使用禁止命令解除
横浜の物件は、もっとも先行して使用禁止命令が出た物件のひとつでした。Qu/Qunが0.5以下の建て替え相当ということでしたが、補修で対応。これは、国のスキームとは大幅に異なる方針でした。

建築についての公的な対応の主体は、特定行政庁をおく自治体です。国が何と言おうと実現できるのであれば、それでいいのだと思います。当初は、この物件の対応が、あまりに他と異なるため、足並みが乱れることを恐れました。

しかし、結局、足並みが揃うことなどなく、それぞれの物件は、それぞれの対応になってしまい、どれ一つ国のスキーム通りのものはありません。ただ、国のスキームが最低限のラインを示していたからこそ、それぞれが独自の方針を打ち出すことができたという側面があり、評価すべきところは評価すべきではないかと考えています。

使用禁止命令、初の解除=姉歯事件の耐震偽装マンション−横浜(時事通信) - Yahoo!ニュース


11月22日18時1分配信 時事通信

 横浜市は22日、姉歯秀次元一級建築士による耐震強度偽装が発覚した横浜市鶴見区のマンション「コンアルマーディオ横濱鶴見」の耐震補強工事が完了したことを受け、約2年ぶりに同マンションに対する使用禁止命令を解除した。耐震強度は0.41から、震度7の大地震でも倒壊しないとされる1.1以上に回復した。
 一連の事件では、東京と神奈川の計12物件に使用禁止命令が出されていたが、解除されたのは同マンションが初めて。
 同マンションは10階建てで、18世帯が26日から再入居する予定。今年3月から外壁にコンクリート製の柱や梁(はり)を取り付ける補強工事が行われていた。総工事費は2億7000万円。1世帯当たりの負担額は約1000万円だった。

使用禁止命令の解除という手続きが行われる可能性があるのは、この物件だけかもしれません。他は、建て替えられて新築になってしまうからです。

強いて言うなら、藤沢の物件は高層階を除却することで、建築基準法をみたす建物になっているとのことで、使用禁止命令を解除できる可能性があるのかもしれませんが、そんなことになったら、ますます問題が混乱するのではないかと思います。

藤沢については、ヒューザーが所有する売れ残りの部分があったはずです。その権利を含め、所有権がどのように変換されているのかが気になります。中途半端に残された建物は、もはや違法建築でないだけに、違法を理由に除却することが妥当とは言い難い状況です。

もともと、違法で建て替え相当だから「価値はゼロ」という話が、国のスキームの前提として、少なくともメディアでは流れました。国土交通省の真意はわかりません。少なくとも、これは暴論だったと思います。横浜のケースが、その暴論を覆してくれました。加えて、藤沢のような複雑な事例が出ています。

評価すべきところがあることは認めますが、騒動の初期の国土交通省の対応は、拙速であったといわざるをえないと思います。

民法は、不動産関係のトラブルを想定したような条文がたくさんあります。国土交通省は、技術的な能力に疑問がつくだけでなく、権利のような法の根幹についての配慮も充分でなかったということになると思います。

建築基準法改正の準備不足や景気への影響も加えて考えると、かなり深刻な「病状」を抱えているように思えます。その自覚があるのかどうか心配です。国民も、その深刻な事態を見過ごしてしまっていいとは言えない状況です。
[PR]
by gskay | 2007-11-23 10:48 | 公的対応