参議院不要論批判
自民党の耐震偽装問題対策検討ワーキングチームの座長の早川忠孝衆議院議員には真摯に対応してもらったと感じており、感謝しています。

耐震偽装の追及は、あらぬ方向に方向がずれてしまい、対応が迷走してしまいました。民主党にも耐震偽装で活躍された議員がいることは承知しています。その議員や、党としての取り組みには評価できるところも少なくなく感謝しています。しかし、全体としては、注目や期待の割に、ダメだったと思います。インターネット上のサイトの閉鎖など、今でも根本的な問題は解決していないのに、早々に切り上げられてしまったことは残念でした。

それに対して、自民党は地味でした。現実の問題に、コツコツと対応していたように思います。きちんとした調査も行われていました。それが、政治に反映されたかどうかや、対応として実現したかという点では、不満があります。しかし、私が抱く印象は大きく変わりました。(というより、あまり関心がなかったというべきか……?)

ところで、早川議員は、ブログ(早川忠孝の一念発起・日々新たなり)を書いています。耐震偽装で縁がなければ、名前さえ知らない議員だったと思いますが、今は関心を持っています。早川議員は、自治省での官僚経験をもつ弁護士という経歴のようです。

そのブログで、参議院の存在がやはり問われる/参議院議員はこの際、全員党籍を返上しては如何か|早川忠孝の一念発起・日々新たなり というエントリが気になりました。

私も、防衛関係の問題や、それから始まる混乱を残念に思っています。特に、参議院でのこの問題の取り上げられ方に疑問を感じています。野党が第一党なのだから、防衛に関わる調達の仕組みに、遠慮なく大胆なメスが入れられることを期待していました。しかし、元事務次官の証言に端を発した財務大臣のアリバイの問題ばかりが注目されてしまっているように思います。

防衛のあり方や、調達の問題について充分な調査を行い、議論をつくすことこそ、本来の国会のあり方ではないかと思います。捜査や裁判のまねごとや、つるし上げのような話ばかりではいけません。実際は,本来の議論も行われているのかも知れませんが、そんなことばかりが取り上げられています。そういう姿勢のマスメディアも問題だと思います。

野党が参議院における第一党という状況にあって、こうした参議院の有様は、期待を裏切っていると思います。早川議員もそうしたことを憂慮しているのだと思います。

ただ、ブログで記されている早川議員の参議院に対する考え方については、少し疑問に思いました。衆議院が中選挙区であった時代の参議院と、衆議院が小選挙区中心になった後の参議院は、別の機能を果たしていると思います。早川議員の披露した考えは、衆議院が中選挙区であった時代のものだと思います。

小選挙区中心になって衆議院は二大勢力の対決の場となっています。衆議院には優越があって、衆議院で過半数を占めた勢力が政権を担当し、内閣と密接に連携しつつ、行政に強い影響力を持つことが期待されていると思います。

これに対し、参議院では、比例代表が中心になっています。二大勢力以外で、衆議院では議席がとりにくい少規模政党でも議席が確保できる仕組みです。少数意見が尊重されやすく、衆議院では影響力が小さい政党や勢力でも、参議院では活躍できます。

法律に関しては、両院での可決が原則的に必要です。衆議院が優越する行政に関わる事項は、現在や近い未来の問題を扱っています。これに対し、法律は未来の設計図になり、未来を拘束するものです。そうような意義をもつ法律の決定にあたり、少数意見が反映されやすいように配慮した国会の仕組みは良い制度だと思います。

早川議員が非難する党籍の問題は、参議院が二大政党の対決の場と化し、ミニ衆議院になってしまっていることが問題の本質です。政党の存在を前提としつつ、選挙制度が異なる二院による議会制民主政治の真の意義を取り戻さなくてはなりません。少なくとも、今の参議院の状況は、望ましいものではありません。

ただ、参議院議員の党籍返上や参議院不要論とは関係がないように思うのですが……。

早川議員は自治省での経験もあり、おそらく選挙制度については熟知していることと思います。その上で、世間の多くの人が感じている不満や怒りを、政治家として率直に代弁してみせたのだろうと思います。私だったら、制度に対する多くの人がもつ誤解を指摘し、簡単に否定してしまうところですが、そういうことへの配慮が政治家には必要なのかもしれないと思いました。

私も、早川議員と同じように、参議院に良識を期待します。それは、行政にただちに反映されるような「多数決」の場である衆議院に対し、比例代表によって少数政党を巻き込んだ「調整」が行われる場としての参議院への期待です。

しばしば、参議院を「良識の府」といいますが、良識のある人物が議員になるべきなのは、衆議院も参議院も同じではないでしょうか?

衆議院が中選挙区であった時代に作られた先入観は、なかなか克服できないものだと感じています。これは、一般の国民の国会の制度や選挙制度に対する関心の低さもあると思いますが、仕組みの変化に配慮せずに報道を続けるメディアの姿勢にも問題があると思います。また、マスメディアを意識しすぎた一部の政治家の姿勢が問題だと思います。

そういう意味で、この早川議員をはじめ、派手とはいえない政治家にもっと注目しないといけないように思います。参議院で、防衛や防衛に関わる調達についての本質的な追及をした議員の主張にも耳を傾けるべきだと思います。

ネットのおかげで、マスメディアではあまり注目されない政治家の活動も、決して遠くにあるわけではないと感じています。
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by gskay | 2007-11-28 14:54 | 政治と役所と業界