官民人材交流センターの見直し
天下りは、悪です。単なる再就職ではないからです。

「官僚の裁量」があるために、天下りが横行します。もし、官僚の裁量がなければ、天下りには、採用する側に特別なメリットはありません。官僚の裁量さえなければ、優秀な人材の再就職にすぎません。

官僚の裁量としては、利権の誘導のみならず、様々な行政処分への配慮などがあります。

建築確認制度をめぐって、耐震偽装の騒動が、ややこしくなった原因のひとつとして、民間検査機関と官庁の「官僚の裁量」を軸とした関係があります。民間検査機関は、「天下り」を受け入れていました。その意義は、耐震偽装についていえば、処分などに露骨にあらわれています。さらに、露骨にはあらわれていないものの、基準の設定のような部分にさえ影響が及んでいる可能性が示唆されています。

ところで、引用の記事のように、構想された「官民人材交流センター」に疑問が投げかけられているようです。並行するかのように、キャリア制度へのメスも、切れ味がにぶりつつあるようです。

衆院予算委 首相、人材バンク見直しを示唆(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


10月10日9時56分配信 毎日新聞
 福田康夫首相は9日の衆院予算委員会で、省庁による再就職あっせんを一元化するため08年に設置する人材バンク「官民人材交流センター」のあり方について「弊害があるのかどうか、(企業が再就職あっせんを)断りきれるのかどうか。(有識者懇談会で)検討してもらったらどうか。閣議決定を直すこともできる」と述べ、従来の政府方針を見直す可能性を示唆した。長妻昭氏(民主)の質問に答えた。
 政府の公務員制度改革は現在、二つの有識者懇談会で人材バンクのあり方についての検討と、公務員制度の総合改革に関する検討がそれぞれ進んでいる。しかし福田政権になり、総合改革を検討する有識者懇談会については、報告書の取りまとめ時期を当初予定していた11月から来年1月に延期する方針を固めていた。
 また、年金記録漏れ問題について、首相は「今までの関係省庁の対応の仕方にまずさがあったと思う。国民視点の欠如が根底にあった」と指摘。長妻氏が「年金の信頼は国家の危機に直結する」と、指導力発揮を求めたのに対し、首相は「国家の危機ということは言えると思う。政府としても全力を挙げ、私が中心となった関係閣僚会議の設置を決めた」と述べた。【尾中香尚里、三沢耕平】

官民人材交流センターも、キャリア制度も、「官僚の裁量」を克服しないことには意味がありません。そういう観点から見れば、見直しは妥当だと思います。

官僚の裁量があるから、天下りを受け入れるメリットができ、利権をえたり、処分の配慮を受けることができます。同時に、天下りがあるために官僚の裁量の強化がエスカレートされるという側面もあります。そして、キャリア制度のような既得権への執着が生じます。

官僚の裁量がなければ、現状の天下りは、ただの再就職になります。キャリア制度を守りぬく意味は減り、民間からの登用への抵抗も減ると思います。

この見直しが、そういう方向での根本的な見直しとなるのかどうかが注目すべきポイントだと思います。今の内閣は、はりきっていた前政権よりも、本質にせまった対応をする可能性があるのかもしれません。あまり表面に出ないで、それなりにしっかりと行われるかもしれません。まあ、期待が裏切られる可能性もありますが……。

引用の記事の後半の部分、「関係閣僚会議」については、単に年金問題を扱う以上に、行政の組織や制度、そして責任に踏み込んで対応しないと、「国家の危機」への対応としては不十分になるような気がします。

「官民人材交流センター見直し」は、年金問題への「関係閣僚会議」による対応と並んで、行政組織への抜本的な取り組みへと発展する可能性を秘めていると思います。

ただ、そうしたくない勢力は強力なので、今後のどのように展開するのかわかりませんが、少なくとも、まだ、政治に失望しなくていいように思えます。何となく、政治に失望するようにしむけられているような気がするのが気がかりです。
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by gskay | 2007-10-12 20:32 | 政治と役所と業界