参議院選挙〜連立政権および選挙協力の枠組みの問題点
与党第一党の苦戦が報じられていますが、その党や内閣からの声に耳を傾けてみると、今度の参議院選挙に対し、歴史的な意義を与えようという意欲を感じます。

衆議院は、議院内閣制での内閣との一体性があり、行政的な面に優越的な立場が与えられています。しかし、法律の制定については、衆議院で圧倒的な多数を占める与党が出現しない限り、参議院の判断が重要です。

政府提案の法案については、余程のことがない限り、衆議院は通過する仕組みになっています。しかし、参議院では、少数意見を反映した勢力の議員が当選できる仕組みがあるため、参議院では絶対多数を占める政党が出現すること自体がそもそも困難で、法案を可決するには、少数議員の政党と協力する必要があります。ここが、連立の必要性が発生するポイントです。

衆議院が、小選挙区中心の選挙制度であるため、拮抗する二大政党が出現しやすいばかりか、衆議院第一党は過半数を下回る可能性は低く、衆議院の選挙結果がただちに政権の決定につながります。

しかし、それだけでは、法案のための参議院での勢力確保が完全ではないため、連立が必要になります。その合従連衡が参議院で行われ、それが政権の枠組みになるものと思われます。

ところが、現在のところ、連立内閣を背景とした選挙協力が行われているようです。このため、政権の枠組みが、参議院内での合従連衡によるのではなく、選挙協力の枠組みになってしまっています。衆議院選挙でも選挙協力が行われました。この参議院選挙もその延長になるようです。

しかし、その選挙協力が参議院のあり方、ひいては政権のあり方を歪めてしまいます。どうやら、衆議院第一党の上層部はそこに気をかけているのではないかと思います。連立与党第二党の一部も、同様であるように思われます。

参議院での合従連衡を背景とした衆議院選挙での選挙協力や連立内閣は妥当な方針ですが、連立政権を前提とした参議院選挙での選挙協力は、政党の存在意義を薄め、その政党自体を弱体化させる可能性があります。

もともと、政党の地方組織や末端組織では、選挙協力は決してスムーズではないと思います。もし、惰性で選挙協力を続けてしまうと、地方組織や末端組織が崩壊してしまうかもしれません。

与党第一党の幹事長は、その辺のことを熟知して統一地方選挙から一貫した方針を貫いているように思われます。

与党第二党については、選挙協力体制の混乱への懸念は強いようです。加えて、野党第一党に親しい勢力もあり、事情が複雑です。国のあり方を問う今後の議論では、与党第一党と協調するのは難しい部分もあるのではないかと思われます。

そうした事情が、参議院選挙のあり方を深く考えさせ、政治のあり方を考え直す機会になっているように思われます。

こうした与党の発想に対し、参議院を政権交替のための選挙と位置づけている野党の論理は幼い発想であるような気がします。

もちろん、参議院の選挙結果次第では、衆議院の与党第一党議員の中に動揺が走る可能性があり、確かに、政権交替のきっかけになる可能性はあります。前回の選挙が、選挙協力を背景とした勢力分布であることから、動揺は避けられないかもしれません。

しかし、仮に、政権与党が劣勢をある程度挽回できたり、異なる仕組みの二院がある意味が理解されるようなことになれば、そのような混乱は最小限にとどまる可能性もあると思います。

統一地方選挙後の参議院選挙は自民党は、地方組織の統率が難しいため、不利だと言われてきました。このため、地方組織の引き締めのための衆参同日が有利だと言われてきました。今回も、それを選択する可能性がありましたが、逆風が強すぎて逆効果になりかねないためか、そういう方向ではないようです。また、幹事長をはじめとする、地道な努力の積み重ねも効果が期待できると判断されているのかもしれません。

同日を避けられた分、参議院というものの本来のあり方を見直す機会が与えられたように思われます。

ひょっとすると、政権および衆議院と、参議院が完全にねじれてしまうこともあり得ると思います。その状況は、次の新たな政権の枠組みの基盤になると思います。それを受け入れる準備もできているようです。

こうした与党上層部の発想は、不徹底であるように思われます。結局は、ちぐはぐな選挙になってしまうのかもしれません。少なくとも橋本政権にはできなかった発想であり、徹底するのは容易ではないと思います。

ところで、私は、連立解消と選挙協力解消を契機に、前回の衆議院選挙が選挙協力の賜物であったことをふまえ、矛盾の解消のために総選挙に訴えるという可能性があると見ていました。その見立てははずれたようです。

見立ては外れましたが、二院制である国会のあり方や議院内閣制、衆議院の優越などの仕組みを尊重している政治家が居るということがわかりました。これは、私にとって大きな発見です。

参議院の存在意義は、しばしば問題になってきました。今回の選挙が、同日にならなかったおかげで、現在の選挙制度の下での参議院の存在意義が確認される画期的な選挙になるのではないかと思います。

こんなことを考えるようになったのは、耐震偽装に巻き込まれ、国政を身近に感じるようになったからかもしれません。同時に、耐震偽装当時の国土交通省事務次官が比例区から出馬するということでさらに関心が高まりました。

前次官の選挙には、もはや関心はありません。期待はできないということが、何となくわかりました。だからと言って、我が国の選挙制度は、減点ができる仕組みではありません。彼を支持する人がいるのであれば、それは受け入れるしかないだろうと考えています。

今は、そんなことよりも、国政の根本的なあり方をめぐる動きに関心があります。
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by gskay | 2007-07-11 12:25 | 政治と役所と業界