控訴棄却報道
耐震偽装関連の刑事裁判では、偽装を行った元建築士が唯一控訴しています。この控訴審は、偽装に対する裁判というよりは、国会の証人喚問における偽証についての裁判です。偽装については認めていて、争われていません。

速報の段階ではありますが、多くのメディアは、責任逃れのためのウソが、国会での調査を妨げた罪についての裁判であることを明らかにしています。現時点で、私が見た限りでは、読売新聞だけが、偽装を主軸に報じています。

姉歯被告、控訴審も懲役5年を支持…東京高裁 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 耐震強度偽装事件で、建築基準法違反や議院証言法違反(偽証)などの罪に問われた元1級建築士・姉歯秀次被告(50)の控訴審判決が7日、東京高裁であった。

 原田国男裁判長は「被告は事件の第1の責任者」と指摘した上で、姉歯被告を懲役5年、罰金180万円とした1審・東京地裁判決を支持、姉歯被告側の控訴を棄却した。

 控訴審で、弁護側は「偽装行為は姉歯被告のみで行えることではなく、被告一人を責めるのは酷だ」などと、執行猶予付きの判決を求めていた。

 しかし、判決は「安全性が確保されていないマンションなどを建築させた常習性は明らか。人生最大の買い物の一つであるマンションを購入した住民への影響は大きく、経済的な損失はもとより、甚だしい精神的な苦痛や苦悩を負わせた」とし、「1審判決の量刑はやむを得ない」と述べた。

 判決によると、姉歯被告は2003年2月〜05年2月、東京都墨田区のマンションなど6物件で構造計算書のデータを書き換え、強度が不足した建物を完成させた。また、05年12月の衆院国土交通委員会の証人喚問でウソの証言をするなどした。
(2007年11月7日11時31分 読売新聞)

国会での証言にウソがあったために、耐震偽装という問題の本質の追究が混乱しました。この裁判では、このウソに対する罰則の程度が問題になりました。

耐震偽装も、名義貸しも、すでに被告が認めていて、この裁判では争われてはいません。また、偽証についても事実は争っていません。量刑が適当であるかどうかが争点でした。

国会の証人喚問での偽証が、このような刑罰が下される大きな罪であることが報道されるべきです。建築基準法違反に無理矢理こじつけるのはおかしいと感じます。

建築基準法違反の刑罰が軽すぎるという意見もあるようですが、それとこれとは関係がないことです。そういう意味で、無理なこじつけを避けている点で、他のメディアの姿勢は、以前とは違って来ているような気がします。

追記)産經新聞は、量刑が重いからということで、議院証言法違反が主に取り上げられたという点を取り上げています。いかに重い罰を与えるかという目的だったという解釈のようです。他も、同様な解釈を加えて報じるのかもしれません。そうすると、偽証の重要性が低下してしまうような気がするのですが……。

追記2)結局、産經新聞もふくめ、おおかたのメディアは、議院証言法違反の重要性をとりあげた表現に落ち着いたようです。弁護側の主張などがごちゃ混ぜになっていてわかりにくかった表現が整理された結果のようです。この変化の過程は、おもしろい現象だったので、フォローしておけばよかったかもしれません。(2007.11.08 1:00)
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by gskay | 2007-11-07 12:44 | メディアの狂騒