずれも偽装ではなく設計ミスの可能性が高いという。

 国交省は、関係自治体を通じて設計者らに事情を聴くなど精査し、強度不足が確認されれば改修を求める。

 調査は、姉歯秀次被告(49)以外の建築士が構造計算した物件で偽装が見つかったため、最近5年間に建築確認したマンション約6000件から389件を選び2月に着手。221件の調査が終わり、構造図と構造計算書の不整合などのミスが15件あった。

 また同省は、国指定の民間確認検査機関が建築確認した103件の別の抽出調査で、東京都大田区の14階建て分譲マンションの強度不足を確認したと発表。


共同通信


こうした物件の調査も進めなくてはならないとなると、作業量は膨大になり、時間がかかってしまうのではないかと考えることもできます。

また、マンションではなく、ホテルから公表されたのかという点については、ホテルの方が所有が単純だからという事情があると思います。マンションの場合、所有者が複雑です。おそらく、問題となるようなマンションがあったとしても、ホテルよりも、「財産権の保護等」への配慮が難しいのだと思います。

藤田さんの告発や出版との関係が気になるところではあります。

藤田さんは、春には問題を把握していたとのこと。それを受け、6月7日の国会の委員会で議論が行われたのではないかと思われます。ただ、この経緯は、『あり方について』が通達される平成18年5月11日よりも前のやりとりになるので、通達以降の6月の時点をスタート地点としているのかもしれません。

妥当かどうかは別として、そういう取り上げ方も出来るのかも知れません。

今回の公表に至る事情と、藤田さんの告発や出版、国土交通省の事情や、政治情勢、選挙、そしてメディアや広告会社の事情など、様々な問題をからめて考えることができないわけではありません。しかし、この件に関する限り、実際に起こっていることは、大きな陰謀のようなものではないと考えることもできます。

ただ、それぞれが、それなり波紋を作る問題であるばかりか、その波が偶然に重なり、干渉し合って、別の大きな問題に発展する可能性があります。必然的なものであろうがなかろうが、意図的なものであろうがなかろうが、受け止めていかねばなりません。
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by gskay | 2007-01-27 10:32 | 揺れる システム