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マンションデベロッパーの進化論
マンションデベロッパーというのは、土地を仕入れて、そこにマンションを建て、分譲する事業を営んでいるのだと思います。その事業の中でとりわけ重要なことは、金融機関などからの資金を確保し、利子をつけて資金を返済することではなきかと思います。返済後に利益が出ていれば、事業は成功ということになるのだろうと思います。このこと自体は、どんな事業でも似たりよったりであろうと思います。

利益を出すために重要なことの一つは、コストを下げることです。そのコストの中で重要なのは、資金調達のコストではないかと思います。耐震偽装の動機は、建築コストを下げるためだと言われていますが、そういうコストを削ったところで、あまり効果はないのではないかと思います。

一旦、土地と資金を仕入れたら、資金を借り入れている期間をいかに短くするかが重要です。利子などの資金調達のコストを小さくすることができるからです。ここが、デベロッパーの利益の確保において、一番肝心なところだと思います。

ところで、本来、デベロッパーは、資産を抱え、増やしていくような企業ではないと思います。ただ、資産としての価値が上がるような土地の仕入れに成功し、それを持ち続ける体力があるなら、分譲などしない方が有利なこともあります。

そういう機会をとらえ、デベロッパーは、賃貸マンション事業や、ホテル事業に進化するのではないかと思います。ちなみに、ヒューザーは、ダイエー系のホテルの経営に乗り出そうとしていた矢先でした。分譲して売る事が前提の資金調達とは、資金の意味が異なってきます。

不動産の取り引きから、デベロッパーに進化し、マンションの管理会社などの関連業者を擁したり、自社施工を志向するというのは、たしかに事業が大きくなってはいるものの、資金や資産の面からみて、企業の質が大きく変化したとは言えないよう思います。(ちなみに、ヒューザーの志向した自社施工は、実際は、木村建設に投げていたみたいですが……。)

ヒューザーは、当時、いよいよ質的な変化をしようとしていたように思います。ヒューザーは、資金調達によって事業を営む段階から、資産を管理する段階に発展しようとしていたのだと思います。

一方、アパは、変化を遂げた後の姿を見せているように思います。ヒューザーも、発展のあかつきには、アパのように資産を抱える企業になっていたのかも知れません。
by gskay | 2007-03-05 21:29 | 政治と役所と業界