構造設計者による再計算(2)
第一次耐震偽装騒動の熊本での混乱について、前のエントリが誤解を与えかねないという指摘を頂戴しました。

熊本の件は、手続きも法律通りで、性能もOKでした。「経済設計」に対する誤解や偏見、思い込みによる濡れ衣でした。非の打ち所がなかったというのが実態で、当局や騒いだマスコミの誤認だったという事例です。

そのことが、前のエントリでは伝わりにくく、まるで、水落建築士のように、違法な手続きをしていても、再計算で性能が保たれれば良いという発想だったかのようにとられかねない文章になってしまっています。これは、不適切です。

うたい文句の性能どころか、適法な性能さえ確保していないにもかかわらず、札幌の物件を扱う大手の売り主は強気な主張をしています。また、構造に疑いをもたれた建物の設計資料を紛失してした上に、その後の計算もデタラメだった政府系の団体もあります。

そうした滅茶苦茶なことが通る仕組みの中、むしろ遵法であろうとした設計事務所が、当局に目をつけられてしまったばかりに、危うく大変なことになるところだったというのが熊本の事例です。

弁明の機会さえ奪われ、技術者として再検査者との議論の機会さえなかったそうです。混乱を招いた誤った再検査を検証するという作業もおざなりだそうです。

こういう騒ぎに巻き込まれないようにするには、目をつけられないようにするしかないのかもしれません。

私は、法にのっとらない手続きで建てられた事例に対し、再計算の機会を与えているということについては、第一次耐震偽装騒動と比べて大きな変化であると思っています。これは、平成18年5月11日の国住指第541号が根拠になっているのかもしれません。

ただ、この通達で、第一次耐震偽装騒動とアパのケースとに雲泥の差がついてしまっていることを納得するのは難しいと感じています。アパや水落建築士が、もっと酷い目にあうべきだという主張ではありません。

この通達によって、第一次耐震偽装騒動の「騒動」による被害を防ぐ事が出来るようになったように思えます。しかし、すでに起きてしまった第一次耐震偽装騒動の「騒動」の後始末が済まないどころか、「騒動」の経緯さえ明らかにはなっていません。

また、思い切った取り締まりを行うということについても、後退してしまっているのではないかと感じています。もともと、役所の能力では無理だったということで、せいぜい、第一次耐震偽装騒動と同じヘマをしないようにするのが、役所にとっての現実的な対処の限界なのではないかと思うと、残念です。
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by gskay | 2007-02-24 00:41 | 揺れる システム