追及の方向
国会におけるヒューザーを含めた第一次耐震偽装騒動への追及で評価が高かった野党の国会議員が、今回のアパの耐震偽装に関しては、おとなしいどころか、後ろ向きのコメントを出しているという話があります。

私は、その議員にも、耐震偽装の追及に積極的だった他の野党議員にも期待していないため、驚きはありません。

何か、裏の事情があるのではないかという話もあります。そういう事情があるのかも知れませんが、そういう事情がなかったとしても、期待はできなかったであろうと考えています。

裏の事情があるなら、それが違法であるかどうかは問題になるものの、然るべき方向への修正の余地が能力的には期待できる分、救われます。しかし、問題は、そんな裏の事情などではなく、単なる能力の問題であり、追及の方向や取り組みへの心構えが見当違いだということではないかと思います。救いようがありません。

そういう国会議員に様々な期待をかけなくてはならない現状は、とても憂うべき状況にあると思います。

あの時、野党は、初動から躓いていました。当時の党首の現場の視察は、分譲であるヒューザー物件をよけるかのように、ホテル物件と賃貸マンション物件が選ばれてしまいました。何らかの意図があったのかもしれませんが、私には、疑問が残ったままです。

その後、国会での追及では、悪者探しが行われ、構図が作られ、そのシロクロをつけることや、関わりのあった政治家へのバッシングへと発展して行きました。そうした展開の中で、見事に肝心な部分が抜け落ちてしまったと思います。政治的な駆け引きの材料になってしまいました。

国会の場では、司法の場とは異なり、立法のための調査や議論が行われるべきでした。ところが、捜査ごっこや裁判ごっこが行われ、いくつもの重大な問題が放置されることになってしまいました。その一方で、メディアとともにヒートアップして、誤った方向性を作り、捜査に対し悪影響を与えたのではないかとさえ思えます。

そんなことをしていないで、問題の本質を見抜く努力をし、立法に活かすべきでした。

衆議院の国土交通委員会の参考人質疑での藤田さんの主張は、今から考えると、驚くべきものです。当時は、彼の態度の問題や表現の問題もあってか、なかなか理解されませんでした。参考人質疑で同席していた人たちも、画面や紙面を通して主張を聞いた人たちも、ほとんど理解できなかったのではないかと思います。

私も、当時はチンプンカンプンでした。しかし、今では、彼の主張の重みを理解することができます。

彼は、大臣認定プログラムで印字されるヘッダーの不整合の見落としがあったという国土交通省が主張する発生の原因を否定しました。それだけでなく、国土交通省の認識や追及の方向性が間違っており、その方針で追及しても正しい原因には辿り着けないということも主張していました。

これは、すごい指摘です。原因分析の結果が間違っているだけでなく、原因分析の進み方自体が根本的に間違っているということを指摘していたのですから。このままでは、決して問題の解決に近付く事はできないということを主張していたのです。

もし、藤田さんの主張が理解されていたなら、その後の展開は変わっていたかもしれないと思います。少なくとも、国土交通省のトンチンカンな対応を放置することはなかったのではないかと思います。

これまで評価が高かった野党議員のことは、見直したこともあります。昨年6月にアパの件で、設計変更に関わる手続きの違法性について、国土交通省の見解を引き出しています。そこに注目すると、ひょっとして追及すべきポイントを理解していたのかと思ってしまいます。

しかし、やはり、わかっていなかったのだと思います。6月の鋭い追及は、まぐれだったのか、藤田さんの発想に由来するものだったのか……。

たしかに、一部のヒューザー物件の住民からも評価が高く、期待されていることは、知ってはいます。しかし、この人は、問題の核心をついてはいないと思います。

かと言って、余人をもって替えられるわけではありませんが……。

少なくとも、アパの追及にあたって、大臣認定プログラムがどのように使われ、結果としてどのような不都合を引き起こしているのかという追及に進んでいないところを見ると、どのように問題が生じているのか見通せていないのではないかと思います。

さらに、問題の追及についての国土交通省の方針も見当はずれである点を指摘し、改めさせようという方向にも向いてはいないようです。

設計変更に関わる手続きの違法性を指摘したのは手柄に違いありませんが、ここに満足してしまってはいけないように思います。

隠蔽への思惑を問題にしなくても、取り組まなくてはいけない重大な問題があります。少なくとも、藤田さんの著書の中で指摘されているポイントくらいは、解決しようという方向性を示していいのではないかと思います。

このまま国土交通省が、とんでもない追及方針で足踏みを続けたり、あまり意味があるとも思えない小手先の法律改正を目指しているという愚を放置していていいのかという点に、あらためて疑問を感じます。これは野党に限らず、与党も不十分であると思います。

国会がもっとしっかりとしてれば、事情は変わるのかもしれません。しかし、第一人者と目される議員でさえ、その程度では、現状では仕方が無い事なのかも知れません。

こういうことがあるからこそ、適切な人材を国会にもっと送る努力が必要なのだと、しみじみ思います。
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by gskay | 2007-02-14 02:53 | 政治と役所と業界