木村建設の破産債権の査定
しばらく、自分でも、こんなに仕事ができるのかとビックリする程のスケジュールで、更新がままなりませんでした。ハードスケジュールのピークをこえたので、久々の更新です。

さて、私がネット環境から離れ、耐震偽装の問題も頭の片隅のさらに隅に追いやっていた2週間の間に、木村建設の破産債権についての東京地方裁判所による査定がありました。3人の裁判官の名前と、一人の裁判所書記官の名前が記されており、裁判所書記官の印が押されていました。

査定額は、0円でした。

査定額よりも、その理由が気になりました。

「不法行為責任を負う余地がまったくないとまではいえない」そうです。「建築工事のみを請け負った者であるから」、「設計図書どおりに施工することがその本来的な義務ということになるが」、「設計図書自体に偽装がある場合に、その適正を調査・確認する義務までも負うか否かは問題である」としています。

その問題に対しては、建設業法に定める「主任技術者」や「監理技術者」を取り上げ、「技術検定の内容に照らして」、「建築士の実施する構造計算を検証できるような構造計算に関する高い知識と技術を有することまでは要求されていないというべきである」とし、「設計図書自体の適正を確認した上で施工をすべき義務はないと解するのが相当であり、まして、本件では、指定確認検査機関による検査において問題を指揮されず、特定行政庁による建築確認がされるなど、構造計算自体が巧妙に偽装されていた場合であるから、設計図書どおりの施工を行うという義務を本来的に負うにすぎない破産者に、構造計算の偽装を看過した過失があるものと認めることは困難と言わざるを得ない」と判断しています。

裁判所は、施工業者が留意すべき安全についての判断には踏み込みませんでした。また、安全について、建築に従事する様々な業者が負うべき責任や役割についても判断しませんでした。

その代わりに、従事する技術者への公的な検定制度の技術基準を持ち出して、無理だったと判断しています。法が作られた理念よりも、実態を優先した判断なのだと思います。

建築と言う仕事の特別な点、特に安全についての配慮を法律が明確に定めていない以上、これ以上の判断を司法に求めることはできないと思います。逆にいえば、このような関係を立法によって法律で整備すべきです。

公的な検定制度の技術基準を定めることも手段としては可能だとは思います。しかし、理念を明確にすることが必要ではないかと私は思います。

査定額0円自体は、予想されていたもので、手続きをどこで終わりにするかという問題です。私は、ここで、終わりにしようと思います。これ以上は、訴訟の費用が必要になり、時間もかかるからです。それは、割に合いません。

ところで、木村建設関係者の刑事裁判は、みな耐震偽装そのものとは関係のない裁判でした。木村建設関係者に耐震偽装の責任を問うのは無理だというのが、検察の判断だったのだと思います。

また、私が手にした裁判所の判断は民事のものですが、木村建設がメディアに執拗に叩かれた事情を肯定するような判断は、どこにも含まれていないように思えます。
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by gskay | 2007-04-02 11:41 | 損害と回復