解体費用の負担
どのような手続きで、藤沢の物件が部分解体に進んだのか詳しい事は知りません。行政の権限によって、代執行されたのかと想像していました。建物が違法でなくなればいいので、途中の階まで解体されているとのこと。途中まで解体された今の建物は、適法ということになるのかもしれませんが、使用を前提とした手続きはとられたのでしょうか?それとも、制限がかけられたままなのでしょうか?

中途半端な適法の建物についての権利がとても複雑になっていることと想像します。共同所有だけが残って、専有部分という概念は吹っ飛んでいることと思います。しかも、共同所有者には、売れ残りのヒューザー所有部分があるから厄介です。

<耐震偽装>ヒューザー破産管財人に撤去費支払い命令(毎日新聞) - Yahoo!ニュース


11月27日21時48分配信 毎日新聞

 耐震データが偽造された神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ藤沢」(10階建て)を巡り、同市が上層階の撤去費用約3億円の支払いを販売主ヒューザーの破産管財人に求めた訴訟で、東京地裁(綿引穣裁判長)は27日、1億3187万円の支払いを命じた。

 元1級建築士の姉歯秀次被告(50)=1、2審実刑、上告中=が構造計算した同マンションは、耐震強度が0.15と極端に低く、震度5弱程度の地震で倒壊する恐れが判明。市は管財人側の要望を受け、3月までに4階以上を公費で撤去した。

 問題発覚時、17戸が販売済みで13戸をヒューザーが所有。判決は、市が建築基準法に基づく撤去命令を出し、管財人側も同意していたことなどから「管財人はヒューザーの所有分について費用負担は免れない」と判断した。【北村和巳】


ヒューザー側に返還命令=GS藤沢の解体費用−東京地裁(時事通信) - Yahoo!ニュース


11月27日22時1分配信 時事通信

 耐震強度偽装事件をめぐり、「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)の解体工事を行った同市が販売会社ヒューザーの破産管財人を相手に、解体費用約3億円の返還を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。綿引穣裁判長は「ヒューザーが所有している13戸については、負担を免れない」として、約1億3000万円の支払いを命じた。
 マンションは地下1階、地上10階建て。部屋は30戸で、ヒューザーは17戸を分譲した。
 藤沢市は分譲された部分についても、負担を求めたが、綿引裁判長は「市は(分譲を受けた)所有者に対して解体費用の返還を求めることができる」と述べ、訴えを退けた。 

読む事ができた二つの記事のうち、毎日新聞の記事では、ヒューザーの破産管財人と市との交渉を軸に報じています。どのような取り決めがあったかということが問題になるのだろうと思われますが、この物件についての個別的な事情といえると思います。

一方、時事通信は、別の視点です。解体費用を本来負担するのは、所有者であって、瑕疵担保責任を負う売り主ではないという判決の意義を報じているように思われます。

所有者を飛び越えて、売り主に費用を請求できるのであれば、全額が認められる判決になっていたことでしょう。しかし、判決で認められたのは、売れ残り分だけ。さらに、「市は(分譲を受けた)所有者に対して解体費用の返還を求めることができる」とのこと。

最終的には、売り主の責任を追及し、費用を請求することになるとはいえ、まず費用を負担すべきなのは所有者であるということを明らかにしているようです。

この判決を、関係者がどのような受け止め方をしているのかは、わかりません。

今後の手続きとしては、市が管財人に請求できる費用は、すでに破産手続きに入っている以上、破産債権として取り扱われ、配当されるのかもしれません。

もし、住民がヒューザーに請求できる権利も市が取得していると主張するなら、市がさらに争うかもしれません。

一方で、管財人としては、一部撤去にいたるプロセスで行われた同意をどのように考えるべきかという観点から、さらに争うかもしれません。

そのような個別の事情以上に、時事通信が伝えているポイントは重大です。

拙ブログの昔のエントリ(「揺れるマンション」顛末記 : 「最悪でも……」)に、「アパの住人です」さんから、2種間ほど前にコメントを頂戴しています。不注意で見落としていました。申し訳なく思っています。そのコメントに対する意見としては、この判決と、「施工や設計の責任〜最高裁」で取り上げた最高裁の判断をもとに考えるのが妥当だと思います。

アパの社長に対する感情も軽んじることはできませんが、まず、所有者の責務として、建物の適法性を確保し、それを公的に認定させることが第一だと思います。その費用を、アパが直接負担してくれるのが一番だと思いますが、たとえ、それが難航していても、所有者としての責務は免除されるわけではないと考えるべきだと思います。

そこで、まず、所有者としてとるべき措置をとり、その費用負担を売り主はもとより、施工、設計などの関係者に請求する手続きをとることになるのだと思います。今後、別の判断が出る可能性がありますが、この判決をみる限り、売り主が主体となって積極的に対応することは要求されていないと考えるべきだと思います。私が知る限りでは、対応については、所有者自身でとりかからなくてはいけないと考えるべきではないかと思います。

アパの責任も、その他の関係者の責任も重大ですが、それが、アパや関係者が主体となって積極的な対応をするべきだという根拠とはならないようです。道義的にみて、アパが主体となって積極的な対応を取る方が、社会的な責任を果たした企業ということで、長期的には評価されるように思います。アピールできるポイントにもなると思います。しかし、それをアパが選択しないというのであれば、それまでです。

もし、説得ができるなら説得した方がいいと思います。しかし、その説得が不調に終わるなら、時間や労力が浪費されるだけになってしまいかねません。感情的にも、一層つらいことになると思います。望みが薄いのであれば、仕方がないので、まず所有者としての対応を行うとともに、売り主や関係者に費用などを請求するという段取りになるのだと思います。満足できる形で和解できるかもしれませんが、訴訟にいたる覚悟は前提になると思います。
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by gskay | 2007-12-03 08:21 | 損害と回復