公文書管理
公務員の嘘やデタラメは、虚偽公文書作成等の罪によって罰することができます。しかし、文書を行方不明にしてしまったり、使えないようにしてしまうことについては、厳しい処分の対象ではなかったようです。

また、問題をおこしてしまった場合の責任の追及にくらべ、不作為でしっかりと対応しなかったことに対する追及はゆるやかでした。

そんなこんなで、省庁で問題が発生すると、不思議と肝心な書類は消えてしまいます。あるいは、不作為だったということで、元から無かったとされます。

あまりに「絶妙」なケースもあり、様々なところで、隠蔽が行われているのではないかと疑われています。

このうち、不作為については、年金の処理の漏れの問題や、薬害への対応の遅れの問題により、重大であると認識されるようになりました。無かったことにするということ行われるとしたら、それは不正です。しかし、作成された虚偽公文書が存在する訳ではないので追及されずに済んできました。ところが、不作為自体が重大な問題であると認識されるようになっています。このため、不作為であったかのように見せかけることは危険なことになりつつあります。

そうすると、後は、肝心の文書が見つからないとか、使えないということにするという方法が残されます。

公文書管理を法制化へ、誤廃棄・紛失を防止(読売新聞) - Yahoo!ニュース


1月6日10時52分配信 読売新聞

 政府は、各省庁が必要な公文書を誤って廃棄・紛失する事態を防ぐため、文書の作成から保存まで一貫した手続きを定める「文書管理法」を新たに制定する方針を固めた。早ければ今月召集の通常国会に法案を提出する考えだ。

 海上自衛隊がインド洋での給油活動をめぐる航泊日誌(航海日誌)を保存期限前に破棄したり、厚生労働省が薬害肝炎の症例リストを倉庫に放置したりと、重要文書のずさんな管理が問題となった。このため、福田首相が公文書の管理体制の見直しを指示した。

 2001年の政府の重要公文書の保存に関する申し合わせでは、日常業務に使用する公文書は各省庁でそれぞれ保管し、一定の保存期限後(最長30年)、資料的価値の高いものが国立公文書館(東京・北の丸公園)に移される仕組みとなっている。ただ、各省庁の保管状況は、省庁ごとの規則に基づいているため、ばらつきがあるのが実態だ。

隠蔽目的に、作為的に文書が消されているようなことはないと思いますが、肝心な書類がなくなってしまうと、責任の所在が不明になるだけでなく、問題の詳細が不明になります。分析や対応に差し支えます。その結果、将来への対応を考える材料が失われ、教訓を残す事が出来ず、大きな損失です。

公務員に関する文書については、問題がおきて証拠が必要であるにもかかわらず文書を提示できない場合、公務員という身分の特殊性から、公務員に不利になるように規定する必要があるのではないかと思います。これは、刑事的な問題だけでなく、国や公共団体を相手どった民事における紛争においても原則とするべきではないかと思います。

現在のところ、証拠がないということで曖昧になってしまったり、泣き寝入りをしなくてはならないケースが少なくないと思います。

単純な民と民の紛争であるなら、自分に不利な証拠を避けるように工夫するとともに、いかに相手の証拠を隠滅させないように保全することができるかがカギになります。それと同じことを、国や公共団体、公務員に適用するべきではないと思います。

国や公共団体、公務員には権力や権限が付与されています。その点を重視し、国や公共団体、公務員を相手にした紛争では、証拠となる書類が無い場合、国や公共団体、公務員に不利になるようにすることを原則とすべきだと思います。

そういう仕組みになっていないため、書類の管理が杜撰になってしまうばかりか、肝心の書類が、なぜか行方不明や使用不能になってしまうのだと思います。

公務員が、アリバイのための書類作りに気をとられてしまうようになるという懸念もあるかもしれませんが、後からの検証が可能であることには、意味があると思います。もちろん、内容は不実であってはならないものの、各自の見解や意思が明示されることに意味があり、責任を明らかにすることに役立つと思います。

公務員は、いかに自分の判断が正しいかを文書に書き込まなくてはいけません。その一方で、不都合なことを無視したりすると、それは,不作為ということで責任を追及されることになります。

これまでも官庁は、文書主義でした。ただし、文書主義といっても、文書がなければそこに書かれているはずの内容は取り上げられないという文書主義であったと思います。このような文書主義では、文書を責任逃れや隠蔽の道具に利用することが不可能でありません。国や公共団体、公務員にとっては、不都合があった場合の隠蔽に便利な考え方です。

そのような文書主義を見直し、国や公共団体、公務員による提示が期待される文書については、提示する義務を強化するとともに、提示できない場合に不利な取り扱いをされるという原則があれば、もっと文書を丁寧に扱うようになり、肝心な書類が作られなかったり、行方不明になったり、使用不能になったりすることはないのではないかと思います。
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by gskay | 2008-01-10 15:22 | 政治と役所と業界