組織選挙
私の周囲には、組織選挙を毛嫌いしている人が結構います。私自身、最近まで、どちらかというと否定的であったように思います。政治活動などというものは、うさん臭いものだと感じていました。

しかし、耐震偽装に巻き込まれ、政治のことを意識するようになりました。もし、自分の考えを反映させようと考えるのなら、しっかりとした組織が必要です。そのことをやっと理解できるようになったところです。

たしかに、無党派という存在は、選挙の結果に重要な存在です。無党派が多いために、選挙は、開票してみないと結果がわからないのかもしれません。また、無関心・無投票という存在も、決して無視できないと思います。無関心・無投票が、いつまでも無関心・無投票のままなのかわからないため、決して政治活動の中で無視してよい存在ではないと思います。

無党派や無関心・無投票は、メディアが伝える内容に反応している点など、政治意識が低いとは言えないと思いますが、政治に対する積極的な関わりとは距離がある存在だと思います。加えて、自分の意志で投票をしているようにみえて、実は、メディアなどに左右されやすく、誘導されているのかも知れないと感じています。

その点で、組織を背景にした政治活動や選挙活動は、無党派や無関心・無投票とは一線が画せると思います。無党派や無関心・無投票層の動向が、選挙結果を大きく左右するという要素とは別に、組織を固める政治活動・選挙活動は重要です。

とりわけ、参議院選挙では、様々な意味で個人個人の候補を支える組織の力が重要です。二大政党からの選択になりやすい小選挙区中心の衆議院選挙とは大きく異なっています。

衆議院は、無所属で当選する人もいますが、政党、特に二大政党の力が重要です。基本的な選挙戦は、二大政党の競争です。政権選択の選挙となる所以です。これに、比例代表が付加されている形になっていますが、これも、参議院よりも政党が前面に出やすい仕組みになっています。そして、小選挙区でも比例区でも、衆議院では無党派がどの政党を支持するかで、当落の大勢が決まってしまいます。

そうした衆議院に対し、参議院は、比例代表といえども、個人得票が当選の鍵になります。

参議院の比例区では、120万票あたり1議席になるようです。政党別の当選者数が決まった後は、政党内の個人得票の順位で当選が決まります。政党別の当選者数には、無党派の動向や、特定の個人候補を支持していない政党支持者の投票が大きな比重をしめます。しかし、最終的な個人個人の当選には、個人の得票が必要です。個人の得票のためには、政党への投票を増やすための活動とは異なる活動が必要になります。

候補個人にとっては、実は、同じ政党内の候補が最大のライバルになります。たとえ、所属する政党が支持されていても、自分の得票が少なければ当選は困難です。比例の候補は、政党としての得票のための運動とは別に、自らの得票のための選挙運動をしなくてはいけません。結局は、個人を支持してくれる組織を固め着実に得票した候補が当選します。

ところで、比例区に限らず、地方区でも、120万票以上がとれるなら、参議院では1議席をとれるようです。

そう言う点で、もし、個人で120万票とれるのなら、支持者の分布をみて有利な方で立候補すればいいということになります。全国に支持者が散らばっているなら、実質的に一人の候補のための政党によって比例区で当選を目指してもいいと思います。また、地方で確実に得票できるなら、その地方から無所属で出馬することも可能な仕組みになっていると思います。

ただ、通常は、地方区でたとえ120万票を取って当選したとしても、政党の地方組織の支援があるため、候補個人の組織がどれだけの力があるかは、はっきりとはしないように思われます。個人の力だけで、120万票をとって当選している訳では必ずしもないと思います。

120万票というハードルを越えるのは容易ではありません。いじわるばあさんや木枯らし紋次郎をしても、そのハードルを越えるのは難しかったようです。現在の制度では、個人への人気や支持だけで120万を得票して議席を得るというのは現実的ではないのかもしれません。

かつての全国区のような仕組みも、選挙方法の一つだとは思います。ただ、得票の偏りがあるため、大きな支持を集めたトップ当選と最下位当選では大きな開きが出てしまうのが難点でした。票が偏るため、支持の大きさが議員の数に反映されにくいという状況が生まれがちでした。政党ベースでみたとき、議会で優位になるためには、上位で当選する少数の議員を擁するより、下位で当選する議員を多数擁した方が有利になってしまうという問題がありました。加えて、選挙運動の負担が大きく、政治活動が反映するというより、知名度の闘いになってしまい、タレント候補が有利でした。

その点、比例代表であれば、個人得票は副次的な方法になっているため、偏りが補正されています。また、候補個人にとっては、地道な政治活動による組織固めが当選への見通しにつながりやすくなっています。

疑問に感じる点もあります。個人得票については、政党毎に当選ラインが異なります。候補自身の得票以外の要素が大きく関わってしまい、単純に個人の支持の大きさだけで当選できるとは言えない点は、問題といえば問題かもしれません。

政党名での投票が多ければ、個人の得票は少なくても当選の見込みが高くなります。逆に、政党名の投票が少ないなら、個人の得票が多くないと当選は難しくなります。当選に届くほどの大量得票はできないが、そこそこの個人票の集票能力の候補を投入することも、政党としての集票には有効です。この場合も、個人候補が当選に必要な個人得票ラインは下がります。

それを公平かといえば疑問もありますが、そういう制度の闘いであるという前提で、候補も有権者も選挙に臨まなくてはいけないと思います。参議院選挙は、単純に政党への支持を競うだけの選挙ではありません。特に比例区では、政党毎の当選者数とは別に、衆議院以上に候補の個人の政治活動が問われる選挙になっている点をもっと強調すべきだと思います。

与党の幹部が、政権交替に関連づけるべきではないと発言していることには理があると思います。参議院選挙自体、政権選択の選挙とはなりがたい性質を持っていることを今一度確認する必要があると思います。

参議院の選挙結果が、衆議院の動向や政権のあり方にどのような影響を与えるかは別の問題として存在してはいますが……。

私は、候補個人が政治組織を作って活動を行い、その支持の大きさを背景に議員に選ばれるというのは、民主主義の基本にそったものだと思っています。政治活動というのは、得体の知れないもののように見えることもありますが、とても重要な位置を占めていると思います。

そうした組織を作るというのは並大抵のことではないようです。組織をつくるのがどれだけ大変かということを教えてくれるブログがあります。軽妙で読みやすい文章です。選挙中で更新を止めているようですが、しっかりと取り組んでいる姿勢を感じます。特別な背景がある候補でも、それが直ちに政治活動や得票には結びつかないところに苦労しているようですが、それが素直に告白されているように思います。他にも同様のサイトやブログがあるのかもしれませんが、私が知る範囲では、そのブログが組織づくりの活動を最も積極的に取り上げているのではないかと思いました。

華やかとはいいがたい地道な活動です。政権交替というイベント性の高い出来事を中心にとらえているマスコミには注目されにくい活動だと思いますが、政治の最も重要な部分ではないかと思います。
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by gskay | 2007-07-25 21:13 | 政治と役所と業界