木村社長と小嶋社長
いずれの刑事裁判も、耐震偽装そのものの裁判ではありません。

木村社長の場合、経理の不正が第一の問題で、これは否認していませんでした。これに加えて、問題を承知の上で建築主に引き渡したということが詐欺にあたるかどうかが争われました。木村社長はこれを否認しています。

判決では、詐欺にあたるということになったようです。しかし、木村社長は控訴していません。おそらく、経理の不正が、破産財団にとって税務などの点で有利になることがポイントだと思います。いたずらに裁判を長引かせることの方が不利だというのが、経済人としての判断なのだと思います。

この判決は、最高裁での施工や設計の責任を認めた判断と並んで、建築の基本的な仕組みに大きな影響を与える判断だと思います。

私自身は、木村建設への債権の請求に関しては、地裁の査定をうけて断念していますが、最高裁の判断やこの判決が査定以前にあったなら、簡単にはあきらめなかったかもしれません。

特に、破産債権に関する地裁の査定は、技術的な問題を重視した判断でしたが、最高裁の判断もこの詐欺について判決も、結果をめぐる判断であり、根拠が異なっているように感じられます。

ただ、そうはいっても、私は、木村社長に同情的です。経理の問題はともかく、詐欺については、公的な判断が出るまでのタイムラグの間の出来事であるので、悪意があったと単純に決めつけることはできないと思います。また、最高裁が問題にした「重大性」についても、行政的な判断や権限の行使に混乱があったことを忘れてはいけないと思います。

これは、小嶋社長についても同様です。問題になっている引き渡しの時期は、事件の発覚後ではあったものの、その事件の重大性が明らかになって公的な措置として公表されるにいたった11月17日よりも前でした。問題の引き渡しは、発覚後ではあるものの、重大性は不明な時期のことでした。

それでも、結果に対して責任を負うべきだという判断がくだされる方向にあるのかもしれません。

単に懲らしめるということが目的であるなら、フェアではないと思います。しかし、いい加減であった建築に関する責任関係を明確にするということであれば歓迎したいと思います。

ただ、あくまで、私は、小嶋社長にも同情的です。

小嶋社長に厳しい判決を下すのであれば、同じようなケースに対して厳しく対処するべきです。

また、11月17日以降の展開が、判決に影響するのだとしたら、言語道断です。事後の規則で裁くというのは、法定主義に反します。

たとえば、11月17日以降に広められたQu/Qunが0.5以下が重大であるという判断は、発覚の時点や、引き渡しの時点にあったのでしょうか?それは、11月17日にかけての国土交通省の担当者の「創作」にすぎないのではないでしょうか?その根拠をふくめ、それを司法の判断に組み込むことは問題だと思います。

私は、疑問を感じながらも、行政の判断には従っています。しかし、司法の判断は、行政の判断とは意味が異なっていて、厳密でなくてはならないと思います。

曖昧なことがすっきりするような大胆な判断は歓迎します。しかし、原則からの逸脱を納得してはならないと思います。
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by gskay | 2007-09-27 12:54 | 真相 構図 処分