解体費用の負担(2)
一般紙の報道では、はっきりとしない点が多かったと思います。

【構造計算書偽造】藤沢・姉歯マンションの解体費用、ヒューザー側に支払い命令|ケンプラッツ


2007/12/04

 構造計算書が偽造されていた分譲マンション「グランドステージ藤沢」(以下、GS藤沢)の解体工事に当たった神奈川県藤沢市が、販売会社であるヒューザー(破産手続き中)の破産管財人を相手取り、解体費用約3億200万円の返還を求めた訴訟で、東京地方裁判所は11月27日、約1億3200万円の支払いを命じた。

 GS藤沢は、ヒューザーが2005年9月、藤沢市内に建設したものだ。同年11月に、姉歯秀次一級建築士(当時)による構造計算書の偽造が発覚し、保有水平耐力比の最小値が0.15で、危険性が高いことが判明していた。

 藤沢市は、GS藤沢の解体費用のうち、ヒューザーが所有する13戸分(約1430m2)について、費用償還請求権に基づいて約1億3200万円の支払いを求めていた。さらに、市が解体したことで、ヒューザー側はその他の区分所有権者らに対して負担すべき瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求債務を免れたと主張。不当利得返還請求権に基づいて、約1億7000万円の支払いも求めていた。

 これに対してヒューザー側は、GS藤沢は、藤沢市が「市の事業」として、市の費用負担を前提に解体したものであり、解体費用の負担について協議もしていないといった理由から、ヒューザー側が解体費用を負担する理由はないと反論した。また、市が解体したことで、ヒューザー側が区分所有権者らに対する損害賠償義務を免れたとはいえないなどとして、不当利得返還請求権についても認めていなかった。

 東京地裁は、藤沢市がGS藤沢の周辺住民に対し、倒壊による被害から守る直接的な法的義務を負うわけではなく、GS藤沢の解体が市の費用負担を前提にした「市の事業」とは言えないとの見解を示した。一方で、「解体費用の負担について協議もしておらず、合意も成立していない」というヒューザー側の主張は認めたが、GS藤沢の保有水平耐力比の最低値が0.15と極めて低く、一刻も早い解体が求められていたので、費用負担の合意が成立する前に藤沢市が解体したことも十分に考えられると判断。ヒューザーが所有する部分の解体義務はヒューザー側が負っており、専有面積に応じた解体費用の負担は免れないとして、市の費用償還請求権を認めた。

 なお、ヒューザー以外の区分所有権者らに対して、藤沢市は解体費用相当額を償還請求できるので、その分の損失を被ったとはいえないとして、市の主張する不当利得返還請求権については認めなかった。

要している字数が全く異なっているので、先日のエントリで引用した一般紙とは比較することはできないと思います。

それでも、一般紙の報道は、少々お粗末だったのではないかと思います。省略しすぎて、実際の出来事との距離がありすぎるように思います。

ところで、どうやら、解体費用の協議については、事前に充分な検討をしていなかったようです。公的な権限で実施されたものだと思いますが、「一刻も早い解体」の必要性については、裁判所も困っているようです。「倒壊による被害から守る直接的な法的義務を負うわけではなく」というのは、これは、所有者の責任を指摘しているのだと思います。

耐震性能の評価に関して真剣に検討するなら、技術的にも、学術的にも議論の余地のある問題です。違法であることには間違いはないものの、その数値を根拠に「一刻も早い解体」が必要だと判断したことが妥当であるとは断定できないと思います。

本来、「一刻も早い解体」は、今にも崩れ落ちそうな建物を対象にして行われるべき措置だと思います。その措置を、耐震性能の違法に適用して良いかどうかについても何ともいえないと思います。既存不適格などの理由によって問題視されずに済んでいる建物で、同じ程度の性能の建物があったなら、このような措置を講ずるのでしょうか?

事前通知があり、異議を申し立てることができるので、民事上は一方的な措置ではありません。とは言うものの,拙速な措置であった可能性があり、反省の余地は大きいと思います。

関連する手続きなど、可能な限りガラス張りにし、周知して欲しいと思います。そうでなければ、古いマンションの耐震診断などについて、尻込みする人が増えてもおかしくない程の激しい措置でした。もし、低い数値が出たら、安全に関する不安だけでなく、行政による処分にもおびえなくては行けないということになりかねません。
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by gskay | 2007-12-06 14:12 | 公的対応