使用禁止命令解除
横浜の物件は、もっとも先行して使用禁止命令が出た物件のひとつでした。Qu/Qunが0.5以下の建て替え相当ということでしたが、補修で対応。これは、国のスキームとは大幅に異なる方針でした。
建築についての公的な対応の主体は、特定行政庁をおく自治体です。国が何と言おうと実現できるのであれば、それでいいのだと思います。当初は、この物件の対応が、あまりに他と異なるため、足並みが乱れることを恐れました。 しかし、結局、足並みが揃うことなどなく、それぞれの物件は、それぞれの対応になってしまい、どれ一つ国のスキーム通りのものはありません。ただ、国のスキームが最低限のラインを示していたからこそ、それぞれが独自の方針を打ち出すことができたという側面があり、評価すべきところは評価すべきではないかと考えています。
使用禁止命令の解除という手続きが行われる可能性があるのは、この物件だけかもしれません。他は、建て替えられて新築になってしまうからです。 強いて言うなら、藤沢の物件は高層階を除却することで、建築基準法をみたす建物になっているとのことで、使用禁止命令を解除できる可能性があるのかもしれませんが、そんなことになったら、ますます問題が混乱するのではないかと思います。 藤沢については、ヒューザーが所有する売れ残りの部分があったはずです。その権利を含め、所有権がどのように変換されているのかが気になります。中途半端に残された建物は、もはや違法建築でないだけに、違法を理由に除却することが妥当とは言い難い状況です。 もともと、違法で建て替え相当だから「価値はゼロ」という話が、国のスキームの前提として、少なくともメディアでは流れました。国土交通省の真意はわかりません。少なくとも、これは暴論だったと思います。横浜のケースが、その暴論を覆してくれました。加えて、藤沢のような複雑な事例が出ています。 評価すべきところがあることは認めますが、騒動の初期の国土交通省の対応は、拙速であったといわざるをえないと思います。 民法は、不動産関係のトラブルを想定したような条文がたくさんあります。国土交通省は、技術的な能力に疑問がつくだけでなく、権利のような法の根幹についての配慮も充分でなかったということになると思います。 建築基準法改正の準備不足や景気への影響も加えて考えると、かなり深刻な「病状」を抱えているように思えます。その自覚があるのかどうか心配です。国民も、その深刻な事態を見過ごしてしまっていいとは言えない状況です。
by gskay
| 2007-11-23 10:48
| 公的対応
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耐震偽装発覚から、5年。建て替えが再開発事業としてすすめられています。
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