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木村建設破産管財人の意見書
木村建設破産管財人は、マンション購入者の破産債権を認めていません。そこで、東京地方裁判所に破産債権査定申立を行いました。この申立は、マンションによっては全住民が行っているところもあるという話もききますが、うちは、各自の判断です。私は申立の手続きを行いました。

その申立に対し、破産管財人側からの意見書が出され、郵送されて来ました。約2週間前のことです。弁護士5人の名前が記されているもので、破産債権を認めないという意見書です。

私の方は、建設業を営むものに違法建築を作ることが許されるわけもないのに、違法建築が作られたのだから、作った木村建設には責任があると主張しています。

これに対し、管財人側は、いくつかの点から反論しています。まず、木村建設が偽装には関わっていないという点をあげています。

次に、設計を行う建築士は適法な設計を行わなければならず、また、建築確認は審査によって適法であることを確認しなくてはならない点をあげ、木村建設のような施工の業者が行う工事は、建築士の適法な設計と、建築確認による適法の確認を前提に、設計図書通りの工事をする義務があると主張しています。

この部分が議論のポイントです。管財人側は、法制度は、設計図書通りの工事を要求するのであって、適法であるかどうかをチェックすることは要求されていないと主張しています。

また、建築にあたり、偽装を発見できないままに工事した点について、いかなる過失があったかを明確にせよと要求しています。

さらに、国土交通省による指定確認検査機関の処分に差異があったことを取り上げて、過失は事案毎に異なると主張しています。

私は、建築に関わる全ての関係者が、適法な建築を作る義務を負っていると考えています。関わる業者それぞれが、違法建築に責任を負うと考えます。もし、責任の分担が法に明記されているのであれば、それに従うべきです。しかし、そこが明確ではありません。違法な設計図書を知らずに用いたのだとしても、違法建築を作ってしまったことには責任があると考えています。

ということで、過失を具体的に明らかにすべきという争点は、必要ないと考えています。そこを争う気は、私にはありません。

適法な設計図書で、違法建築をしたのなら、建築業者の責任は明白と思われます。しかし、違法な設計図書通りに工事した場合の責任は、明記されてはいないと思います。法の不備な部分です。

なお、国土交通省による行政処分の差異は、過失の差異に基づくという主張には疑問があります。行政処分の差異については根拠(指定確認検査機関の処分の基準、建築基準適合判定資格者の処分の基準及び登録住宅性能評価機関の処分の基準について)が示されているもののの、それが過失の差を直接的に意味するとは思えません。

確認制度が不備で、あらゆる建築主事も検査機関も全滅であったというのが実態です。別の意図によるものではないかとさえ思われます。行政処分(指定確認検査機関及び登録住宅性能評価機関の処分について)を参考にした議論には、納得できません。

さて、今後については、徹底的に争うべきか、あきらめるかを判断しなくてはなりません。あきらめる根拠としては、配当の原資となる資産の大きさがあります。主張が認められても配当が少ないのなら、負担ばかりで無駄です。弁護士に依頼してまで頑張る見返りはないと思います。

一方、法の不備を問う闘いというのは、意義があることかもしれません。しかし、裁判所が下す判断が、どのようなものになるにせよ、立法によって是正されるべき問題だと思います。ここで長く争うより、とっとと国会で議論した方がいいと思います。

ところで、意見書に微妙に誤字を見つけてしまいました。私も、誤字や脱字に関しては、人のことは言えないので、お互い様です。

意見書を受け取ったことを認める書類を記入し、裁判所と破産管財人にファックスしました。
by gskay | 2007-01-31 10:27 | 損害と回復