公務員の責任
「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」に関連し、キャリア制度の廃止、幹部人事の一元化、政治家との接触の制限ということについては、広く取り上げられています。しかし、公務員の責任を明確にするという方向性は、あまり注目されていないように感じられました。大胆な提言だと思います。

公務員改革 不祥事に賠償制導入 政府懇方針 退職者の責任追及(産経新聞) - Yahoo!ニュース


1月10日8時2分配信 産経新聞

 政府の「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」(座長・岡村正東芝会長)は9日、在職中に国に損害を与える不祥事などが発覚した元国家公務員に対し、国が退職金返還などで損害賠償責任を負わせる制度の創設を答申案に盛り込む方針を固めた。現行制度では刑事事件に発展しない場合や、起訴されても禁固刑未満だったりした場合に国は退職金の返還を求められず、政府内で制度の見直しを求める声が強まっていた。

 懇談会がこうした方針を固めたのは、年金記録や薬害肝炎への対応で社会保険庁や厚生労働省などの問題が相次いだ事態を重視。懇談会はそれらを担当した国家公務員の責任を追及する、新たな厳しい制度の導入が必要との判断に傾いた。

 懇談会は10日の会合で答申案を協議し、今月内に福田康夫首相に提出する。政府は答申を受け、国家公務員制度改革基本法案(仮称)を今月18日召集の通常国会に提出する方針だ。

 退職国家公務員に損害賠償責任を負わせる制度は、会社に損害を与えた経営者らに対し、株主が損害賠償を請求する「株主代表訴訟制度」の公務員版といえる。具体的には、在職中の不祥事などが発覚した元国家公務員に対し、損害を受けた国が求償権を行使し、裁判所が支払い能力を勘案して損害額を確定する。そのうえで、退職金の返還と同時に、不足分は財産などを没収することが想定されている。

 懇談会での論議では「社会保険庁の歴代長官もこれに該当する」「現役時代のことは知りませんという『やめ得』は許さない。不祥事の抑止力にもなる」とし、賠償制度を創設すべきとの意見が大勢を占めていた。

 不祥事を起こした元国家公務員から退職金を返還させる仕組みづくりについては、総務省の検討会も協議している。

 答申案にはこのほか、政治家による口利きなど政官癒着を排除する目的で、閣僚や副大臣、政務官以外の政治家と国家公務員との接触を原則禁止し、接触できるのは新設する「政務専門職」に一本化することも盛り込まれる。また、省庁縦割りの弊害とされる「省益」にとらわれない公務員を育てるため、幹部人事を一元的に担う「内閣人事庁」の設置も明記される方向だ。

 採用試験で将来の幹部候補を選ぶキャリア制度についても廃止し、大学卒者以上の採用試験を「総合職」「専門職」「一般職」の区分で実施することなども盛り込まれる。

 しかし、こうした答申案の内容には中央官庁だけでなく、与党内の「守旧派」からも強い抵抗が予想され、答申を受けての政府・与党内の調整は難航が避けられそうにない。

無謬であるという前提があるなら、賠償のシステムなど要らないはずです。それが否定されているのだと思います。このことについては合理的だと思います。

行政の権限が無闇に肥大して行く一方で、その権限に能力が追いついていません。能力が低いのは、課題が困難であるという事情以上に、能力向上に真剣に取り組んでこなかったことが原因だと思われるので、少し厳しい要求が必要だと思います。そうでないと、低い能力の官僚が、大きな権力を振り回すという危険な状況がますます悪化していしまうでしょう。

しかし、責任を「無限」に要求するようなことになってはならないと思います。無限の責任が、無限の権限の背景になり、裁量を肯定する根拠になるようでは本末転倒です。いかに制限するかを考えるべきです。

また、曖昧なまま過大な責任を課すことは、かえって責任逃れや責任転嫁に力を入れるきっかけになりかねないと思います。表面的に情緒的に考えるのではなく、明確な目標を提示するべきだと思います。

公務員制度の改革は、立法や司法のあり方までを問う大事業だと思います。今まで官僚に任せきってきた裁量を必要とする事柄に関しては、内閣や国会が扱うということを明記しなくてはいけないと思います。そして、そうした任務にふさわしい人物を国会議員に選ぶようにしなくてはいけないと思います。
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by gskay | 2008-01-14 12:57 | 政治と役所と業界