破産申し立てとヒューザーの訴訟
住民による破産申し立てにより、ヒューザーの破産が認められてしまったら、ヒューザーが起こしている裁判がストップするという考えは、間違いです。

ヒューザーに「破産管財人」が乗り込んで、その破産管財人が継承し、ヒューザーのもつ権利を行使し、回収できるお金を徹底的集めることになるだけです。

ヒューザーは営業をやめてしまった以上、ヒューザーがマンションデベロッパーとして利益をだし、そこから住民への瑕疵担保責任による補償や賠償が出ると言う期待は、もはやできません。破産でもいいと考える理由です。

小嶋社長自らが言うように、逮捕されてしまったり、ヒューザーが倒産してしまうと、そういう訴訟が続けられないという主張もあるようですが、そんなこともありません。だから、小嶋社長自身は、そんなことまで心配しなくて平気です。

もちろん、訴訟については、住民が直接訴えを起こしてもいいでしょう。住民が、直接請求すべきだという意見は、世の中に根強くあります。欠陥住宅の問題に詳しい人ほど、業者への不信が強いためか、住民と業者との対立関係をあおる論調を作り、住民が直接請求しなくてはならないと考える様です。

これは、これまで、おそらく、瑕疵担保責任なんて、ろくに果たされてはこなかったからだと思います。そもそも、ほとんどの欠陥住宅では、その瑕疵を認めさせるのが困難でした。このためか、瑕疵担保責任の枠組みで解決する法的なテクニックは、あまり高度に発展しているとはいえません。

しかし、今回は、言い逃れできない状況です。にもかかわらず、その瑕疵担保責任が果たされていません。だから、ややこしくなっています。従来の欠陥住宅のパラダイムに無理矢理押し込んで考えると、一連の流れを理解するのは難しくなってしまうと思います。

ヒューザーが無くなっていれば、瑕疵担保責任も無くなるので、住民は直接、設計事務所や検査機関や特定行政庁に請求を行わなければならなくなります。そうなれば、欠陥住宅問題に詳しい人の発想でも理解できる行動をとることになります。

しかし、今は、その前段階です。ヒューザーは残っているので、まだ、住民は、瑕疵担保責任を果たすことを求めることができる立場にいます。その立場にいるからこそ、破産の申し立てもできました。

ところで、この請求された瑕疵担保責任によって、どのような訴訟が組めるのか微妙なのは確かです。このブログのログインユーザー専用のコメント欄で、creanative さんが指摘しているのはその点だと思います。欠陥住宅の問題に詳しい人には、ヒューザーが所有する売れ残り物件の分しか、ヒューザーには、請求する資格がないと考える人もいるようです。

売り主の瑕疵担保責任の扱いは、一つの焦点になりそうです。瑕疵担保責任によって生じた債務について、損害とみなし損害賠償を請求することができるかどうか、はっきりしていません。

(creanative さんへ:ご自身のブログは、空っぽのようですが、詳しい内容やお考えをご自身のブログに記して頂き、TBくだされば助かります。もし、別にサイトをお持ちなら、URLを教えて下さい。いつも厳しいコメントですが、お考えに関心を持っております。)

さて、住民の破産の申し立ては、単純に、ヒューザーを整理したいという申し立てではありません。そうだとしたら、すこし無謀です。

この破産申し立てには、大きな問題点が二つあります。

一つ目は、住民以外の債権者がいるということ。
二つ目は、破産が認められるかどうか、不確かであること。

一つ目は、広く議論されていることです。

住民にとっては、二つ目の方が重要です。もし、ヒューザーが起こしている訴訟が、ヒューザーに有利に展開すると、債務超過でなくなる可能性があり、その場合、破産は認められない可能性が出て来ます。住民は、損害の補償を確保することが目的で、破産させること自体が目標というわけではないので、実は、その方が有利です。

情勢が住民の補償にとって有利に展開すると、破産申し立てが無意味になってしまうという複雑な申し立てです。しかし、少なくとも、グズグズしていたヒューザーを訴訟に踏み切らせるという効果はあったように思われます。

住民の破産申し立ては、認められるだろうという意見の方が強い様です。そうなったら、破産管財人に頑張ってもらいたいと思います。訴訟については、請求する資格がヒューザーにないというなら、住民が自分の手で訴えればよいだけのこと。費用はかかるけど。
[PR]
by gskay | 2006-02-03 11:39 | 損害と回復