イーホームズへの追及/想像力のないプロフェッショナル
国会では、イーホームズについては、検査ミスと公表のふたつの面から追及されているという印象を受けました。検査ミスについては、私たちにとって切実な問題です。

もし、あのようなデタラメな建築確認がなければ、こんなややこしい問題に巻き込まれることはなかったと思います。あの建築確認がなければ、着工もなかったし、完成もなかったし、分譲もなかったはずです。完成までにさらに検査を行っていて、そこでも、ストップがかけられたはずです。

特に、「分譲」が前提の建物については、一旦、「分譲」が行われてしまうと、被害は極端に大きくなります。一つの企業が、損金として計上するのとは、訳がちがう。

彼は、その辺が全然、わかっていないと思いました。

確かに、難しい仕事なのかもしれません。しかし、専門家の中の専門家としての役割を自覚して引き受けた仕事ではなかったのかと思います。できないなら、最初からできないと言えばよかったと思います。あるいは、仕事の質が保てないなら、撤退すべきだったと思います。でも、会社は、成長していたというではありませんか。

プロの風上にもおけないと思いました。もし、彼が言うように、しっかりとした検査は、もともと不可能であるなら、我が国の建築確認を前提とした建築行政は瓦解してしまうと思います。建築確認には間違いがないというのが前提であったのですから。この国に建っている全ての建物の安全性を否定する発言を彼はしてしまったのです。

私自身は、いわゆる専門職(プロフェッショナル)な仕事をし、さらに細分化された専門家として働いています。常に限界については、あらかじめ説明するようにしています。仕事の上で、お互いの納得が必要だからです。不完全である可能性について了解を取らなくてはいけないからです。

しかし、彼の仕事は、法に定められた手続きに関するものでした。納得とか了解というようなものでなく、当然、法に定められた通りの仕事をしているものだと、誰もが思います。彼の会社が出した書類は、建築基準法に違反していない事を、公に確認したことを証明する書類だったはずです。決して、「ちょっと変だけど、合格」というようなことが許されないはずの。

彼の会社が正しく書類を出すか否かが、その後の、着工、完成、分譲という流れの始まりのスイッチだったのです。彼の会社は、設計をやり直させることでできたはずです。彼の会社は、着工を止めることができたはずです。彼の会社は、完成させないことができたはずです。

それが、彼の会社の仕事だったはずです。

でも、結局、そのどれもせずに、「分譲」にまで進み、忘れたころに、建築基準法違反で、建物は解体されようとしています。私は、その解体されようとしている建物の一室を分譲され、そこに、様々な設備を設置してしまいました。それも一緒に消滅します。

そして、彼のデタラメな仕事さえなければ、背負う事がなかったであろう負債だけが残りました。

正直に言って、小嶋社長の方は、素人のオヤジにすぎないので、専門家としての能力は、全然期待していませんでした。売り主のヒューザーの経営者として、瑕疵担保責任に対し誠実であろうと努力していることに共鳴しました。最後は、万策尽きて、破れかぶれの様子ですが。

しかし、イーホームズの彼は、自分が破壊してしまったものが、どれだけ大きいか、全然、理解できていないと思いました。どれだけの家族を火の車にしてしまったことか。彼は、こんな風に火の車に誰もならないことを確認するのを仕事にしていたのではなかったのですか?

想像力のないプロフェッショナル。想像力のない経営者。そんな彼が、建築確認という権限を持っていたなんて。

この一連の事件の当事者の一人として、今までは、困っていただけですが、今日は、怒りました。

小嶋社長については、だめだなあと思って残念に思うことはあっても、こんな怒りを感じることはありませんでした。姉歯建築士は、悪魔のささやきに負けた愚かな男だとしか思いません。自分の愚かな行為は、建築確認がおりないということで、形になることはないと思っていたというではありませんか。

昨日の、小嶋社長の説明会は、絶望的な展望を予感させる内容で、多くの人を悲しませませした。会場で、すでに涙をこぼす姿をみました。小嶋社長は、売り主として、「過失はない」と訴えながらも、ひたすら謝っていました。ほとんど実現不可能な提案をひねりだし、なんとかしようと努力しています。

しかし、イーホームズは、公表のプロセスなどという、建物が建ってしまったこととは関係ない事を、さも重要なことのように訴える。公表の仕方で、既に建っている建物が、きれいに整理されることはありません。しかも、何の対策もないままに、ただ、情報を垂れ流すだけでは、不安をあおるだけになります。

対策なしに公表することは、私たちを絶望させる行為です。その絶望を何とか防ごうと小嶋社長はしていたような気がします。

夢をみながら倒壊する建物の下敷きになることと、知らされてしまったばかりに、絶望と不安を抱えながら倒壊する建物の下敷きになるのでは、どちらがいいでしょうか?

避難するチャンスを与えるためというのは、デタラメです。なぜなら、引越は、なかなか進んでいないではありませんか!

小嶋社長も公表に関し、打算があったことは明らかです。しかし、無責任にいちはやく公表することが、正義であろうはずがありません。然るべき調査をし、しかるべき対策を練ってからでも遅くはなかったのではないでしょうか。

もし、対策が練られてさえいれば、「公表された物件では、すでに対応がはじまっています」という報道になったと思います。慌ただしいが、無用な不安や絶望を味わう人が少なくて済んだと思います。

まず、プロとしてやるべきことをしなかった。
つぎに、対策を練りもせず、無責任に情報を垂れ流しにして、我々を、不安におとしいれようとした。

社会的責任をはたしていないのは、この人だと思います。

犯罪に手を染めたおろかな建築士。能力をこえた事態に手をこまねく経営者。そのどちらも、社会的責任をはたすことをしなかった人が生んだものです。

そして、1000人をこえる人を、火の車にしてしまいました。命にかかわる不安付きで。

巷で、「意外にも冷静」と言われているこのブログですが、イーホームズには冷静ではいられません。被害者としても、社会を支えていると言う自負を持つプロフェッショナルの一員としても。
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by gskay | 2005-11-29 20:56 | 真相 構図 処分